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第三十三話 遊園地へ行こう

 遊園地。

 それは夢と希望の楽園。

 かわいいキャラクターがゲストを迎え、楽しいアトラクションで誰もが楽しくなる。

 そんな世界だ。


 しかし何事にも例外はある。

 ジェットコースターにお化け屋敷などだ。

 恐怖を与えるアトラクション。

 こういうのが好きな人もいるらしいが、俺は苦手なんだよな。

 何が楽しくて自ら恐怖を味合わなければならないのか理解に苦しむ。


 俺がこんなに愚痴を吐いているのには理由があるのだ。


 俺達は遊園地に到着すると早速最新のアトラクションを楽しむ事になった。

 それは最新型のアトラクションで、どうやら俺達が一番最初の客のようだった。

 入り口は目立たなく設置され、切符を受け取る人も居ない。

 入場フリーということなのだろう。

 出来たばかりのアトラクションなのにタダで入れるとはなんて気前がいい遊園地なのだろうか。

 意気揚々とアトラクションに足を踏み入れた俺は、もう二度とこの遊園地に来たくないと思うのだった。


「皆俺の後ろに! ミキは隙間を埋めてくれ! シス!他に出口はないか!? リコは神宮寺先輩に緊急連絡!」

「ひぃぃ……」

「わ、私はっ」

「神無月君、頑張って!」

「パパ、任せといてよ。後ろには通さないよ」

「うん、ここだけ。ここさえ抜かれなければ大丈夫だよ!」

「救援、あと一時間位かかるって言っとるで」

「一時間かよ……。だがやるしか無い」


 俺は通路の前に立ちふさがると次々に襲い掛かってくるモンスター達を捌いていく。


「そこまで強くはないな……。これならどうにかなる、か?」


 せっかくの遊園地なのに、ついてない。


「えっと……、大丈夫そう……?」

「そうだな、突破されることはないと思う」

「はは、流石神無月、勲章持ちは伊達ではないな」

煽て(おだて)ても何も出ないぞ、っと!」


 上から降ってきたコウモリ型のモンスターを撃ち落とすと俺は一息ついた。

 さっきまで真っ青な顔をしていた寺門は復活したようだ。

 スポーツやっているだけあってタフなのかね。


 しかし不幸中の幸いなんだろうな。

 もしこのままモンスターが園内に流出していたら大惨劇が繰り広げられただろうし。

 このダンジョンを見つけた綾小路さんは殊勲賞モノだ。


 出入り口が一つなのも運が良かった。

 ここさえ塞げ(ふさげ)ば良いのだから。


「ホールがもう少し狭ければ最高だったんだけどな」

「それにこのホールから出てる通路、多すぎ。倒しても倒しても、どんどんホール内にモンスターが流入てくるわ」

「嫌がらせかっ!」

「パパ、左からまた来る」

「あいよっと!!」


 今は何時だ。

 ふと時計を見る。

 ああ、もうパレード始まってるじゃないか。

 シス達が楽しみにしてたというのに。



 そのままモンスター達と激闘を重ねること一時間。

 漸く救援が到着した。


「神無月、大丈夫か?」

「なんとか、ですね」


 神宮寺先輩が救援を引き連れてやって来た。

 今日は会合があり、主要メンバーが遠出していて遅れたそうだった。

 ともあれ、これで一安心だ。

 あとはここを保持したままモンスターを殲滅し続ければいい。


「ん……? あれ?」

「どうした?」

「いや、システムウィンドウの動きが急に悪くなって」

「ふむ?」

「シス、わかるか?」

「えっと、たぶんだけどランクアップしたっぽい?」


 このタイミングでかよ。

 覚醒度が最低まで低下してしまうじゃないか。

 これでは移動速度の早いモンスターに対応しきれない。


「じゃあボクがやるよ、パパは防御とモンスターの行動範囲を制限してもらえるかい?」

「大丈夫か?」

「ボクだって直接攻撃の手段はあるんだよ?」

「分かった、頼む」


 モンスターの行動範囲を狭めるようにシステムウィンドウをゆっくりと動かす。

 そうして動きの鈍くなったモンスター目掛け、ミキが黄色い果実を投げつけた。


 いや、それパイナップルやん。

 そんなもの投げてどうするつもりだ?


