武器選び
んーなににしようかな。
今彼らの目の前には大量の武器と防具、アクセサリーが山積みに置いてある。
その数全部で140種類以上。
各キャラの専用のアイテム達である。
ちょっとキャラクターの説明をすると全てのキャラはゲームの中ではスキルを4つ持っている。
3つは最初から使えるノーマルスキルで4つ目に必殺技スキル。英語でultimate 通称ウルトこれは非常に強力でゲームの展開を一気に変えてしますほどの威力や効果がある。
そして普通の攻撃とそれらのスキルを組み合わせて攻撃するというのがゲームの中であり、操作する立場であった自分がいざ動いてみるとどうなるのか。また魔法やスキルは自分でも使えるのか。
試すためにすぐ真下に置いてある長い槍を手に取った。
槍は重いと思ったがこれは多分ゲームの補正であり手に吸い付くようにフィットした。
それを反対側に向かって投げる。投げる時手元が光り、槍は地面と水平線を保ちながら壁に突き刺さった。
「おぉこれがスキルの感触か・・」
力をあまり入れずに投げたが、狙ったところに正確に届いた。
これはニダリーというキャラの一つのスキル。槍投げである。
指定方向に槍を投げるのだがこれはlolのキャラの中でも非常に射程が長く一発のダメージが大きいのが特徴のスキルだ。
ゲームの中ではスキルのクールダウンが終わればまた使えるのだがここでは槍を拾いに行かなければならないのかと思ったその時、手に先ほどフィットしたような感覚が戻ってきた。
なるほど。この武器は一見すると普通の武器に見えるが中身は実体ではなく魔法か何かによって作られているのかそれともゲームの設定上そういう仕様として機能しているのか。
どちらにせよ武器に関しては調査が必要だということがわかった。
あとの3つのスキルも一応試す。
罠を設置するスキル。
そして微量ながらヒールをかけれるスキルだ。
「ほっ」
ゲーム内の動作イメージを思い浮かべたら意外とスキルが発動した。
そしてもっとも試したかったのがニダリーのウルト。それは猫に変身できることである。
一見すると弱くなってるような感じがするが猫になった時には猫専用スキルが使えなおかつ人間状態のスキルと関係がない。
つまり人間状態でスキルを使ってウルトで猫に変身、さらにまた3つのスキルが使えることになる。
よって合計6個のスキルとウルトをいかに回すかがこのキャラの特徴であり強みである。
スキルには何回も連続で使えずクールダウンという時間を置かないと使えないのはさっきの槍投げで確認済みであるため
ここはゲームと一緒で何回も連続でスキルを使えるわけではなかった。
だがどうやって変身するのだろう。
考えているとあちらから楽しそうな声が聞こえてきた。
「貴斗ー。それザックのスライムだろ?食べてみてよ!野球しよう。」
「えーー。いいぜ。」
棚に丸くてぶにゅぶにゅしている緑色のスライムみたいなものを手に取り貴斗は躊躇わずに食べた。
「ん?何も・・」
「いやだ。貴斗それ気持ち悪い!」綾乃が叫ぶ。
貴斗の体が足から徐々に緑色にそして半透明に変わっていく。
「おぉこれがスライムか!」貴斗が自分の体を確認しながら喋る。
例えるならスライム人間みたいな体型に変化した。
「おぉすげえ!綾乃。これやばいわ!!」
「いいじゃん。貴斗似合ってるよ!早く風船みたいに丸くなってよ!」
「よしやってみるぜ。」
思いっきり息を吸い込み口を抑えるとバルーンみたいに地面を飛び跳ねる。
「いけたぜ。」
「そのままこっちにきて!打つよーー。」
バカだ。綾乃はトランドルの伝説の氷剣を構えて貴斗を打とうとしている。
これはまずい。もし本気でやったらぶっ飛んでこの部屋絶対ぐちゃぐちゃに。
「おい待て。やめr」
「よっしゃーーー」
