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第三十話 戦力増強

 長距離移動大会の翌々日。

 放課後、俺は生徒会室でダンジョンの資料を漁っていた。

 綾小路達をダンジョンに連れていくにあたり、俺が引率役になるわけだからな。

 しっかり調べておかないと。


「神無月君、ちょっとお願いがあるんだけど」

「伊集院先輩? どうしたんですかそんな改まって」

「うんー、それがねぇ……」


 話を聞くと伊集院先輩のパーティーが解散することになったらしい。

 まさか何かトラブルでもあったのだろうか?

 高位能力者同士が喧嘩するとお互い攻撃力が高いので大惨事になりかねない。

 俺は少しハラハラしながら伊集院先輩の話を聞いていった。


「霜月と猫屋敷が生徒会の副会長になる予定でさ、そうするとダンジョン調査委員会と兼任できなくなるのよ」

「あー、それは仕方がないですね……」

「同級生は皆もう固定のパーティー組んじゃってるし、神無月君のパーティーに入れてもらえないかなって」


 なるほど、完全に固まってるパーティーには確かに入りづらいだろう。


「でもいいんですか?」

「何が?」

「いや、うちのパーティー、皆ランク低いですよ?」

「でもすぐに上がるでしょ? クエストの斡旋もあるし」

「なるほど、それも込でってことですか」

「そりゃね。ああ、大会賞品のクエストには流石について行かないから安心して」


 伊集院先輩が加入してくれるならとても助かる。

 前回の遠征ではサポート、伝令役に回っていたが、彼女の能力は戦闘にも向いている。

 欲しかったアタッカー、それも高位のが加入するなら万々歳だ。


「一応メンバーにも相談してからになりますけど」

「当然ね」


 期待してるわ。

 そう言い残して伊集院先輩は自分の机へと戻っていった。



「それでは、メンバーの追加を祝って、かんぱーい!」

「「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」」


 伊集院先輩の加入の件を聞いたところ、満場一致で賛成だった。


「それじゃ歓迎会しなきゃ!」


 そして綾小路さんのこのセリフで伊集院先輩の歓迎会が急遽(きゅうきょ)決定したのだった。

 何故か俺の部屋で。


「いやー、ありがとねー?」

「いえ、こちらこそ助かります」

「うんうん、ほんと助かりますよー」

「アタッカー居なかったから……、どうしようか考えていましたし……」

「ああ、先輩みたいに強い人が居れば心強い」

「それは言いすぎよ、神無月君が居れば問題ないでしょ。彼、私より強いから」

「それこそ言いすぎですよ。俺はあくまでサポーターですからね?」


 うん、システムウィンドウは本来、武器でもなければ防具でもない。

 ましてや乗り物であることなど在りえないのだ。


「まぁいいけど。今だとちょっと能力差が在りすぎるから生徒会から斡旋されたクエストが終わったら合流するわね」

「はい、楽しみにしてますねっ!」

「早くクエストやりたい……」

「紹介はいつになるのだろうな!」


 三人共とても楽しみなようだ。

 俺は知っているが、神宮寺先輩から直接話をされるまでは黙っておいたほうが良いと思い言っていない。


「ああ、それなら明日にでも。ってこれ言っちゃまずかったのかしら」

「……、聞かなかったことにしておきますよ」

「助かるわ」


 伊集院先輩って地味にやらかしてくれるからちょっと心配だ。


「そう言えば伊集院先輩の能力って何なんですか?」

「そうだな、ランクはⅣだと聞いたことがあるが能力の詳細は知らないな」

「ん、そうね、仲間になったんだし教えておきましょうか」


 音の操作、それが伊集院先輩の能力だ。

 たかが音と侮ることなかれ。

 要は空気の振動を操れるということなのだ。


「つまり衝撃波とか武器に振動を付与したり出来るってわけ。それに相手が動物系のモンスターなら平衡感覚を狂わしたりも出来るわよ」

「武器への振動って何か意味あるんですか?」


 綾小路は不思議そうに首を傾げた。


「んー、打突系の武器だとそうでもないんだけど、斬系の武器だと切れ味が増すわ」

「そうなんですか……」

「ちょっとデモンストレーションしてみましょうか」


 ピンときていない様子に伊集院先輩はそう言ってヘアピンを二本取り出した。


「こっちのヘアピンに振動を付与してもう一個のヘアピンを叩くとどうなると思う?」

「えっと、振動が伝わるんじゃないんですか?」

「ふふ、見ててね」


 伊集院先輩がヘアピンに振動を付与すると、ピーンと言う音がヘアピンから発生しだした。

 そしてもう一つのヘアピンにあて、切断してしまった。


「え!?」

「こういうことよ」

「す、すごい……」

「ふふ、後は体に振動を与えて一時的に身体能力を少し上昇させたりかしら」


 前衛も中衛も務められるバランスタイプなんだよな。

 霜月先輩と猫屋敷先輩が完全に前衛タイプだから今まで中衛や後衛をやっていたけど、前衛でも十二分に力を発揮する。


「他にはランクⅡだけど自動回復系の能力もあるわよ」

「二つも能力があるって、すごいじゃないですか!」

「ありがとう。でもこっちは攻撃には使えないわ」


 自動回復というのはありがたいよな。

 戦闘中でも回復に気を回さなくても良いわけだし。


 俺も回復系の能力が欲しいが、ダンジョンコアを破壊するチャンスなんて早々ないしなぁ。

 あ、そう言えば遠征先のダンジョンはどうなったのだろうか。

 一応俺にダンジョンコアを破壊する権利があるみたいだけど。

 調査が終われば破壊しても良いみたいだから待ってるんだよね。

 あとで聞いておこう。

 とは言え、そこまでの交通費をどうするかって問題はあるが。

 なんせ四人分だからな……。


「そう言えばこのパーティー、名前は何ていうの?」

「パーティーの名前ですか?」

「あ、もしかしてまだ決めてなかった?」

「そうですね、考えてすらいなかったです」


 綾小路が焦りながらそう答えた。

 そうか、正規のパーティーを結成するんだから名前が必要なのか。


「あら、それなら急いで決めないとまずいわよ」

「そうなんですか……?」

「ええ、大会賞品のクエストはパーティーが対象だから。クエスト受領持にパーティー名が要るの」

「それじゃ今日中に決めないとまずいな。私はこういうのセンス無いから皆に任すよ」

「私もちょっと苦手かな」

「神無月君が決めればいい……、このパーティーのリーダーなんだし……」


 え、いつから俺がリーダーになったの?

 いや、そうなるかなとは思っていたけれど。


「えーっと、それじゃ……、聖撃(せいげき)なんてどうですか?」

「それで決定だな」


 え、そんなあっさり決めていいの?

 もうちょっとこう、意見を出し合ったりさ。


「おー、良いんじゃない? シンプルでかっこいいじゃん」

「うん、良いと思うなっ」

「かっこいい……」


 チーム聖撃、後に世界に衝撃を与える名前である。

 なんてな。

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