表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

3話

姫殿下からのもう抗議を適当に聞き流しアーサーにこの城にいち早く馴れてもらうため城の中と使用人を紹介しましょうか。


「アーサー早くこの城に馴れてもらうためこの城を案内しましょうか」

「城を見て回るの!?」


アーサーの目がキラキラと輝いている、そんなに楽しみなんですね。

その気持ちは分かります、私もこのシュヴェルツェに使えたばかりは目を輝かせて城を探検したものです。ですが魔王の世代交代につれ城も姿形変わりますのでまだまだ先ですがその事も馴れてもらわなければ困りますね。


「城を案内するのか?ならばこのノルンに任せておけ!なんたってこの城は余の城じゃからな、新しき友をこの城の主である余が直々に案内するのが筋であろう」

「さすがは姫殿下、新な臣下を恩自らもてなす御心敬服しました」

「そうじゃろうそうじゃろう!もっと褒めてもいいのじゃぞ?」


姫殿下のもてなす心は感心しましたがそのお調子者な所は難点ですね…でも姫殿下の心遣いは感心です、そこらの王より御心が広く私は鼻が高いです。


「ですが御心が広いからといって褒めるのは別です、上に立つ者常に家臣や下下の事を思いやるのは当たり前です」

「むぅ…お主のそう言うところが固いというのしゃ、もう少し柔らかくなれ」

「私が固くしいるのは姫殿下ですので柔らかくさせたいならもう少し態度と行動を改めてください」


姫殿下はぶぅっと頬を膨らませふてくされましたがすぐ気分を変えアーサーの手を取り部屋上機嫌で出ていった。


「姫殿下今日は一段と機嫌がいいねぇ」

「年の近い子供がこの城に入ったんです、今まで同じ子供と接しておられなかった姫殿下にとっては新鮮かつ心踊るのでしょうね」

「これはもしかしてするとだねぇ~」

「何を言ってるんですか貴女は…」


女性っていうのはなんでこういった話を好むのですかね…私も前世は女でしたが今やもうその気持ちは分からなくなりました。


「おーい、トールフィーリ何をしておるはよしないと置いてってしまうぞ~」

「はいはい今いきますよーっと、行くよトール!」


フィーリは私の背を軽く叩き部屋を出ていく、やれやれ…相変わらず元気が有り余っていますね。

フィーリの様な元気が私にもあれば良かったのですがあったらあったでキャラ崩壊になりかねませんので無理ですね…実際この見た目上元気の塊タイプの性格は恐ろしいほど似合いませんし。


「よーし…まずは闘技場に行くぞ、アーサー遅れず余に付いてまいれ!」

「はっはい!」

「フフッアーサーったら姫殿下に振り回されてるね」

「姫殿下も友が出来て張り切って居るのでしょうね、これはアーサーにとっても良い傾向ですので暖かい目で見守りましょう」


出会ってすぐ彼処まで打ち解けられるなんて人懐っこそうに見えて実はかなりの人見知りである姫殿下が彼処までアーサーに心開くなんて。

フィーリではなくともこれはもしかしたらもしかしてかもですね。


場所は変わって闘技場、アルストル城から10キロ程離れているので此処までは城の地下の部屋にあるワープゲートから繋いで来ました。

城の中から案内すれば良いのにと思いましたが折角姫殿下がやる気出しているので口には出しません。


「姫殿下遠いんだから城から案内したほうがはや…むぐっ!」

「しっ!折角姫殿下がやる気出しているのですから余計な口出しは駄目ですよ」

「それもそうだねぇ…」


姫殿下は少し抜けている所があるのである程度多目に見ないとすぐ拗ねるのでめんど…少し手が掛かるのです。


「むっ?何か言ったか?」

「いいえ姫殿下は気にせずともフィーリと夫婦水入らずの会話をしていただけですよ」

「相変わらずのおしどり夫婦よのぉ…」

「おしどり夫婦ならすぐ別れるじゃないですか」

「そうなのか?」

「おしどりが寄り添うのは繁殖期の間だけです」

「何か夢が壊れた気がするのぉ」


何か残念そうに肩を落とし闘技場へとアーサーを引っ張って歩く。アーサーはいきなり場所が変わった事にびっくりしたのか目を真ん丸にして周りを見渡してます、その様子が可愛くてカメラがこの世界に無いのが悔やまれます…今度技術の方面で発展を更に進める必要がありますね。


「着いたぞ!此処が我がアルストル自慢の闘技場じゃ!」

「でっ…でかぁ!」

「何時見てもデカイですよね」


闘技場というからイタリアのコロッセオの様に想像したでしょうがそれは違います。

首を目一杯上げても先が見えません、見た目もまるでバベルの塔の様です。空にはアルストル軍のドラゴンが結構な迫力を出して飛んでます。もはやアルストル城ではなく此処の方が勇者が仲間達と共に挑みそうな風格ですよね。