 俺はそんなことを思いながら放射線を描き的に向かって飛んでいくパイナップルを見つめた。


 ドムッ!


「……」

「よし、一体撃破!」


 手榴弾(パイナップル)……?


「コツも掴んだし、どんどん行くよ! あれ? パパ、どうしたの?」

「いや、なんでもない」


 教えたら作れなくなるかもしれないし。

 とりあえず黙っておこう。


「そう? あ、皆も暇なら手伝ってよ。どんどん出すからさ!」

「わかった。でもこんな果物あったのね」

「パイナップルって言うんやったか? 物騒やなぁ」


 ……、帰ったら教えよう。うん。

 それにしても、土から兵器が作れるなんて、パパ知らなかったよ。


「……、ここは任しても大丈夫そうだな?」


 神宮寺先輩、そんな目で見ないで下さい。

 そして察しないで下さい。

 辛くなります。


「あ、はい」

「では頼む」


 神宮寺先輩達を送り出すと俺達は出入り口に陣取り防衛戦闘を続けた。



「ん、モンスターが消えていく?」


 やっとか。

 時計を見ると、パレードはとっくに終了している時間だった。


「はぁ、間に合わなかったか……」


 今度、埋め合わせしないとな。


 周囲が輝いたかと思うと、俺達は地上に戻っていた。

 無事にダンジョンコアの破壊ができたようだ。


 ふぅ、少し疲れたな。

 思わずボーっとしていると首筋を襲った冷たい感触が俺を現実に引き戻す。


「お疲れ様っ」


 犯人は伊集院先輩だった。

 凶器はその手に持ったスポーツドリンク。


「ありがとうございます」

「大変だったね?」

「いえ」


 言われてみると全身を疲労感が襲ってくる。

 喉もカラカラだった。

 そりゃそうか、二時間以上休まず戦闘してたんだしな。


「それにしてもスタンピード発生寸前のダンジョンを発見だなんてお手柄じゃない」

「見つけたのは俺じゃないですよ、綾小路さんです」


 そこははっきりしとかないとな。

 他人の手柄を掠め取る気はない。


「ふーん? そうなんだ?」

「なにか?」

「んー、このダンジョンの入り口ってかなりわかりづらいところにあったからさ。てっきりマップで見つけたんだと思ってたの」

「たまたま綾小路が携帯を落として、それを拾いに行った時に見つけたんですよ」

「歩道からは結構距離あったと思うけど」

「携帯が手をすっぽ抜けて飛んでいったらしいですよ」

「そうなんだ? 運が良かったのかな」


 そう言って伊集院先輩は目を細めた。


「あ、伊集院先輩」

「お、綾小路後輩。聞いたよ、お手柄だったんだって?」

「たまたまですよ。私は大したことしてませんから。神無月君が居なかったらどうなっていたかわかりませんし」

「謙遜しちゃってまぁ、お姉さん寂しいぞっ!」


 その後、これから遊園地側に説明をするという伊集院先輩達と別れ、遊園地を後にした。



「今日は誘ってくれてありがとな」

「ううん、今回はこんなことになっちゃったけど、また一緒に行ければ嬉しいなっ」

「そうだな、パレードも見れなかったし。私は観覧車に乗れなかったのが心残りだよ」

「うん、また行きたいね……」


 そうだな、パレード、見なきゃだもんな。


「ああ、次は俺から誘うよ。……、お得な日を探して」

「楽しみにしてるねっ!」

「それにしても遅くなった……」

「晩御飯、寮に戻ってから食べる?」


 少し遠慮(えんりょ)気味に聞いてくる綾小路さん。

 大丈夫だよ、今日はちゃんとお金あるから……。


「いや、今日くらい外食にしたいかな」

「おおー! リッチメンだー!」

「ハンバーグ! うちハンバーグがええ!」

「ボクはどちらかと言えば和食が良いかな」

「あはは、それだとファミレスだね」


 久しぶりのハンバーグはとても美味しかった。

 やっぱり肉は良いな。


▼▼▼

▼▼


「……、これが、これがパイナップル……?」

「そうだな」

「いや、しかしこれでは爆発しないだろう?」

「品種によるんじゃないか?」

「ふむ、そういうことなのか」


 俺はミキを適当にごまかした。

 いつ気がつくか、少し楽しみである。

お読みいただきありがとうございます。

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