2話
お待たせしました。
長い間待たせてすみません!
一万文字以上を目指していたのですが読んでる内に飽きがくるかも知れませんので今回からは五千文字をで投票します。
どうも…子供を拾ったらいきなり子供の父親になったトールです。
まさか息子が出来るとは思っても見ませんでした、フィーリッゼは何時も私の斜め上な行動をしてくれますね。
さて、これで私も竜の本能に抗えなくなりました、竜が親に持つ意味をアーサーに教えなければなりませんね。
「アーサー、今から貴方は私達の息子です。
竜が親に持つ意味を軽く教えましょう」
「…うん」
「トールもう教えても良いのかい?」
「えぇ、こういうのは早い段階で伝えるのが良いです、私達は竜ですし人間とは違います。
人間と違いも大きくでましょう、私達の種族的な事もあります、今知らなければアーサーも苦労するでしょう」
アーサー緊張しているのか唾を飲み込む音が聞こえた、何か凄いのを想像しているのだとその表情で分かりました、そんな大それた事ではないのにアーサーの様子に私は可笑しくってつい笑いそうになった。
まぁこれから話すのは結構重要な話ですので強ち間違ってはないですけどね。
「そんなに緊張しなくともよろしいですよ、大それた事ではないです、ちょっとした竜の本能については説明するだけです」
「竜の…ていうかトールさん達ってドラゴンだったの!?」
「もうアタシ達は親子なんだ、母さんって呼んでも良いんだよ」
「えっと…母さん?」
「よろしい!」
フィーリがアーサーの頭をワシワシと撫でた、本当に私より男前な性格してますよね…本人に言ったら殺されますので言いませんですけど。
というより気づいてなかったのですか、竜という単語は先程の会話から何度も出ていたのですが。
「…母さん達のドラゴンの種族ってなに?」
「アタシは空竜だよ、んでトールは竜王さ」
「りゅ竜王!?」
アーサーは驚いた顔で此方を向く、そうですよね驚きますよねこれから親になる人物が竜王だなんて…
私も驚いたものです初めはデカイ羽が生えた黒いトカゲかと思いきや竜王ですもんね…
「大したものではありませんよ竜王はこの世にたった一匹しか居ない希少種なだけですよ、世間的なイメージは竜の頂点に君臨する王のイメージが強いですが実際は潜在能力が他の竜より遥かに高いだけで竜を従わせるなんてことありません」
「従わせる事しないの?」
「従わせてほしいんですか?」
「いいえ」
アーサーも竜王は全ての竜を従わせていると思っていたみたいだ。
従わせる事は出来るけどそれは力付くでの支配だからあんまり意味がないしなんか死亡フラグを乱立させるから嫌だけど。
「力付くでの支配は可能ですがそれは身の破滅に導く事になりかねませんので私は好みませんね」
「竜王ってのも厄介なのにそれよりとんでもない奴も居る事だしね」
「竜王よりとんでもないドラゴン居るの!?」
アーサーは目を白黒させている、驚くのも無理ありませんね竜王よりとんでもない竜が存在しているだなんて誰も思いませんよね。
そしてアーサーはさっきから驚きっぱなしですね、すこしその反応は飽きてきましたよ。
「居ますよ、上には更に上が居るのです。
竜王を遥かに凌ぐ存在…我等竜種を支配し超越せし御方、その名を竜帝」
「竜帝…」
「我等竜種の頂点に君臨せし方です、実際に存在を確認された事はありませんが私は一度だけ会った事ありますよ」
「あるのかい!?」
今度はフィーリが驚く番ですか…竜帝は我等竜種では神竜ですので驚くのも無理ありませんね。
「ありますよ私が幼い頃に一度だけ、ですが余り良い思い出ではありませんよ、会った瞬間死を悟る程でしたし」
「そ…そうかい」
引きましたね?フィーリ今引きましたよね?
