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第三十一話 身体測定

「今日は朝ごはん抜いてきた……」

「ああ、私もだ」

「もぅ、二人共体にわるいよ?」

「そういう穂乃果はどうなのよ……」

「バナナだけ食べてきた、えへへ」

「私達と大して変わらないじゃないか」


 身体測定の日、教室の空気は少しピリピリしていた。


「朝飯抜いてきたぜ……」

「ああ、俺もだ」

「おいおい、二人共体にわるいぞ」

「そういう武田はどうなんだ」

「牛丼特盛りだけ食べてきた、ははは」

「俺達と大して変わらないじゃないか」


 いや、違うだろ。

 雨柳達が女子の真似をしているのを横目で眺める。

 宮田と武田、それに雨柳とは最近できるだけ話をするようにしている。

 男友達、作らなきゃだからな。

 クラス全員は無理でもせめて席の近い連中とはと思う。


「男がんなことぐちぐち気にすんなよなー」

「いやー、そうは言ってもさ」

「体重より身長のほうが気になるぜ、体重は後から減らせるが身長は後から伸ばせないし」

「まぁそうだけどな。おい、神無月、お前は?」

「ん、いつも通りだな」

「おー、余裕だねー」


 宮田が笑いながら言ってくる。

 別に余裕というわけじゃない。

 むしろ俺も今朝は控えめにしたかったんだがな。


「悟に朝ごはん抜かせるわけ無いでしょ」

「うちも巻き添えは勘弁やしなー」

「外付け良心回路は今日も絶好調だな」


 昨日、朝ごはんは控えめにしたいとシスには言っておいたのだが、今朝の食卓はいつもと変わりないメニューが鎮座していたのだ。


「今更ジタバタあがいても仕方ないでしょ」

「せやせや」


 おい、そのセリフは女子を敵に回すからやめろ。

 お前は大丈夫でも俺が睨まれるじゃないか。


「そう言うシスちゃんは大丈夫なの?」

「まぁ私は精霊だしね」

「へー、そういうものなんだ?」


 俺達の声が聞こえたのか、綾小路さん達が近づいてくる。

 綾小路さん達が近づくと同時に雨柳達は離れていってしまった。

 あー、うん、皆、すまん。


「シスちゃんも体重計の冷酷さを知ればいいのに……」

「まったくだな、仲間なんだから同じ思いを共有すべきだと思うのだが」

「したくても出来へんしなー」


 シスとリコはまぁ仕方がないよな。

 だが、一人、そうはならない奴が居た。


「ん? ミキちゃんどうしたの?」

「え、いや、なんでもないさ」

「ふ~ん……、ミキちゃんは精霊じゃなかったよね?」

「……、勘のいい子は嫌いだよ……」

「ミキは可愛いから大丈夫……」

「ママ……、そう言う問題じゃないんだ」

「ごふっ……、反抗期……?」


 ショックを受けている佐倉さんは置いとくとして、いつの間にか成長していたミキをまじまじと見つめる。


「なんだい、パパ?」

「いや、大きくなったな、と」

「おや、セクハラかい?」

「そうじゃねぇよ」


 先週までは小学低学年くらいの身長だったのに、もう高校生と言っても不思議ではないくらいの身長になっている。

 モンスターだからだろうか?

 それとも植物だから?

 よくわからないが、俺の財布にダメージを与えたのは間違いない。

 はは、ダンジョン関係は本当に油断ならない。

 まさかの多段攻撃とはね……。


「いやー、仲間が増えてよかったよ!」

(こころざし)は高く持つべきじゃないかと思うのだけど?」

「ミキ、大丈夫、ママがついてる……」

「親愛の情を盾に仲間に引きずりこもうとするのはやめてもらえないかな?」


 ミキが綾小路さんの魔の手につかまろうとしていた時だった。

 リコが爆弾を放り込んだのである。


「シスもやばいんとちゃう? 二の腕とか前より気持ちプニプニしてる気がするで?」

「え? そんなはずは……」

「ほほぅ、それじゃシスちゃんも一緒に測ってみようか」

「や、やめて、私に何をするつもりよ!?」

「ふふふ、天井のシミを数えている間に終わるから安心して」

「穂乃果っ!?」


 シス、ミキ、君達のことは忘れないよ。

 たぶん、きっと。

 あ、次うちのクラスか。

 もう移動しなきゃ。

 あれ、何考えてたんだっけ?

 まぁいいや。


「作戦通りや……」

「ん? なんか言ったか?」

「うんにゃ、なんでもないでー? それよか抱っこしてや」

「仕方ないな。今だけだぞ」


 たまにはリコを甘やかすのも悪くないか。

 シス達に見つかるとうるさいからなぁ。

 俺はリコを抱っこすると測定会場へと向かった。



「もうダメ……」

「ぼ、ボクはモンスターだから……」


 俺達が測定から帰ってくると、机にはゾンビ、もとい、シスとミキが潰れていた。


「そっとしておいてあげて……」

「お、おぅ」

「なんや、デブ言われたんか? ほれほれ、言うてみ?」


 リコさん、遠慮ないですね。

 もうちょっと優しさと言うものを学習しましょうか。

 因果応報と言いますし、その発言のツケはそのうち自分に降り掛かってくるんですよ?

 ほら、二人がものすごい目でこちらを見てきているじゃないですか。

 怖すぎてちょっとちびるかと思った……。


「りこぉ……」

「ははは、リコ、うちの食卓はボクとシスが握っているってこと、忘れてないかい?」

「なっ!? 卑怯やで!?」

「今日からリコのご飯はずっともやし、明日も明後日も明々後日もずーっともやし……」


 シスが死んだ目でモヤシモヤシと呟く。


「うちが! うちが悪かった! せやから許して!?」

「ふふ、もやしのスープにもやしの炒め物、もやしサラダも付けてあげるわよ」

「いややああああ! うちは魚が好きなんや!!」

「大豆は畑の肉って言われてるんだ。もやしも似たようなものだよね?」

「絶対違うわっ!!」


 その後、謝り倒したリコに二人は漸く溜飲を下げた。


「でも今日からダイエットメニューだから」

「そんなぁ……」


 しかし結果は変わらないのであった。

 さりげに俺も巻き添えである。

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