6話
「この手の魔法は得意じゃないんだけど、今目を覚まされても面倒だからな。まあ念のためだ」
淡い光が少女の身体を覆った。
「よし、これで大丈夫。しばらくは目を覚まさないだろう。怪我は大したことはなさそうだが、どうも酷く疲れているようだな。」
先生は少女を抱えると、少し考える様子を見せた。
「この子には少し話を聞きたいからな。このまま家まで連れていこう」
俺は先生の言葉に二つ返事で賛成した。
さっきまで俺の事を狙っていた相手を連れて行く事に対しては抵抗があったが、傷ついた少女を一人街中に放置するのはしのびない。
(正当防衛とはいえ先生が気絶させたわけだが)
「とりあえずあちらで何か動きがあったことは間違いなさそうだな。いや、考えても」
家路を急ぎながら先生が呟く。心なしか学校を出た時より歩くスピードが早くなってる気がする。
正直色々話しを聞きたかった。魔法の事、魔族の事、なぜこの子が俺を襲ってきたのか・・・。
ただ今の先生の様子では今はそれどころじゃないようだ。
まさか、まだ誰かから追われているのだろうか・・・。
「涼太、急ぐぞ」
先生の歩く速度がまたはやくなる。
「くそ!失敗した。家の前まで結界を張って移動するべきだった」
やはりそうだったようだ。正直俺でも何かを感じる。
「さっきからすれ違う人が俺の事を変な目で見やがる・・・。」
勘違いだった。
言われて見るとさっきから人の視線を感じる。今すれ違ったOLさんなんかは隠す事なく嫌悪感全開の表情えお先生に見せていた。
たしかにこの先生がぼろぼろの少女を抱えて歩く姿は異質に見える。というより確実に警察事案だろう。
今ここで警察が来て彼をしょっ引いていっても、何も違和感がない・・・というのは流石に言い過ぎか。
「だから嫌なんだ、俺だって好きでこんなにデカくなったわけじゃねえっての」
どうやら先生はデカイ男が少女を抱えてるから視線を集めているとおもっているようだ。
ボサボサの髪に無精髭くわえタバコしながら女の子抱えてりゃ完全無欠の不審者だ。
「さあ、着いたぞ」
そんな事を言ってるうちに下宿先の家に着いた