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独白〜不貞の代償〜  作者: 大倉 雪之丞
第一章〜或る夫婦の場合〜
2/2

貴女を幸せにできましたか

語り部:今井浩二

『私は幸せでした。あなたと一緒にいられて』

 電話越しに久しぶりに聞く彼女の言葉は、私にとってとても嬉しい答えだった。

 結婚してからもう、何年も経つ。気がつけば、私の隣に彼女がいる生活が当たり前の日々になっていた。ずっとこの生活が続くことに違和感はなかったし、それが当然だと考えていた。

 あの時までは。

 最初は同僚からだった。彼女と部下の我妻良樹が一緒に歩いている姿を見たと。見間違いだろうと、その時は気にしなかった。次は彼女と共通の友人からだった。彼女が若い男と腕を組んでいる姿を見た、仲睦そうにしていたと。他人の空似だと誤魔化した。その次は大学で同じサークルに所属していた友人たちからだった。彼女が、見知らぬ若い男とホテルに入っていったと。流石に、看過できなかった。彼女と話してみると、その場はなんとかやり過ごした。やがて、義母が彼女が若い男と歩く姿を目撃したと言った。義母をなだめすかして、その時はなんとかした。だが、このままではいけないと思った。だから、興信所に浮気調査を依頼した。どうか、彼らの勘違いであってくれと願いながら。

 結果が届くまでの期間が一年も十年も長く感じられた。正直、生きた心地がしなかった。でも、その間彼女は何一つ変わらなかった。服装の趣味が変わることもなく、私が話しかけたら笑い返してくれる。今まで通りの日常がそこにはあった。だから、私は思ってしまった。

 彼らが見たのは彼女によく似た別人で、彼女は不倫なんかしていないと。希望を、持ってしまった、

 現実は非情だ。興信所から渡された写真に写っている女性は間違いなく私の愛する妻で、その相手は自分が目を掛けていた部下の良樹だった。

 信じたくなくて、何度も何度も見返して、でもそこに写っているのは彼女が部下と不倫をしているという純然たる事実だけで。

 悔しくて堪らなかった。裏切られたという現実を受け入れたくなくて、だいぶ酷いことを興信所の方にも言ったし、そんな自分が惨めで情けなかった。

 思い出されるのは、彼女と過ごしてきた日々。とても暖かくて、優しくって、愛おしかった懐かしの日々。もう、元には戻ってこない、かつての日常。

 貴女は、私と一緒で幸せだったのだろうか。もしかして、本当は私のことなんかちっとも、愛してなんか・・・。

 いや、私は何を考えているのだろうか。彼女は確かに、浮気をした。私を裏切った。だが、彼女が見せてくれた笑顔の全てが嘘偽りなんてことはありえない。

 彼女が私に見せてくれた笑顔は確かに幸せに溢れたもので、愛に溢れたものだった。彼女は確かに、私をきちんと愛してくれていた。そして、おそらく今も。

 ____確かめたい。

 私は意を決して手元に置いてあったスマホを手に取り、彼女へと電話をかける。

 二度のコールの後、今まで泣き続けていたかのようなか細い声で『____はい』と彼女は出た。

 そして、私は彼女へと問いかける。

大変遅れてしまい申し訳ございませんでした!

明日やろう明日やろうと先延ばしにしていたら、いつのまにやらもう2月。遅すぎですね。

以後はこのようなことがないよう努めたと思います。

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