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第三十五話 半霊半魔

「到着ーっ!」

「新幹線だと早いね、途中から在来線だったけど」

「駅弁、思ったより美味しかった……」


 そうか、よかったな。

 シス達が二人前たいらげてなければ俺も美味しく食べれたと思うよ。

 一応領収書もらっておいたけど、これ経費で落ちるのだろうか。


「神無月君、よろしくね」

「おぅ」

「場所はわかるの?」

「前に一度行ってるから大丈夫だよ」


 あれだけ水晶が林立しているのだ。

 場所が分からなくても上空から見ればすぐわかるだろう。


「それじゃいきますか」


 山の空気は気持ちがいいな。

 遊覧飛行しながらだからなおさらだ。

 俺達はのんびりと目的地へと向かった。



「すごい! 水晶の森ねっ!!」

「綺麗……」

「すごいな、これは」


 上空からの眺めは感動的だった。

 これ、夜だったらもっと綺麗だろうな。

 水晶、薄く発光してるし。

 しかしこれだけ綺麗なら、伊集院先輩にも見せてあげたかったな。


 現地には既に研究員や冒険者達が集合していた。

 彼らは空から降りてきた俺達をぽかんと見つめていたが、俺達が地面に降りると白衣を着込んだ爺さんが飛び出してきた。


「もしや神無月名誉教授ではありませんか!?」

「あ、はい」

「おお、お待ちしておりましたぞ!」

「すみません、遅れましたか?」

「いやいや、集合時刻まではまだ一時間以上ありますから! いやはや! 予て(かねて)から一度お会いしたいと思っていたのですよ!」

「は、はぁ」


 テンションの高い爺さんだなぁ。

 そんなにキラキラした目で見つめられても困るんだけど。


「種を提供していただいたおかげで我々の研究も随分と進みそうです。今回も貴重な場にお呼びいただき感謝しております!」

「そうですか。すみません、ちょっと仲間も居るのでこれくらいで」

「おお! そちらの方々が貴殿のパーティーですかな!? なるほど、実に凛々しい顔立ちだ! 流石は貴殿のパーティーですな!」


 あんまり持ち上げられすぎてくすぐったい。

 もうこれくらいにしておいてもらえないだろうか。


「所長、神無月名誉教授が困られております。それくらいにしておきましょう」

「む、そそうか。すまない、歳柄にもなくつい興奮してしまった」

「いえ、研究に熱心ということがよく伝わってきましたよ」

「そうか! そう言ってくれるか! 最近の研究員は暑苦しいと言うが、君はそう言ってくれるか!」

「しょ・ちょ・う?」

「ええい、煩わしい。まぁ時間も限られていることだし、今はこれくらいにしておこう」


 今はって、もう十分でしょうに。

 暑苦しすぎるわ。


「ああ、自己紹介がまだだったな。私がダンジョン研究所所長、神宮寺 明宏(じんぐうじ あきひろ)だ。今回はよろしく頼む!」


 また神宮寺か。

 神宮寺先輩の親戚なんだろうけど、神宮寺先輩とキャラが違いすぎるぞ。

 触らぬ神に祟りなしだな、これは。


「……、聖骸緑櫻(せいがいりょくおう)高校一年Fクラスの神無月 悟(かんなづき さとる)です。よろしくお願いします」


 そのまま他のパーティーメンバーも自己紹介を行ったがミキの時に再び所長が暴走して大変だった。


「これは! これは世紀の大発見ですぞ!! 神無月名誉教授が育てたのですか!?」

「えっと、まぁ、佐倉さんから土と鉢植え借りて埋めただけですけど」

「ぜひともその土と鉢植えを私に!!」

「所長、本当にもう時間がありません」

「くっ、仕方がない。また後で話そう!」


 その後、冒険者達も含めてミーティングを行った。

 と言っても大したことはない。

 二十五階層にポータルで移動した後、二十四階層へ徒歩で移動。

 現地警備班と合流し、観測機器が正常に動作していることを確認してからダンジョンコアを破壊する。

 これだけだ。


「へー、これで移動できるんですね」

「気をつけろよ、水晶に触ると同時に転移するから」


 先に冒険者達が行っているから滅多なことはないだろうけど、一応注意をしておく。


「よし、チーム聖撃の初出撃だ。行くぞ!」

「「「「「「おー!!」」」」」」


 一人欠けての初出撃だがこればかりは仕方がない。

 次の出撃は全員揃って出撃したいものだ。


 特にモンスターと遭遇することもなく、あっけなくダンジョンコアまで到達することが出来た。

