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二日目 緑

「なぁ、ちょっと町行ってみていいか?」


「好きにしろ…んっ……私は今忙しいんだ…はぁっ…」



勘違いしないでほしいが、ボンドがボンドで遊んでいるだけだ。

俺は何もヤラしいことはしていない。



「せめてお湯を用意してからやれよ…」


「我慢…んっ…はぁ……できないから…」


「まぁちゃんと力ずくじゃなくてお湯に浸けて取れよ」


「わかっている……んふぅ……」



ボンドはボンドの独特な臭いに頭をやられてしまっていると思うんだが、俺だけか?




早朝、ボンドに叩き起こされて若干イライラしていたので気分転換に町へ散歩することを決めた。

朝ごはんを食べ、早々とボンドはああいう状態におちいった。

一体一日に何回あの状態になることやら。

というか他にすることはないのか?




玄関で靴を履き、スライド式のドアを開けて外へ出る。

天気は快晴、光が反射して川が綺麗だ。


天気が良いことに機嫌を良くした俺はのんびり歩き出す。

風景を眺めながら歩いていると、「こういうのもいいな」と思えてくる。



ボンドの家から町まで歩いて5分くらいだ。

それまでは舗装されていない道を通る。

といっても、そこだけは草や木が生えていなくて綺麗なのだが。


その道を抜けるとすぐに町が見える。

目の前の坂道を降りればあっという間に町に着く。



俺はルンルン気分。

足取り軽く坂道を下って行った。

下りてきてすぐに公園を見つける。

こんな天気の日に公園行ったら気持ちいいだろうなぁ・・・。

そんな事を思うと、身体が勝手に公園へ入っていく。



公園は結構広くて、そばに森があって自然も感じられるようになっている。

なんとも心地良い。

丁度いい具合の木の陰に、ベンチが置かれている。

そこに座ってのんびりしよう。



と思ったが、どうやら先客が居たようだ。

影になっててよくわからなかったが、近付いてみると誰か座ってるのが見えてきたのだ。



「・・・ん?よぅ、お前誰だ?」


しばらく俯いていたその人は、俺に気付いて顔を上げる。

普通の人らしい。

安心した。


「ええーっと、なんて言ったらいいのやら・・・。あ、昨日引っ越してきた者です」


「へーぇ、名前は?」


「翔です。柳生 翔」


「翔!?じゃあお前があの、閻魔様に・・・いや、これ言っちゃダメなやつか」


「へ?なんです?」


「いやぁ、なんでもない。まさかこんなとこで有名人に会うとはなー」


その人はベンチから立ち、こちらに近付いてきた。



・・・前言撤回。

肌が緑色です。

全然普通じゃありませんでした。



茶髪に肌が緑色。

灰色のカーディガンに、制服のズボン。

どうやら学生らしい。

俺と同い年か、年上か。


・・・一つヤバい所があるとすれば、首筋から血が出ていることかな!