「っということでトール」

「はい」

「余とアーサーをあの塔の最上階へ連れてけ」

「このままでですか?」


姫殿下は何を言っているのか…姫殿下は私が元の姿に戻ってこのバベルの塔擬きを登れとおっしゃりたいのだろうが面倒くさいです。何故他の者は楽できて私は重労働しなければならないのでしょうか。


「何を惚けておる、竜の姿に戻ってこの塔の最上階に一気に行くんじゃ!」

「嫌です」

「何故じゃ!お主は竜王だろう、竜の王たるお主ならばこの塔はあっという間であろうに!

折角アーサーもお誂えで居るのだぞ!」


このお姫さまは何を誤解しているのでしょうか…確かに私は竜王ですが万能って訳ではないのですよ。竜はご存知の通り翼で飛ぶのですが真上には飛びません、常に前に飛びます。

真上に飛んだらヘリコプターか!っとツッコミますよ。


「姫殿下、飛行は自由自在ではないのですよ。

この闘技場を上るのに建物の周りをクルクル周りをますよね?」

「そうなのか?」

「空を飛ぶのは簡単そうに見えて大変なのです、風や上昇気流を読まなければなりませんしこの闘技場の下は上昇気流が無いのでこの闘技場を上るのは疲れるのですよ」


これで何とか諦めてくれるでしょうか、くれなかったらもう強行突破するしかないです。


「むぅ…それなら仕方ないのぉ…折角アーサーが居るのに非情に残念じゃのぉ」

「姫殿下、リュミエールの伝説(作り話)ではないのですから御容赦ください」

「仕方ない、魔法で我慢してやろう」


姫殿下はまたもやアーサーを引っ張り闘技場の中へ入る、まったくアーサーの名前があのアーサーと同じだからってあの伝説(作り話)と同じにしないでください。


「トール、アンタあの伝説が嫌だからって適当な話を作って誤魔化したね」

「だってアーサーとあの男に見立ててあのリュミエールが勝手に作った伝説(作り話)の再現は如何に姫殿下であっても御免蒙ります」


あの(アーサー)は別に嫌いではありませんがリュミエールが勝手に作った話は嫌いというか生理的に受け付けません。因みにその伝説というのはリュミエールの王アーサーは竜王にまたがり悪しき魔物を討ち滅ぼしたという話です。

何故この私が敵にまたがられ共に魔物を討たなければならないのでしょうか?それならその魔物に加担した方がマシです。

まぁアーサー王も竜をパートナーに居たのでこの話はあながち作り話だとは言いきれませんがその話を盛るため竜を竜王に作り替えるのは許せないのですよ、アーサー王のパートナーの竜は竜王ではなく白銀の聖竜です。聖竜も竜王と同じ希少種でこの世に一体しか存在しない凄い竜なんですよ、アーサー王の聖竜はもう居ないので次産まれるかわからない幻の竜です、何故その聖竜ではなくシュヴェルツェに属する竜王に変更したのか意味が分かりません。

聖竜の方が伝説的には見栄えが良いっていうのに全く竜を良く知らない人間は良くもまぁ話を変えたもんです。

聖竜は竜王と対とされていてその対の竜を手に入れたら二つの世界を手に入れられるという伝説があるみたいです、因みに聖竜は光で竜王は闇なんだとか。リュミエールでは竜王は闇に墜ちた聖竜が竜王に成ったと強く信じられてるみたいですが全くの迷信です、全く別の種族ですよ迷惑極まりないです!というか何故聖竜から竜王に変えたし!


「さっ姫殿下が拗ねる前にちゃっちゃとこの塔と化した闘技場を上るよ!」

「そうですね早く案内を終わらせて休みましょうか」


闘技場の中は東京ドームと何十個分と思うくらい広く天井も首が痛くなるほど高いです、これは魔法で闘技場の本来の大きさより更に広くしてるのですよ。これならいくら暴れだって大丈夫です。


「あの魔方陣はなに?」

「アレは目的地に行くための魔方陣ですよ、アレがなければ最上階まで何時間掛かるか分かりませんよ」

「へぇ~」

「階段があるので一から上って見ますか?」


そう言い奥にある階段を指を指す、階段はフロアをグルリと回った螺旋階段が次のフロアに延びています。あの途方もなく上に伸びた螺旋階段を上る勇気は打倒魔王を掲げる英雄気取りな勇者しか居ませんけどね。


