9話
「うっ、ここは・・・。」
少女は痛々しく体を起こすと、虚ろな表情のままあたりを見渡した。
「おはよう、目覚めはいかが?ここは晃大、昨日あなたの事を倒した男の家よ」
ちひろさんの声にこちらに気づくと少女の顔が一気に強張る。
「お前は・・・!」
こちらを睨みつけ立ち上がろうとするも、そのままその場に倒れこんでしまう。
うずくまりながらも俺のことを睨みつける少女。
両腕に力を込めてなおもこちらにむかおうとしている。
「まだ無理しちゃだめよ、ゆっくり休んでなさい」
ゆっくりと立ち上がり少女に声をかけるちひろさん
「ふん!舐めるな!私が戦えずとも!」
少女はそういうと両手で印を組む
「召喚術式 ‼︎」
昨日俺を襲った魔物を呼び出すつもりだろう、
少女を中心に円形の魔法陣が床に浮かび上がる。
「出でよ!魔犬黒妖犬‼︎」
少女を囲う魔法陣の光がいっそう強く輝く。
だが、何も起きない。
「な、何故だ!何故何も起きない!」
ちひろさんは激しく狼狽する少女に近づき声をかける。
「ごめんなさい。あまりこんな事はしたく無かったのだけど、寝ている間にあなた魔法を封印させてもらったの。」
「魔法を封印⁉︎そんな・・・。」
ちひろさんは少女の方をじっと見つめて話しかける。
「いくつか聞きたい事があるんだけどいいかしら?」