lolの世界へ
「みんな揃ってるかー?」
みんな大体8時頃には仕事を終えご飯を食べ通話に集まってくる。
そして集まりプレイするのはleague of legends通称:lolだ。
大学3年生の貴斗
同じく3年生の翔也
そして翔也の彼女の美月
社会人3年目の綾乃
最後にニート中村
いつものメンツでlolのマッチング待機をする。
ゲーム内で翔也が招待をみんなに送ると綾乃と美月がそれに応答する。
「あと2人どこ行った!?」
綾乃と美月に翔也が尋ねる
いつものことだが貴斗と中村はすぐに席を外す。気づいたらいない。
「酒取ってくる奴とウンコじゃない?」
綾乃がすました顔で話す。
「まぁいいや課題でもやってるか。」
翔也が大学の授業のレポート内容に目を通そうとしたとき中村の声が響く。
「留年ワロタ。」
「中村お前いるならこいや。」
翔也が思わず叫ぶ。
「いや待て。蚊がいる。」
そういうとパチパチと手をたたく音が中村のマイク越しに通話に響いた。
こうして大体時間が潰れるのだが話しているだけでも飽きないのが不思議。
「おっしゃ蚊やったぜ。」
蚊を退治した中村の報告の後に貴斗の声が重なる。
「誰待ち。早よ行こうぜ。」
「お前だよ。」
思わず突っ込んでしまう翔也。
「んふふ。」
その一連の流れから天使の様な透き通る声で笑う美月
動物園みたいな通話になるのはいつものことだが今日はゲーム画面がいつもと違う。
対戦相手を探すボタンに大きくβテストと書かれてある。
「ん?なんだこれ」
翔也がそのボタンを押した瞬間なにが起こったのか答えられる人は誰もいなかった。
画面から眩い光が刺さりマッチメイキングをしていた5人全員意識を失った。
どれくらいの時間が経ったのだろうか。
ひんやりとした感覚を背中に感じて翔也はゆっくりと目を覚ました。
天井が見え左、右と目をやると壁にはいっぱいの武器や防具、緑色のスライムみたいなものまである。
その上には松明が等間隔で置かれ部屋が異様な雰囲気に包まれていた。
一番最初に気がついたのは翔也だった。
「なんだここは・・・」見慣れない場所、空気そして服。よく見ると上は着ておらず下は麻のパンツ一枚という軽装備。
『まず考えろ・・・』
の前にみんな起こすか。
「おい起きろ!!」
横に寝っ転がってる貴斗と美月そして綾乃を起こす。
中村は・・・
まぁいいか。
「んんんn」3人同時に目が覚めたところで今回のことについて話し合う。
「どう思う?」翔也が皆に聞く。
「うーん周り見た感じlolの武器だよね」綾乃が辺りを見渡しながら言う。
「とうとう中入ってプレイできるのか!!」目をキラキラさせながら貴斗が叫んだ。
「翔君あっちの台座ってなんだろう?」美月が指をさした方向を向くととそこに台座があった。
翔也がその中央に置かれてある台座に近づいてみるとそこには文字が書かれていた。
(lolβテストへようこそ。ここはleague of legendsの世界です。
あたたがたは今日からここで生活してもらいます。
この世界をクリアしてください。
そのために部屋の中で一つだけあなたに差し上げます。
選び終わったら台座の横のボタンを押してください。
押さないと24時間後に強制移動させられます。
では健闘を祈ってます。)
「おいおいおい嘘だろ。とうとうその時代までやってきたか。」
「yahoooojapannn!!!」
いつものことだが貴斗の頭の狂いに綾乃もついていく。
「ふううううううう、とうとうきたな貴斗!!」
荒れ狂う2人を横目に翔也がふと美月に目をやると、不安そうな表情をしていた。
「大丈夫?美月」
「うん・・・」
大体反応からして大丈夫じゃないことがわかる。
「ゲームだから大丈夫!それに俺がいつでも守るから。」
「ありがとう。」
美月の強張っていた表情がちょっと柔らかくなり口角が少し上がった。
いつもの美月の笑顔じゃないにしろその表情がいつも自分を幸せにしてくれる。
「守ってね!」
そんなストレートに言われたら可愛すぎて恥ずかしく素直には答えれなかった。
「サポートは美月の役目だろ笑」
「うん!頑張るね!」
「なにイチャイチャ話してんの!お姉さん別れたばっかだって知らない?
どつき回すわよ。」綾乃がイチャイチャ会話を受信。速攻止めに入る。
「全く油断してるとすぐ変な空気作るんだから。」
「翔也!美月早くあっちにある武器みようぜ!!」
と言いながらもう武器の方に歩き出している貴斗の後ろに綾乃、翔也後ろに美月が続くドラクエスタイルで武器選びが始まった。