まあ良いでしょう、これは誰もが引くことですので気にはしません。
話が大分逸れてしまいましたので話を戻しましょう。
「話が大分逸れてしまいました、これから私達の息子になるアーサーにはそれなりの覚悟を決めて貰わなければなりません」
「覚悟?」
「一つはこれからのアーサーにおける地位、もう一つは竜の息子になる意味についての事です」
アーサーにおける地位はこの城に居るいじょう優位ですがアーサーに多大なプレッシャーを与えて仕舞うかもしれません、いや…しれないではなく完全に与えますね、しかしアーサーにも覚悟を決めてもらわなければ困ります。
「大事な話ですがアーサーは子供ですので簡単に説明しましょうか」
「うんその方が助かる」
「(コイツ面倒くさいからはしょる気だね)」
嫁の冷ややかな目線を避けつつアーサーに簡単かつ短めな説明をしましょうか、子供は飽きっぽいから良いでしょう。
「先ず一つ、此から貴方に与えられる地位について話していきましょうか」
「地位?」
「私は魔王第一補佐官フィーリは第二補佐官です、簡単に言えば宰相です。
地位は王の次に偉いということになりますよね?」
「うん?」
「その息子の貴方は其れなりの地位が与えられます、其処らの名ばかりの貴族を鼻で笑って見下せる位には。
要するに貴方の我儘が通じます、しかし宰相の息子であるために危険性も高いのです」
私の地位が高過ぎる為にアーサーに降りかかる危険、これはどう足掻いても振り払えないもの、この子には重すぎるのかもしれない。
いや…重いと言い表せない、これから来るこの子の運命を私は呪いたい。
「私の身にもしもの事が起こったら次期宰相を次いで貰うことになります」
「えぇ!?おっ俺が宰相に!?」
「そりゃ息子ですもん必然的にそうなりますよねぇ~
まぁそう簡単に次がせてやりはしないから此は置いといて、魔王軍宰相の息子である貴方に地位のほしさに蔓延る馬鹿共は其処ら拾に居ます。
だから貴方にはその馬鹿共の対処を身に付けて貰わなければなりません、しかし本当に大事な事は此れからです」
アーサーがゴクリと生唾を飲み込む。これは緊張してるのが私にも伝わる…しかしこれは一番重要な事だ、私とフィーリが通り人間は本来通らない道。
「アーサーが私たち竜の子供になるのが一番重要な事です」
「重要?」
「ここはアタシが説明しようじゃないか」
フィーリが私の代わりに説明をしてくれるみたいですね助かります。正直どう説明して良いのやらわかりませんですので…
「まず最初に竜の本能について説明するよ」
「…うん」
「竜はね外の生き物に比べ数が少ないんだ、いわゆる希少種ってやつだね。だから竜は子供を守る為に気性が荒くなる傾向があるんだよ」
アーサーの緊張がこちらまで伝わる、その気持ち分かります。これから大変ですからねぇ…
「気性が荒くなる…」
「竜は子煩悩なのさ、子供を守るためならどんな敵だろうと根絶やしにするまで戦うのが竜の習性なの」
「根絶やしにするまで!?」
アーサーの顔色が悪いですね、根絶やしは流石に怖かったのでしょう…私もそれに関して経験あるのでよーく分かります。
「これは竜の避けられない本能なのさ、希少種だから少しでも数を減らさないように私達はそう出来ているんだよ」
「もしアーサーがリュミエールに拐われたとして私とフィーリは怒り狂い貴方を取り戻すまで燃やし尽くすのでしょうね…」
「ちょっとなんでアンタが震えてるんだい!」
「過去経験しているからですよ…」
あれはヒドイです、トラウマものです…もしアーサーがリュミエールの人間達やらシュヴェルツェの野郎共に拉致監禁されあんなことやこんなことされたら…
怒り狂って全てを破壊尽くしそうで怖いです、竜の本能本当に怖いですね…
「なのでトラウマに成りたくなければ命落とす様な無茶や誰かしら唆されたり拉致されたりしないでくださいね」
「おっ…おぉう…」
ドタドタと走る音が聞こえてくる、どうやら我等が姫殿下が私達の帰りを聞きつけ走ってきたみたいです、ほんと元気なお方だ。
「トール帰ってきてたのならば余に一言申せ!」
「姫殿下至急急ぎの様がありましたのでそちらを優先させた次第でございます」
「ムッ…余より大事な用事か、そこの小僧は何者じゃ?」