時すでに遅し。綾乃が本気で打った貴斗はまだ寝ている中村の脚を直撃
「うぐっ」
やっとこさ中村が起きてきたが、
さらにそこから飛び跳ね武器がかかっている棚にも直撃
大量の装備が下に落ち、散らかる。
「おいおいなんだよここは。」
状況がつかめず起き上がってきた中村の顔に最後スライム状態の貴斗が突っ込む。
「うええええなんだこれ。貴斗じゃねーか。何してんだよ。」
「よっ中村!」
「よじゃねーよ」
顔に張り付いたスライムを綾乃に投げ返す中村。
それに思わず俺は声をあげた。
「おいばか何して。」
綾乃がもう一度構えるのが見えた・・
あぁ2回目のフルスイングきた。
目を閉じ顔と大事な部分を守るためしゃがむ。
が聞こえたのは空スイングとバブルの音だった。
「ん??」
「ちょっと何してるの。」中学ヤンキーのようにバットを地面に当てながら喋る綾乃。
美月の方をみると大きなシャーマン杖を持っている。
そしてボールの方をみるとバブルによって拘束されており綾乃の遥か数メートル先で浮いていた。
「ごめんなさい。ちょっと私もスキルを試したくて・・・」
「まぁいいよ!美月ちゃんにはいつもお世話になってますから!」
助かった・・・
さすが美月ピンチの時にいつも助けてくれる。
急に美月がこっちをみてきたので、ナイスとグッジョブサインを出すとグッジョブサインを返してくれた。
可愛い。。
「何これみんな。」何も状況が飲み込めない中村を全員が無視し各々新しい武器を求め去って行った。
〜〜〜24時間後〜〜〜
「どうだみんな決めたか?」最後に翔也が確認する。
それぞれの武器を念入りに調べたため、詳しい経過時間はわからないがそれくらいたった気がする。
「遅いぞ翔也。俺はもう決めたぜ。行こう!もう。」とうずうずしている貴斗
「もうちょっと待ってどっちがいいかな。ねぇどっちかな翔也。」まだ決めかねている綾乃に対して
「右がいいと思うよ。」翔也がいいと思っている方ではなく綾乃が選びたそうな方をいう。
「それはどっちから見て翔也から?それともうちから?」
「俺から。」
「絶対適当じゃん。」
じゃあもうきくなと突っ込みたいところだがその気持ちを抑える翔也。なんていたって美月の前だ。今後一緒に服を買いに行けなくなる。
「美月ちゃんどっちがいいかな?」
「俺は左のがいいとおも・・」
「お前には訊いてない。」一蹴される中村。
「左のほうがいいと思うよ。だってこっちの方が私たちのパーティーにあってるでしょ?それにいつも使ってて綾乃ちゃん得意じゃん。慣れないのやっても。」
「んん確かにね。こっち慣れてるけどやっぱりかっこいいのはこっちなんだよね。冒険してみようー。みんなありがとね!」
綾乃は「結局変えるのかよ。」とボヤを吹く中村を一瞥し貴斗がいる真ん中の台座の前に歩いて行った。
「何してるの?」
「ん?今みんな決まったみたいだから先にボタン押してる。そしたら一人ずつ好きな色決めてくださいって出てきたぜ。」
「そうだね私は黄色で!」綾乃が台座の画面を覗き込み色を指定すると
『一本指を指定して手をかざしてください。あなたの生命力を皆に知らせます』
と出てきた。「ん〜中指かな。もーらい。ぴっ」
『登録完了しましたこれがあなたの手袋です。』
台座の中から出てきた白い手袋の中指がピンク色になっている。
「何これーーおしゃれすぎないねぇねぇ!」
はしゃぐ綾乃を横に貴斗、翔也、美月が続く。
「中村君。最後よろしくね。」美月がそう言うとぐったり寝ていた中村が起き出し台座の前に行く。
「なんでもいいだろこんなの。」
登録を高速で済ませ最後の『5秒後に飛びます』と言う文章も飛ばす。
出てきた手袋をはめていた瞬間一瞬だった。
光を浴びお互い誰も喋り声が聞こえなくなった。