「ムリムリムリムリムリ!!」

「状態ですよ、流石にあのくそ長い階段はまだ幼いアーサーには上らせられませんよ」

「トール息子をからかうもんじゃないよ」


フィーリに小突かれ移動用の魔方陣に入る、全員魔方陣に入ったのを確認して発動させ一気に一階のフロアから最上階に移動しました。

最上階は竜と共に戦う竜騎士達…ドラグーン隊が居ます。ドラグーン隊はシュヴェルツェが誇る軍きっての隊なんですよ、なのでシュヴェルツェの子供達の憧れの的なんです。


「父さんまさかこの人たちってドラグーン隊の人たち!?」

「全員が人ではないですがそうですよ」

「スゲー!竜がこんなにたくさん!始めてみた!」

「そりゃぁドラグーン隊竜ですからね野生の竜より鍛えられてますので強いですよ」


アーサーもドラグーン隊に憧れる子なんですね、年相応で可愛らしい所もあるじゃないですか。


「アーサーはドラグーン隊に憧れを持ってるのですか?」

「うん!だって格好いいもん!」

「それはドラグーン隊団長冥利に尽きるね」


声がした方を向くとハイエルフと人間の二人の男女が立っていた。

一見美しい女性の二人組だと思われるがハイエルフの方が男です。


「これはこれはトール様にフィーリッゼ様それと姫殿下。こんな辺鄙なところに来るとは珍しい何か我らドラグーン隊に御用なのならわざわざここに来なくともアルストルへ参りますのに」

「見かけない顔ね、新しく配属されたの?

それにしてはずいぶん幼い子ね」

「余の新しき友じゃ!」


姫殿下がドヤ顔でアーサーを二人に紹介する、なるほどだから真っ先に此処に来たのですね納得しました、姫殿下はこの二人と親しい仲なので真っ先に紹介したかったのでしょう。


「この子はアーサー、今日から私とフィーリの新しい息子です。どうぞよろしくお願いしますね」

「あああアーサーです今日からお世話になります!」


すると二人は目を真ん丸にしアーサーを直視した、まぁ宰相がいきなり養子しかも人間を迎え入れたなんて驚きますよね。


「君竜の息子になったの!?凄いじゃない!竜が人間を養子に迎え入れるなんてスッゴク稀な事なのよ!しかも母はアルストル最強の空竜父はすべての竜の王である竜王だなんて!

アルストル始まって以来の異例な事だわ!あぁ私はドラグーン隊兵長のシャルール、種族は君と同じ人間よ。どう?ドラグーン隊に入らない!?」

「えっ…えっと…」

「シャルールいきなりの勧誘は非情に美しくない、時と場をわきまえたまえ。

先ほどは私の部下が失礼した私はドラグーン隊団長ハイエルフのイルニエルと申す者、君には竜騎士となる資格を持っているようだ、少しでも興味を持ったら再び此処を訪れるといい、私達は君を何時でも歓迎しよう」

「えっと…ありがとうございます?」


どうやらアーサーは二人に受け入れられた様です、少しほっとしましたがアーサーを直ぐ様勧誘するのはやめてほしいですね。才能あるのは先程のフィーリを見て分かりますが。


「ところでトール様この坊やは何処で拾ったんですか?竜が人の子を我が子に迎え入れるなんて相当の事がない限り有り得ない事ですよ」

「アーサーはメルガルドで野盗に襲われていた所をほごしアルストルに招き入れた所フィーリが気に入ったんですよ」

「なるほどフィーリッゼ様が…大体の事は察しましたよ、やはりこの坊やは竜騎士に成れる素質がある。しかもこの坊やの名前がアーサー…中々の皮肉じゃないか。

竜王を唯一傷付けた男と同じ名前の人の子がその竜王の子に成るなんて、これは神が与えた運命なのか…それとも単なる巡り合わせなのか。はたまたこの坊や自体があの男なのか…これは面白いことになりそうだ」


相変わらずですねイルニエルは…

確かにイルニエルの言う通りアーサーはあの男の生まれ変わりだったら面白いかもしれないですがこっちからしたらたまったもんじゃないですよ。


「イルニエルは相変わらずの皮肉事がお好きな様です、しかしこのアーサーはあの男とは違います。例えあの男と同一であろうともこのアーサーは正真正銘私の息子ですよ」

「皮肉好きとは…トール様に言われたくはないですよ」

「ほらほら皮肉コンビ変な所で言い争わないの!」


フィーリに小突かれ魔方陣で闘技場の折口へと戻る。別に私は皮肉好きでもないのですが…


「よーし!イルニエルとシャルールを紹介したことじゃし次に行くぞ、皆のもの着いて参れ!」


姫殿下は意気揚々とアーサーの手を引いて先へと歩く。姫殿下が楽しそうで何よりですが少し自重なさってほしいですね…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