姫殿下がアーサーに気がついた様で興味津々に見つめる。対するアーサーは姫殿下の急な訪問者に目をパチクリとし姫殿下を見ている。
「姫殿下今日から私とフィーリッゼの養子になったアーサーと申します、これからは姫殿下の良き話し相手になる事でしょう」
「ぬわぁにいいいい!!」
姫殿下が城中に声が響くくらいの大きな声を上げ驚いた様子を見せる、私とフィーリとアーサーを見比べ声を震えさせている。
「まままま誠かそなたがトールとフィーリッゼのむむむむ息子になったとは!?」
「はっはい!!養子となりましたアーサーともも申す者です!!」
そこまで動揺することないじゃないかと思うぐらい二人の反応が面白い、思わず笑みがこぼれてしまう、まるでお見合いしてるみたいですね。
「そなた誠に二人の子になるのというのか!?」
「そっそうなりますね…」
「お主人という身でありながら竜の子になるとは…お主肝が座ってるのぉ…」
「ちょっと姫流石に酷いんじゃないのかい?流石に傷つくよ」
姫殿下が驚いているのはそっちの方ですか…姫殿下のイメージしてる竜はどんなイメージなのだろうか、フィーリが姫殿下に呆れ溜め息をついている。
「竜は子のためならば国をも滅ぼす子煩悩じゃ、人の子がその竜の寵愛を受けるのは滅多にないことじゃぞ?それにそなた達番は我がシュヴェルツェが誇る我が宰相…人の身であるアーサーに堪えられるか心配にもなろうに、子羊が竜が居る巣へ放り込まれるのと同じじゃ!」
「姫殿下そのサクリファイス的な思想お辞めください、せっかく私達の子に成った息子を脅えさせてしまってるじゃないですか」
アーサーが顔真っ青で震えている、これはこのままこの人達の養子になって良いのだろうかと思っている。
どうしましょうか…せっかく息子に成ってくれたのにこのおてんば姫のおかげで私達から離れてしまう。
「姫その言い方だと息子をとって食う様な言い方じゃないか、それは誤解だよ。
竜は子を愛し我が身を盾にして守るのさ、私達はアーサーを我が子と認めたんだ息子を愛して何が悪いんだい?こんなにも子を慈しむ種族はそうそう居ないよ」
「じゃが…」
我が嫁が格好いいです男前です、惚れ直しました。しかし姫殿下にそう思われていたなんて流石にショックですね…
「姫殿下」
「トール…」
「姫殿下は私達と今まで過ごしてきてどう感じられましたか?」
「…暖かかったのじゃ、まるで本当の母上と父上と居るみたいじゃった」
その言葉を聞いたフィーリが満足した顔で頷いた。
場違いだと自分でも思いますが僕は他人事の様に前世にやったノベルゲームみたいな展開だと思いました、アーサーも急な展開に付いていけず置いてけぼりになってますし。
「姫殿下アーサーに言う事はないですか?」
「言うこと?」
「先ほどアーサーは姫殿下にしてくださった事を返さないと魔王として示しがつきませんよ」
姫殿下はうーんと唸るように頭を抱える。
分からないのですか…アーサーがしてくれたことを姫殿下が返すだけの事ですが。気づいてくれないと本気で次期魔王としての示しがつかないのですが…というより常識としてどうかと思いますが。
「姫殿下自己紹介しなければアーサーは分からないだろ?」
「うむそれもそうじゃな。アーサーよ一度しか言わぬからよく聞け!」
「はぁ…」
アーサーが引いてますね…フィーリの助言がなければ気づかないとは、今度その過剰な上から目線と共に直さなければなりませんね。
「余はノルトローゼ、このシュヴェルツェを統べる王となる者じゃ!よろしく頼むぞアーサーよ!」
「…よろしくお願いします」
「姫殿下のその態度直さなければなりませんね、教育を考え直す事にしましょう」
「なぬ!トールよの様な酷い事は止すのじゃ考え直せ!」
姫殿下は慌てた様子で私に考え直すよう言い寄る。
しかし私の決意は決まってますのでその言葉は聞かないことにします。
「それは姫殿下の日頃の態度の行いがそうさせたのです。
上に立つ者としての覚悟を姫殿下に今一度一から手取り足取り叩き込むつもりなので後覚悟なさいませ、ちなみにこのトール姫殿下をみすみす逃がしたりはしませんよ」
「トール…お主はドラゴンではなく鬼じゃ!真の鬼じゃ!」
「こうなったら逃げれないよ、腹をくくりな!」