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まだ見ぬ王子様

すみません、王子様がまだでてきません。次で王子様が出てきて、いよいよ運命が転変する予定(?)です。

 やっぱりこの人軽いよね?

 「不安に思うかもしれませんが、王家の婚姻とはそのようなものです。まして、姫は嫁ぐのではなく、王子がこちらに来てくださるのですから、何も心配はいりませんよ。」

 優しくミレーユ王妃がフォローしてくれるが、私の頭の中はパニック状態である。

 呆然としている私を、半ば強引に部屋に連れ帰った女官長は、私をソファーに座らせ、ゆっくりと話し始める。

 「まずは、お詫びを申し上げなければなりません。まさか、陛下がいきなりお話になるとは思わず、ご説明が遅れてしまいました。姫様が落ち着かれてからお話しようと思っていたのですが。(あのせっかち男が・・・)先程お話いたしましたとおり、姫様はローデシア王国国王のただおひとりのお子様です。姫様は、いずれ公爵家などから王配を迎えて女王となられるか、他国の王族を夫として迎えて国王とし、王妃となられるかのいずれかになります。国王陛下は姫様が可愛くて仕方がないので、統治の苦労をさせたくながったのでしょう、ご自身の姉君の嫁ぎ先である隣国ハイランド王国の第二王子であられるデニス殿下を姫様の夫として迎え、次期国王にされるおつもりでございます。そのデニス殿下が明日お着きになり、明後日がお二人のご結婚式となっております。」

 ということは何?私は明後日見ず知らずの男と結婚して、あんなこととかこんなこととか???

 相手がハゲでもデブでも我慢して結婚しなくちゃいけないわけ?

 そんなの絶対嫌だ!!!・・・でも

 「『私』はそれを承知していたんだよね?」

 「もちろんでございます。それが王家の姫の務めであることは、十分にご承知の姫様でございますから。」

 だとしたら、いくら嫌でも私の一存で断るわけにはいかないよねえ。

 「姫様は、デニス殿下の絵姿をご覧になって、お会いになるのをt楽しみにしておいででございました。」

 絵姿があるんだ。じゃあハゲデブ殿下かどうか確かめなくちゃ。

 「私にも見せてもらえるかしら?」

 「もちろんでございます。隣の部屋に飾られておりますので。」

 隣の部屋に入った私の目に飛び込んできたのは、どうやって隣国から運んだんだろうと思わせるほど大きな絵であった。

 そこには、白馬にまたがった文字通りの王子様の姿が描かれていた。

 磨かれた真鍮のような輝く金色の髪に、深い湖の底のような蒼い瞳、凛々しく引き締まった顔立ち、まあ、お見合い写真みたいなものだから、三割増しに修正が入ったとしても、なかなかのイケメンである。

 これなら、夢見るお年頃であるレティシアちゃんがポワンとなるのもわかる。中身アラサーの私でも一瞬くらっときた。

 明日きたらハゲデブだっていう可能性も0《ゼロ》ではないけれど・・・

 絵姿と違うからって王子様を追い返すわけにもいかないだろうしね。

 とはいえ、少し安心した私は、元の部屋に戻った。

 「ご納得いただけましたか?それでは、ご結婚式までに覚えていただかなくてはならないことがたくさんございます。姫様はすべてお忘れとのことですので、最低限、ローデシア王国とハイランド王国の歴史、地理、宰相など主だった家臣の名前、それから、ダンス、礼儀作法、テーブルマナーなどなど、時間がいくらっても足りません。早速お勉強を始めさせていただきます。」

 それから、昼食と少しの休憩をはさんで夕食までの間、私は徹底的にしごかれたのであった。ダンスと礼儀作法は、レティシアの体が覚えこんでいたのだろうか、それほど苦労せずに及第点をもらえたが、それ以外はとにかく覚えることが多く、苦労した。

 異世界転生を果たしたんだから、チートで写真記憶とか覚えられなかったのかなあ。

 残念ながら、今のところチートな能力は私にはないようだ。

 せめて夕食後はゆっくりしたいという私の思いが通じたのか、ソリッド女官長が「夕食後はお勉強はなしにいたしましょう。」と言ってくれた。ほっとした私だったが、次のセリフにのけぞった。

 「夕食後は、ご結婚式を控えた姫様を磨き上げなければなりません。ドレスの試着もありますしね。お勉強はその間復習をいたしましょう。どれくらい覚えていただけたか試させていただきます。」

 この人鬼だ、鬼教官だ!!!

 結局私は、コルセットで思いっきり締め上げられながら女官長の質問に答えるはめになった。

 それでも、やっぱりウェディングドレスは乙女のあこがれ、上質のレースをふんだんに使われた純白のドレスはプリンセスラインでトレーンが長く裾をひき、ふわりとした長いヴェールを被ると、目も覚めるような美しさであった。

 「おきれいですよ、姫様。これならデニス王子様もさぞお喜びでございましょう。」

 女官長と侍女二人に褒められて、柄にもなく頬を染める私。結構その気になってきた。

 とにかく、結婚式さえクリアすれば、あこがれの三食昼寝付きスローライフが手に入るんだもの。あとは、旦那様がどんな人かだけが気になるけど・・・生理的に受け付けない人じゃなければいいなあ。

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございます。まだまだ更新頑張ります!

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