 以前ボスと戦ったルームには機材が積み上げられ、様々な数値を収集することに余念がない。


「これか」

「はい。まだ壊すのは待ってくださいね。現在最終確認中ですから」

「分かりました」

「これがダンジョンコアか」

「薄く光ってる……?」

「これを壊せば新しく能力が得られるんだよね?」

「何の能力かはわからないけどな」


 事前にわかれば助かるんだけどね。

 能力を得て確認するまでは全くわからないのだ。


「わわっと!?」

「大丈夫かい?」


 綾小路さんが転けそうになったが、危うい所でミキが体を支えてくれた。

 ダンジョンに慣れていないせいか、薄暗い中で足元を取られたみたいだった。

 なれるまでは仕方がないものではあるのだが、これからのプランをしっかり考えなきゃいけないな。


「う、うん、何かに躓いたみたい」

「気をつけて」

「うん。ちょっと離れてるね」


 他のパーティーメンバーも少し離れた位置で待機することにしたみたいだ。

 まぁ万が一があると洒落にならないからなぁ。


「それでは準備できました。いつでもどうぞ」

「わかりました」


 ふぅ、それじゃ行きますか。

 と、思った時だった。


「ああ、手が滑ったー」

「は?」

「へ?」

「うそ!?」


 ミキが棒読みと共に、勢い良く手をダンジョンコアに振り下ろしたのだ。


 バキャンッ!!


 音を立てて砕け散るダンジョンコア。


 え? え? これどういうこと?


 混乱する俺を他所(よそ)に辺りが光りに包まれ、元に戻ったときには俺達は地上に居たのだった。


「ああ、パパ、済まない。やってしまったよ」

「い、いや……」

「なっ、なっ、なっ……」


 震える声が横の方から聞こえる。

 視線をちらりと向けると神宮寺所長が口を大きく空けたまま震えているのが見えた。


 その後俺とミキは一日中所長の質問攻めを受ける羽目になってしまった。


「ダンジョンコアとモンスターの関係は能力者と精霊の関係に近いということか! なるほど! それで!」


 ミキ曰く、あのダンジョンコアがミキに自分を守れ、俺を殺せと命じてきたらしい。


「とても不愉快だったよ。ボクにパパを殺せだなんて、負けた分際でよく言えたものだ」


 カッときてやった。

 反省はしている。

 そういうことらしい。


「大発見だ、これは大発見だぞ!!」

「良かったですね?」

「神無月名誉教授! ありがとう! 本当にありがとう!!」

「あー、はい。お力に慣れて良かったです」

「この礼は必ず! もし君に困ったことが起こればいつでも相談してくれ! 必ず役に立つ!」


 全世界が君の敵に回っても私は君の味方になるって、それ、爺さんから言われるとかなり微妙というか気持ち悪いんですけど……。

 それだけ本気で味方してくれるってことなんだろうけどさ。


「はぁ、じゃあ早速一ついいですか?」

「何でも言ってくれ!」

「飯、食いに行かせてもらえませんかね」


 時刻は八時を回っていた。

 いい加減腹減ってんだよ。

 そう言うと俺は立ち上がりレストランへと向かった。


「ああ、パパ」


 レストランに向かう途中、ミキに袖をひかれる。


「ん? どした?」

「ボク、半分精霊になったみたいだから」

「はい?」


 てれてれてってってー♪

 神無月は半分精霊、半分モンスターの娘を手に入れた!

 ……、意味がわからない。


「まぁパワーアップってとこかな。これでもっとパパの役に立てるよ!」

「ソウデスカ……」


 うん、なったものはしょうがない。

 今更もとに戻せるわけでもないし。

 国の研究所に預けたら研究所吹き飛ばして戻ってきそうだしね。


 既に手遅れ、とっくの昔に時限爆弾というフレーズが頭によぎる。


「もういいや……」


 俺は疑問を記憶の彼方に投げ捨てることにしたのだった。



 なお、後日研究所から金一封が届いたが、ミキの生活雑貨等の購入に殆ど消えていった。

 制服って結構いい値段するんだよね……。


「パパ、ごめんね? 急に大きくなってしまって……」

「あー、大丈夫、大丈夫だから」


 頼むから背中から抱きつかないでくれ。

 かなりのボリューミーなブツがやばいことになってるから!


「ふふっ」


 分かっててやってんな、こんにゃろう……。

 しかし俺は何も言えないのであった。

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