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救出作戦

一生懸命書きあげて、上書き保存がなかなかできなくて焦りました。もう一度同じものを書けと言われても無理!!!ってなりました。無事に保存できてよかったです。

 「大丈夫?」

 トイレから出てきた私をレティシア姫が気遣ってくれた。

 「う~~~、気持ち悪かった。でも、少し落ち着いた。ありがと。」

 レティシア姫の姿は本当に薄くなっている。今にも消えそうだ。

 「レティシア姫、そちらこそ大丈夫なの?今にも消えそうなんだけど。」

 「う~~ん、実体化はもう無理かも。しばらくはあなたの心の中にいられるだろうけど、それももう長く持ちそうにないから、聞きたいことがあれば今のうちよ。」

 聞きたいことは山ほどありすぎるけど、取り敢えず今は

 「これからどうすればいい?」

 「まず、私のことは、レティって呼んで。冒険者としての名前はエリーだけど、それだとあなたと紛らわしいから。」

 「わかった。レティ、私はこれからどうすればいい?この国を帝国から取り戻すためには、まず何をすればいいのか教えてほしい。」

 私がそう尋ねると、レティシア姫の横に男性が現れた。

 「国王陛下!」

 それは、ローデシア王国国王オーガスト三世だった。

 「やあ、君は姫ではなかったんだねえ。こちらへきて、姫が先にいるのを見て驚いたよ。」

 相変わらず、この国王は軽い。

 「君には面倒ごとを押し付けてしまって申し訳ない。私としては、正直なところ、国民に被害が出ないならこのまま帝国の占領下でもかまわないが、君は否応なしに巻き込まれるだろう。それに、今の帝国の実権は皇太子が握っているが、彼は非常に好戦的だ。今まではそれでも皇帝が抑えてきたが、彼ももう年だ。今回の侵攻を許したということは、皇太子の力が皇帝のそれを超えたということだろう。だとすれば、このままで終わるとは思えない。弟のアルトアは気が弱い。帝国に迫られたらひとたまりもなく降伏するだろうが、もし、国の再興を考えてくれるのなら、取り敢えずアルトア大公領へ向かい、軍の再編を目指すとよい。ケネス・リンフォードが手助けしてくれるだろう。リンフォードは城の地下牢に囚われている。地下牢の位置は姫が知っている。」

 「父上、なぜそれを?」

 レティシア姫は慌てたように尋ねた。

 「お前は知られていないと思っていたようだが、お前が時々隠し通路を通って街へ出ていたことはちゃんと知っていたよ。」

 一人娘が一人で街へ出て冒険者をやっているのを知っていて放置するとは、豪胆というか、ノリなのか?ある意味すごい王様だ。

 「まあ、こっそり護衛をつけていたさ。今回はその護衛がリンフォードの奪還に協力してくれるだろう。まあ、頑張ってくれ。」

 そういうと王様は消えていった。最後までノリの軽い王様だった。

 「結局父上の掌の上で踊らされていただけか、へこむなあ。でも、護衛って誰だろう。ゴリー?まさかねえ、今回だって宝石ごっそり持っていかれたしね。あなた、残ったのちゃんと回収しなさいよ。」

 経済観念の発達した姫様だ。結局昼食は食べ損ねたが、どうせ食欲は全くなかった。夕方まで仮眠をとって、冒険者ギルドに戻った。

 「おう、手筈を整えてきたぜ。今夜決行だ。お前さんも来るかい?」

 ゴリーが早速話しかけてくる。私は黙ってうなずいた。人を殺すことになるかもしれないのは嫌だったが、いくらお金のためとはいえ、他の者を危険にさらしているのに、自分だけが安全なところになどいられない。

