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終わりの終わり

いったい拓真と由芽は終わらない時間をどれだけ過ごしたのだろうか、帰り道を変えても学校に居残っても五時を知らせるチャイムと共に拓真の命は終わりを告げ、そして同時に抜き打ちテストの終了のチャイムがなる。

下りのエスカレーターをひたすら上るようにただただ精神が磨耗していくだけでなに一つ変わることはない。

そしてまた抜き打ちテストの終わりを告げるチャイムがなる。

「由芽、ちょっときてくれ」

拓真は由芽の手を握り歩いていく、いつも合わせてくれていた歩幅ではなく半ば強引にズカズカと歩いていく。

着いた先は誰もいない教室、手芸部とかかれたプレートがあったがたしかこの学校に手芸部なんてなかったはずと由芽は思う。

「もしかしたらこのループから抜け出せるかもしれない」

拓真は真剣な目で言う、しかしどこか寂しさのような表情をしている。

「由芽は色々考えてくれたよな、帰り道を変えたりしてさ、俺も色々考えてたんだよだから今日は別行動にしないか」

拓真は返事を待たずに教室から出ようとするが由芽が手を掴み引きとめる。

「ちょっと、拓真の考えを聞かせてよ」

由芽は何度目かわからない今日の拓真の様子がおかしいことに気づいていた、保育園からいっしょだったのだ、些細な変化にも気づくだろう。

「由芽には言えない」

拓真は俯きながら言う。

「言わなくてもわかるよ、拓真自殺するつもりでしょ、いつも五時のチャイムの時だもんね、私にだってそれくらいわかるよ」

由芽は声を荒げて言う。

「そうだよ、もし俺がそれまでに死んでたらそのまま時間が進むかもしれないだろ」

「拓真は死んでもいいの」

「もう限界なんだよ、教室に迎えに行くたび絶望したようなお前を見るのは耐えられないんだよ、このままずっと繰り返してたら俺もお前も頭おかしくなっちまうぞ」

拓真は叫ぶように言う、誰もいない教室の静けさも相まって由芽は耳を通り越して直接脳に言葉が届いたのかと錯覚するほどに。

拓真は由芽の手を振りほどいて走って教室から出ていく。

由芽は初めて拓真に怒鳴られたこと、拓真に生きてほしいと思っていたことが重荷になっていたことがショックで走り出せないでいる。



一人で下校することはこんなに寂しいものだっただろうか?

由芽は自分の家に帰らずに拓真の家へ向かう、もしかしたら家に拓真がいるかもしれないと淡い期待に縋りながら。


インターホンを押すと拓真の母親の声が返ってきた。

「あ、あの由芽です藤岡由芽です」

拓真の母親は相手が由芽だと知って外にでてきてくれた。

「あら、由芽ちゃん珍しいわね拓真まだ帰ってきてないのよ」

「そう……ですか」

由芽は拓真の母親に挨拶だけして走って自分の家へと向かう、もしかしたら拓真は自分の家で待っていてくれているのではないかと、家の前の交差点をスポーツカーが猛スピードで信号無視をして走っていく、由芽は危うく轢かれるところだった。

五時のチャイムが町に響きわたる、何度も過ごした今日はこのチャイムが終わりの合図だったがチャイムが鳴り終わっても当たり前のように時間が過ぎている。

由芽は膝から崩れ落ち大きな声を出して泣く、拓真は死んでしまったのだ。

自分自身が生きることより由芽を助けることを選んだのだ。




朝、拓真は迎えにこない、拓真は川で溺れて死んでいた。

表向きは事故死となっている、自殺したと思われたら由芽の体裁が悪くなると思ったのだろう。


シトシトと雨が降る中慣れない一人での登校中、由芽は泣かない。

自分が今生きている時間は最愛の人が繋げてくれた時間なのだ、下を向いていては拓真にまた怒鳴られてしまう、上も下も向かず前だけを見て生きていくんだと由芽は心に誓って歩いていく。

こんにちは西東上下です。

第2作目はタイムリープものでしたがただ単に自分がタイムリープものが好きだからって理由で書いてみました。

人にとって有限である時間が無限になったら頭おかしくなるんじゃないかと思ってこんな話になりました、一話完結にするか連載にするか悩みましたが一話完結でよかったんじゃね?って思ってますw

もっと壊れた感じをだすべきだったと反省して次はまた別ジャンル書く予定です。

読んでいただいた方々ありがとうございました。

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