2話
「とりあえず家に戻るか。」
先生はそう言うとボサボサの頭をかいた。
「ありがとうございます、だけど先生、これどうするんですか?」
見渡すと、魔物達との戦闘で教室も廊下もボロボロになっていた
(とは言ってもおれは一方的に追いかけられ、先生が一瞬で焼き払ったわけだが)
「ああ、これなら大丈夫だ、さっき結界を張ったといったろ?」
先生がそう言うと、あたり一面にヒビが入り、ガラスが割れるように音を立てて砕けちった。瞬間、そこには元の教室・学校が姿を出した。
教師も生徒たちもいる普段通りの放課後だ。
「まあ、こんな所だ。結界と言っても厳密にいうと擬似空間見たいなもので、元の場所そっくりの空間を作り出すんだ。だからどれだけ破壊しても結界が解けると元に戻るんだよ」
先生は話しながら廊下へ出て歩き出した。
「その結界の中に奴らだけ閉じ込めて倒そうとおもってたんだけどな、どうも間違えてお前も巻き込んでしまったらしい。」
校庭では運動部が部活の準備を始めている。俺はまだどの部にも所属してない(する気もないが)ので先生の言う通り寮に戻ることにする。
「また奴らが襲って来るかもしれないからな、今日は寮まで送って行くことにするよ」
先生の家は少し離れた場所にある。道すがら先生にさっきの事を聞いてみる
「先生、さっきの魔物達は一体・・・。」
やはりどうしても気になる。突然現れた(ように見える)あの魔物達は、ただ暴れ回るわけでなくなんとなく俺を狙っていたような気がした。
「魔物ってのは魔族の眷族だ。魔族が自分の魔力を使って動物や植物を魔族に近いものに作り変えるんだ。とは言ってもあそこまで弱い奴は下っ端の雑魚だけどな。ケルベロスの眷族の魔物なんだろうが、おそらくケルベロス本人の眷族ではなく以前眷族にした魔物が独自に作った眷族なんだろう。」
なんかよくわからないが、要は魔族の家来の家来で下っ端のザコって事らしい。
「だけど先生、俺の気のせいかもしれないのですが、どうも奴ら俺を狙っていたような気が・・・。」
道は学校のある住宅街を抜け大通りへ出ていた。
「ここら辺でいいか。おい、出てこいついてきてたんだろう?」
振り返るとそこにいたのは同じ高校の制服を着た女の子だった。