表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は地縛霊に恋をする  作者: ホオジロ
五 おれ
16/28

五の二 日が落ちようとしている

 日が落ちようとしている。今日が刻限だ。明日の朝、おれたちは、だれかを。

「村のだれかを殺せというのか?」

 決められるものではない。そんなこと、できるわけない。

「若殿様がそんな非道いこというわけががねえ」

「このお触れに書かれておる!」

 おれは字が読めぬだとか、花押が伊之助様のものではないだとか。そんなことばかりで、話は一向にまとまらない。

「殺すのではない。護り神様になるのだ」

「だれかが死ぬのに変わりねえだろうが!」

 このまま、何も決めなかったらどうなるか。伊之助様がだれかひとりを決めてくださるだろうか。そんなわけがない。決めなくては、だれかが死ぬ。ひとりやふたりではない。もっと多くの者が餓えて死ぬ。

「ひとりが死ぬか、みな死ぬかだ。決めよう」

「なにか策はないのか?」

 だれも死にたくない。だれも殺したくない。

 そうか。

「アヤを立てよう」

「気が狂ったのか佐吉! おめえの娘だぞ!?」

 おれはまともだ。これしかない。

「伊之助様はアヤをたいそう慕っておる。そのアヤを立てるといえば、伊之助様も諦めてくださるだろう」

 これは賭けだ。しかしきっと、伊之助様は解ってくださる。

 アヤじゃ。アヤじゃ。皆の意見がまとまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