新宿駅
刹那と永遠は池袋警察署で被害届を出したが、求道会が間違いなく犯人かは判断できないと言われた。いくら訴えたところで法律上どう仕様もないことも解っているので、諦めて新宿に戻ってきた。刹那は怒り心頭に発す思いだったが、そもそも警察がどうこうできるとは思えない。むしろ警察は危険と考えるべきだ、相手は政府にも影響力のある組織なのだから。
「ダメ、つながらない」
永遠がスマホを耳から離す。二人は新宿駅で電車を乗り換えて刹那の居候先、つまり好恵の自宅に向かう途中だ。京王線で電車を待つ間に、鬼多見に連絡を取ろうとしていた。
「心で呼びかけても返事はなしなのね」
刹那の問いに永遠は不安げに頷いた。
アイツに殺られちゃったってこと……
佐伯海と鬼多見は、戌亥寺でも戦っていたらしい。刹那が境内に着いたときには、仏眼と朋美以外、全員が転がっていたのでどのような戦いが展開されていたかはよく判らないが、いつものごとく鬼多見がピンチだったようだ。それを遙香が助けた、もとい鬼多見を含めてまとめてやっつけてしまったので、結果どちらが強いか刹那は知らない。ただし、異能力に関しては海の方が圧倒的に強力なのは判っている。
でも、おじさんは頑丈なことだけが取柄だし、そう簡単に負けるはずないわ。
勝てないまでも、どうにか逃げ出すか何とかして無事のはずだ。今はそう信じるしかない。
「イヤな予感がする……」
永遠が不安げに呟いた。
「だいじょうぶよ」
刹那は努めて明るく言いながら永遠の肩を抱いた。今は姉の自分が確りしなければならない。
「うん……お母さんとおじいさんにも連絡を取ってみる」
「そうだね、師匠なら何か知っているかも知れないし」
遙香は刹那たちに手出しをしないことを条件に求道会に協力することを約束した。しかし、鬼多見悠輝と法眼は好きにしていいと言ったのだ。二人を信用しているからだろうが、世の中に絶対は無い。もし、鬼多見に何かあったら……
「ウソ……そんな……」
永遠が慄き始めた。
「どうしたの?」
視線を泳がしながら永遠は顔を上げる。
「お祖父さんが……お祖父さんが、殺された!」
永遠の放している言葉の意味が直ぐに理解できなかった、有り得ないことだからだ。しかし、永遠が嘘を吐くわけがない。信じられないが、鬼多見法眼が亡くなったのだ。




