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徒然と  作者: くろたえ
2/15

そうよ、そこは事故物件

大島てるの事故物件サイトというのに、私の住んでいるマンションが載っていた。

笑うところだよね?

事故物件だとは知っていた。


内容は200×年に20代女性の飛び降り自殺。

築50年くらい経っているのに、結構最近なのね。

エレベーターは2基あるけれど、手前は動いているのに奥は止まっている。

止まっている方が暗く感じるのは気のせいだよね。

1階の奥の自転車置き場が怖いのは、単に灯りが届かないせいで雰囲気だけの事。

「あやし百話」で怪談を書き綴ったけれど、私自身は霊感が在るか良く分からない。

ほとんどの話が、自分が関係しても自分だけが見えなかった事が多い。


でも、住んでいるうちに、それこそ住めば都。

最初にあった先入観など日常の前では消えてしまう。

深夜のゴミ捨てだって、大丈夫大丈夫。(この辺りが少し大丈夫じゃない)


そんな感じで住んで2年が経った。


少し前の事である。

主人が友人との飲み会で遅くに帰ってきた。

お酒は強い人なのだが、喧嘩とか(負けないのは知っているけれど)財布落としたとか、海に溺れるとかあるので、時々しかない飲み会で度々やらかすので、無事に帰って来るまで安心できない。

と、その日はそんなに遅くもならずに帰ってきた。

仕事の話だったようだが、相手が余りにも無計画で、全部を押し付けようとしているのが丸わかりだったので、計画から抜けて帰ってきたと言う。

それを聞いて安心をした。何でも出来る人で今まで全部を被ってきたけれど、今は自分のために生きて欲しいから。

本人は辛口だけれど、懐に入った人は守ろうとして自分を削っちゃうからな。

とか思っていた。


そんで、寝ようとした時に話し出した。


「帰って来る時にさ、エレベーターに乗ったら押してない階に止まったんだよね。

そんで、知らずに降りて歩いていたら、廊下の向こうから二人の男女が来るわけよ。

男は黒と黄色のジャケット着ていた。女は特に覚えていないけれど、地味な印象だった」


「うん」


「通り過ぎた時に会釈をしたけれど、違和感を感じて振り返ったらさ、誰も居なかったんだよ」


「え?」


「はっきり人として見えたんだ。でも、振り返ったら消えていた。加えて俺が押しても居ない階に止まった。普通さ、エレベーターで押した階のボタンが光るじゃん?それもなかったのよ」


「え。それって」


「うん。死んだ人だった」


「俺さ、消えてくれないと幽霊だってわかんないんだよね」


「そんなにハッキリ見えるんだ」


「うん。普通に生きている人に感じた」


「違和感は何に?」


「こっちの会釈を無視したからかなぁ」


「サイトに載っていたのは若い女性だったけれど?」


「幽霊は中年っぽかったな。男の方が覚えているかな」


「何階?」


「4階。あれ?6階だったかな?」


「そこは覚えておこうよ」


「ああ、結局階段を登ったから6階だ」


「・・・これから6階通り過ぎる時緊張しそう」


「通りすがりとかなんか、結構いるからね」


「え?」


「だから、部屋の中とかも、たまに通り過ぎているって」


(いやーーーん!)絶句。


「いや、絵を描いている時、嫁ちゃんかと思ったら、知らない人が覗いていたりね」


(いやーーーん!)無言。いや、言わねば。


「ちゃんと、居座りそうなのとか、悪意ありそうなのとかは追い払ってくださいよ」


「そうそう居ないよ。ちょいって覗いていく感じくらいだから」


「十分に嫌です」


すぐこの間の会話。



そんな日常は要らないっす。




ちょっとドキドキしながら6階を通り過ぎるのを待っているが、相変わらず何もない。


なにか遭って欲しいわけでは全くない。


でも、思うのだ。

6階のエレベーターが通り過ぎる瞬間に、ガラスの向こうに男女の姿が在ったらどうしようって。


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― 新着の感想 ―
[一言] 事故物件、自分の家だと怖い…… あやし百話、今マイペースに読ませていただいてるんですが、事故物件のお話は結構前に読ませていただいたんです。 ふらふら回遊してた時に気になって(笑) 事故物件…
[一言] きゃー、こ、こ、怖いです!!! 怖い話は大好きですが、それはあくまで画面の向こうでのお話。自宅が舞台は洒落にならないですよね。 ((( ;゜Д゜))) 以前友人たちとランチをしていたとき…
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