村の中へ
アイオニア3
「なんだこれ・・・」
10分ほど歩き村に案内してもらったが想像以上にひどい有様だ。
ほとんどの家の入り口が破壊されていて、道のいたる所には穴が開きクレーターが作られている。
また農業を営んでいたであろう場所には真ん中に大きなクレーターが作られ隅の方には干からびた植物が地面と同化していた。
ドラクエをやってた時はこんな村行くつも見てきたが今の翔也にとって現実に初めてみる風景に動揺が隠しきれない。
「全部あいつのせいだ。」
「一つの村が・・・」
「そうだ、村長さんの家以外全て入り口が破壊されたんだ。」
「ん?じゃあ村長の家だけ無事だったってこと?」
「いや逆だ。村一番でかかった村長さんの家は全て無くなった。家も家族も・・・残虐な殺され方だった。」
「どんな殺されだったんだ?」
聞いてから後悔したが遅かった。
「あまり言いたくはないんだが。始めになんの予兆もなく俺の家の入り口が破壊されて驚いて外に飛び出したんだ。そしたら村全部の家の入り口が爆はされててみんなも同じように外に出てきてた。
そのとき村長さんのところから叫び声が聞こえてきたんだよ。
村長さんが仮面の男に言い寄ってて。
その瞬間だった。
村長さんの家が木っ端微塵に爆破された合図と共にその仮面の男が懐から銃を取り出して
村長さんめがけて4発ほど撃ったんだ。
踊るようにして撃たれてたよ。
村長さんが倒れた瞬間、銃弾が娘さん奥さんに伝播してってそのまま家族全員銃殺された。」
酷すぎる。村一つを壊滅させてるじゃないか。なんの目的で・・・
「とっここが私の家だ。アカリ殿がいると思うから話を聞いたらどうだい?ついでに泊って行くかい?今さっき助けてもらったし恩もある。」
「ではお言葉に甘えて。」
入り口がむき出しになっている家にお邪魔させてもらうことになった。
2階部分の一室も丸見えで開放感溢れる家へと改造されていた。
「こちらが私の妻のヘンリだ。ヘンリ!今日は私の恩人を家に泊めるぞ。」
「はい、主人がお世話になったみたいで、今日は見苦しい家ですがお泊りなさっていってください。」
「いえいえとんでもない、ありがとうございます。」
年齢は30歳前半だろうか。
ワンピースだが肩を出しており非常にセクシーだ。
美月もたまにはこういう服を着てほしいと願っているが・・絶対着ないだろう。
「おいそいつは誰だ。」
と2階の部屋むき出しのところからアカリが現れこちらを一見し、回転しながら飛び降りてきた。
なんて身のこなし。流石は忍者だ。
「こちらは翔也です。記憶がないらしく自分が何者かわからないそうです。」
「わかった。では私の部屋で話そう。」
そういうと軽々2階へジャンプしてこちらを見つめてくる。
いや無理だろそれは。瞬間移動を使えばいけるかもしれないが流石にスキルをこんなところで見せるのは良くないと判断して
「アカリ殿俺は無理だ!そんなに高く飛べない。」
とここからいけないアピールをする。
アカリはこんなこともできないのかという落胆的な表情をして
「なら中にある階段で登ってくるのだ。」と聞こえるか聞こえないかの声量でいってきた。
「ではこれで。ゆっくりしていってください。」そういうとネルは奥さんと一緒に家の中へ入っていった。
くそっ忍者特訓してない一般人みんなできないだろう!!と理不尽な表情をされたことに若干不満を持ちつつ中の階段からアカリの部屋へと移動する。
部屋を開けると6畳半で後ろの壁はなく一面に青空が広がっている。
その部屋の中心にアカリが座っていた。
ん?天井まで視界を上げようとした途端にアカリの方から話しかけてきた。
「お主身体能力も喪失したのか?」
アカリは警戒するような疑いの目で俺の右手に刺さっている武器を見つめながらいってきた。
「つまらぬ敵か。それは神器ではないのか?」
これはまずい。俺は今運営の計らいで手に入れた神器を身につけている。
つまり今の俺はアカリからしたら実力がわからない右手に神器をつけたバンツ一丁の変態だ。
どう答えるのがいい。選択を間違えると信頼を得るのに時間がかかるし場合によっては敵とみなされる。
もーうめんどくさい。俺はあまり読み合いは得意じゃないんだ。だからある提案をしてみる。
「アカリ殿。俺と一回手合わせしてほしい。それで俺の実力強いては信頼に値するかどうかをはかってほしい。」
「私に挑もうなんて思うのは、馬鹿なやつだけだ。いいだろう。受けよう。裏に広い場所がある。そこにいくぞ。」