 「どうやって城内に入るんだ?隠し通路の場所はわかっているのか?」

 「それなんだが・・・団長が地下牢にいることまでは突き止めたんだが、隠し通路については、入口はわかっているし、まあなんとかなるだろう。」

 「私が案内する。地下牢の場所もわかる。」

 ゴリーは目に見えて安心した様子で、「そうか、それはありがたい。」と言い、どさっと重そうな袋を机の上に置いた。

 「残りの宝石を換金しておいた。受け取ってくれ。」

 『今の状況下でこれだけの金額になるなんて、ゴリーすごい!』

 頭の中でレティが驚いている。やはり、護衛はゴリーなのだろうか。それなら、私が隠し通路に詳しいことに疑問を持たないのもわかる。

 「私も渡しておくわね。今日の報酬と魔石の売却代金の三分の一、あなたの取り分よ。」

 ケリーもお金を渡してくれる。これでしばらくは活動資金に困らないだろう。

 「では、真夜中に隠し通路の入口に来てくれ。我々のほかに助っ人が2名くる。団長を首尾よく救い出したらある場所に連れていく。後は、団長の体調を見て、王都から脱出させる。お前さんも今夜荷物をまとめておくといい。団長を救い出したら追手がかかるぞ。」

 そういうとゴリーたちは出て行った。まだ準備などがあるのかもしれない。

 後にはずっしりと重い袋が残った。これを持ったままケネスを助けに行くわけにはいかない。

 『マジックバッグを買いに行きましょう。』

 マジックバッグ?魔法のアイテム?どんなのだろう、楽しみ。でも、高いのでは?

 『魔法の使えない人用のは高いけれど、魔法を使える人用のならそれほど高くないから大丈夫。』

 私、魔法使えないけど?

 『私の体なんだから、大丈夫。魔力はちゃんとあるし、あとは使い方を覚えればいいだけ。私が教えてあげられればいいけど、きっとケリーが教えてくれるわ。とりあえず、マックバッグを買いに行きましょう。』

 魔法用具店には、見たこともない(当然だけれど)道具がいっぱい並んでいる。

 氷魔法で使う保存庫、これは冷蔵庫ね。風魔法で遠くの人と話せる道具、これは電話かな?、同じく風魔法で使う掃除機などなど、見ていて飽きない。

 『ほら、こっちよ。』レティが私をカウンターに向かって歩かせる。

 「おじさん、マジックバッグある?」

 「汎用かい?汎用なら、今在庫はないよ。この騒ぎで、みんな、逃げ出す算段をしている。マジックバッグがあれば、たくさんの荷物が持ち出せるからな。」

 「魔力持ち用でお願い。」

 「あいよ。じゃあそこの機械で魔力を図ってくれ。後で使えないって言われるのは困るんでな。」

 私は、カウンターに置かれた占い師の水晶玉のようなものに手を当てた。

 水晶玉の中に、小さな虹色の光が煌めき、それは螺旋を描いてどんどん大きくなり・・・パリン!

 水晶玉は音を立てて割れてしまった。

 「おやおや、もうそろそろ買い替え時かと思っていたが、とうとう壊れたか。お嬢さん、怪我はなかったかね?」

 「す・すみません。弁償します。」

 私は慌てて巾着を探ろうとした。

 いあいあ、もう古くなっとったから大丈夫じゃ。さて、マジックバッグはこれだ。金貨一枚いただこうかの。」

 私は金貨一枚を渡し、マジックバッグを受け取った。レティは値切りたそうだったが、水晶玉を壊してしまったので、黙って言い値で買った。

 『すごかったわねえ。あなたの魔力量ってけた違いに多いのね。それに、虹色に輝いたってことは、全属性の魔法が使えるってことでしょう?それなのに、なんで使えないふりなんてするの?』

 いあ、魔法なんて使えいないし、前世魔法なんてない世界だったんだから。

 『そうなんだ。まあ、また試してみましょ。とりあえず、マジックバッグに所有者登録をしてくれる?あなたの魔力量なら、相当の物が入れられると思うわ。』

 どうやら魔力量によって入れられる容量が違うようだ。私はマジックバッグについている魔石に指を当て、軽く魔力を流した(と想像してみたが、うまくいったようだ。)。

 そして、アルトア大公領までの道のりを考えて食料品や装備類などを買い、マジックバッグに入れ、バッグを腰のベルトに吊り下げた。

 準備はできた。後は夜を待つだけだ。

 

 


 

 

お読みいただいてありがとうございます。次はいよいよ救出作戦決行です。

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