「何でじろじろ見てんだ?」


「い、いや、あの、ち、血が、出てますよ?」


「おぉーい、敬語はやめろってー。どうせ同い年なんだからよー」


二ヒヒッっと笑うと、腕を首に回してきた。

初対面でこんな事をしてくる人は初めてなので驚いた。

いや、そこより血の心配をしてないことに驚いた。


「ちょ、てかなんで同い年ってわかるんですか?じゃなくて、血出てますよ!?」


「いっぺんに聞くなよ。てか敬語やめろよ。やめたら教えてやる。あとこれは家の風習だ」


「・・・え?風習?」



その人はまたベンチまで戻って座ると、俺にも座るよう言う。

とりあえず隣に座って、話を聞くことにした。



「何から教えてほしい?」


「えっと、じゃあその風習についてから」


「ああ、これはな、家から代々伝わる、まぁお守りみたいなもんだ。家の家族はみんなどっかから流してるぞ?ちなみにこれ赤色のインクな」


「あ、インクなのか。血かと思った」


「すげーだろ?この色出せるのは家の先祖様の技術なんだ」


二ヒヒッ、と笑う。

こいつ顔はイケメンなんだよなぁ・・・。



「で、まぁ俺も聞きたい事あるから手短に説明するぞ。まずはなんで同い年ってわかったかと、お前がなんで有名人なのか。

お前の事を知っていたのも、同い年っていうのを知っていたのも、全部閻魔様に貰った紙に書いてあったからだ」


「ま、待て待て待て!!なんでその紙のこと知ってるんだよ!?あれはボンドしか持ってないんじゃないのか!?」


「あー、あいつ説明しなかったのか?実はな、あいつからお前と住みたいって志願したんだ。だからあいつは先に紙持ってた。けど、なんか閻魔様が一人だけわかってるのは不平等だって部下に命令して町中の人に紙を配らせて歩かせてた」


「と、いうことは・・・」


「この町の人たちはみんなお前の個人情報知ってるってことだなー」


「ことだなー、じゃねぇよ!!ちょ、えー、マジかよ・・・」


「それよりさー、今度は俺が聞いていいか?いや、聞く、じゃなくて相談なんだけどな」


「・・・なんだよ」



ちなみにすっごい落ち込んでます。

ズーンってなってます。



「お前、女の子と付き合ったことは?」


「・・・一回」




この一回というのは、中学三年生の時で、付き合ったのも5ヶ月くらいだ。

あまり印象には残ってないし、中学の頃に付き合うのなんて、遊びみたいなものだろう。




「一回かー、まぁいいや。実はな、俺好きな子が居るんだけどな、そいつ俺にだけ冷たいんだよー」


「ああ、それで?」


「それって脈アリ?ナシ?」


「んー、冷たいっていうのにも大きく分けて二つ、種類があると思うんだよな。ツンデレタイプと、ガチで嫌いタイプ。その子お前にデレたりする?」


「・・・いいや。全然。」


「・・・お前普段からその子に何してる?」


「え、それはなぁ・・・」


ふふふっ、と目を輝かせて喋りだす




本人曰いわく、を俺風に直して解釈してみる。

こいつはその子に学校で毎日付いて歩いて、どこに行くにも一緒に行くらしい。あ、トイレ以外ね。

抱きついたりとか、たまにするとか。

てかもうこいつはアウトだ。

脈ナシだと思う。




「なぁ、その子毎日お前に怒ってないか?」


「おお、すっげー怒ってくるぞ!けどそれ愛じゃないのか?」


「お前ストーカーって言葉知ってる?」


「知ってる」


「いやわかってる。あのなぁ、もうちょっとその子を自由にさせてやれよ。女子ってな、たぶん好きでもない男に触られるのがすっごい嫌だと思うし。もしお前の事好きじゃなくて、触られてるんなら、その子は嫌な気持ちでずっと学校に居るかもしれないだろ?」


「なるほどぉ・・・。つまり離れろと?くっついて歩くなと?」


「あー、それくらいのことは理解してくれて助かる」


「よーっし!!わかった!早速明日から実践してみる。今日はサンキューな!」


男子高校生は一度ニコッと笑うと、走って公園を出ようとする。


「お、おい!!お前名前はー!?」


りょく!!」


走りながら振り向き、手を上げてそう叫んでいった。

騒がしいやつだが、嫌いではない。

こっちに来て二人目の知り合いができたわけだ。

なんとなく嬉しいな。




俺は少しの間ベンチに座ってのんびりし、帰路につく。

そういえばボンドはどうしてるだろうか?

というか、ボンドは人間なのだろうか?

見た目は本当に普通の女子高生だし、ボンドだけ人間だとか?

まぁ探せば人間くらい居るんだろうけどな。




家に帰ると、両手をボンドでひっつけてもがいて困っているボンドの姿があった。

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