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第七十八話 林間学校に行こう

「林間学校ですか? 先週行ったばかりじゃないですか」


 珍しく俺の部屋を訪れた神宮寺先輩が、林間学校に行かないかと誘ってきた。

 先週行ったばかりなのに、また行くのだろうか。


「いや、それとは違う。小学生を連れての、だ。お前も昔参加したことがあるだろう?」

「ああ、そう言えば昔ありましたね」


 小学校の頃に、高校生の人達に連れられて行った記憶がある。

 たしか二泊三日くらいで、自然の中でキャンプしたり川で遊んだり。

 あと、ダンジョンに少しだけ入らせてもらったっけ。


「子供達の引率ってことですか?」

「本来なら二年生か三年生が引率するのだがな」


 ここの所ダンジョンの発生件数が増えており、そちらの対応に手を取られ苦慮しているらしい。

 それで俺にも手伝って欲しいと。


「もちろん無理にとは言わないが」

「いえ、特に予定もないですし。喜んで参加させてもらいますよ」

「そうか、そう言ってもらえると助かる。来週月曜日の朝八時に公民館に来てくれ」


 引率は誰でも良いというわけではない。

 ランクⅠの、表層とはいえ子供を連れてダンジョンに行くのだ。

 ある程度の実力がないと子供達に怪我をさせてしまうかもしれない。


「わかりました。平沢達と、それからうちのチームのメンバーにも声かけておきますね」

「ん? 平沢達はともかく、綾小路達は大丈夫なのか?」

「男だけだとフォロー出来ないところもあるでしょうから」


 それに綾小路達も皆ランクアップしてかなり実力が付いて来ているしね。

 能力事態は元々良いものだから、ランクアップさえすれば十分戦闘に耐えうる。

 まぁ、流石に主力扱いはしないけどさ。


「なるほどな」

「伊集院先輩も呼んで構わないですよね?」

「……、特に問題はないだろう」


 その間が気になるところではあるけれど、伊集院先輩だけ仲間はずれと言うわけにも行かない。

 本人が拒否すれば話は別だけど。


「わかりました。それでは皆を誘っておきます。来週ですよね?」

「ああ。それでは頼んだぞ」


 そう言って神宮寺先輩は部屋から出ていった。

 さってと、それじゃ連絡しますかねっと。


 スマホを取り出していじっていると、シスが俺の横に座って腕を絡めてくる。

 携帯の操作がしづらい。


「川遊び楽しみだね」

「そうだな」


 清流で泳ぐのって気持ちいいし。

 管理されてある所のはずだから安全だしね。


「いっぱい魚取るで!」

「そうだね、頑張ろう」


 あ、うん。

 でも根こそぎはやめような。

 自然、大事に。



 平沢や綾小路達に連絡すると、二つ返事で参加を表明してくれた。

 持つべきものは友達だな。


 まぁ、平沢達は別の目的もあるようだったが。


▼▼▼

▼▼


「おはよー」

「資材の準備? 大変だね」


 公民館の倉庫から資機材をストレージに格納し、一息ついていると平沢と山下がやって来た。


(たける)達夫たつお。資材の準備はストレージに突っ込むだけだから大したことないさ」

「相変わらず便利なやつだな」

「まぁな。それにしても随分と早いな?」

「そりゃそうだろ、結構楽しみだったんだぜ? 誘ってくれてさんきゅーな」


 山下が口元に笑みを浮かべながら首を縦に振る。

 平沢もその横で苦笑しているが、少し目の下にクマがあるような。

 寝不足か?

 遠足の前日寝付けないとか小学生かよ。

 でも九頭龍戦前日でも普通に寝てたくらい神経太かった気がしたんだが。


「悟、誘ってくれてありがとう。ふぁふっ……」

「いや、こちらこそ来てくれて助かるよ」


 礼を言いながらもキョロキョロと周りを見渡しながら落ち着かない様子の二人。

 こいつらの目的は別にあるから仕方がないとは言え、あまり露骨なことされると困るんだけどな。


「それで綾小路さん達は?」

「まだ来てないよ」


 俺は支度があったから早く来てたけど、集合時間まで一時間近くある。

 流石にまだ早すぎるだろう。


「そうか……」

「早くこねーかなー」

「飢えすぎじゃないか? がっつき過ぎると逆に引かれてしまうぞ」

「「ああ゛!?」」


 思わず苦言を呈してしまうが、なぜか二人から睨まれる。

 なんでよ。


「はぁ、悟は良いよな」

「悟にゃわかんねーよ……」


 二人はシス達の方を見ながら負のオーラを(かも)し出す。


「えーっと、シス達は精霊、だぞ?」


 彼女達は精霊だから、そう言うことこはない。

 そりゃ満たされる部分はあるけど、それはそれ、これはこれだ。


「綾小路や伊集院先輩はチームメイトってだけだし」

「なぁ、悟。友達やめてもいいか?」

「裏切り者には死を。だっけ?」

「物騒なこと言うなよ」


 冗談を言い合いながら、俺達は皆が来るのを待つのだった。



 俺達の前には総勢五十名近い小学生達。

 各班五名ずつで十班に分かれて並んでいる。

 皆、期待に胸を膨らませているようでそわそわしていた。


 静かにするように水島先生が注意をした後、子供達に自己紹介を行う。

 さりげなく水島先生も巻き込まれているんだな。

 平井先生もだが。


 神宮寺先輩に、俺、そして平沢達のことは流石に皆知っているようで、ものすごくキラキラした目で見られていた。

 神宮寺先輩はともかく、俺はそんな目で見られるほどの者じゃないんだけどな。


「一番左の人とその隣の人が青龍なんでしょ?」

「すごいね」

「カッコいい」


 自己紹介をしているとそんな声が聞こえてくる。

 少し照れてしまうな。

 俺達の自己紹介が終わると今度は子供達の番だ。


 とは言っても人数が多いので名前だけだが。

 そして覚えきれるわけもなく。

 名札つけてるから良いけど。


「「「「お兄さん、お姉さん、よろしくお願いします!!」」」」


 ま、せいぜい頑張るとしよう。

 彼ら、彼女らが無傷で家に帰れるように。

 楽しい思い出を作れるように。


 俺達を乗せたバスは、晴れ渡った青空の下一路キャンプ場へと軽快に高速道路を駆け抜けるのだった。

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