表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

一日目 ボンド

「着いたぞ。入れ」


「あ、ああ・・・」



目の前には大きな、和風の家。

近くには川が流れていて、森も生い茂っている。

なんというか、過去に戻ったみたいだ。




この女子高生に付いて歩いて来たが、まさか町の外れに家があるとは思わなかった。

さっき抜けて来た町の家は普通の、俺が今まで見てきた現代的な家だったからである。


こういう家を、風流であると言うのだろう。



「何をしている?早く入れ」


ボーッとしていた俺に、女子高生が玄関から顔を出して声をかける。


「お、お邪魔しまーす」


女子高生に声をかけられて我に返り、そそくさと中に入る。


「うわぁ・・・」


思わず感嘆の声が漏れるほど、中は広くて綺麗だ。


「どうだ?すごいだろう?」


「あ、ああ、すげー!」


「ふふっ」


女子高生は嬉しそうに笑った。

その間俺はキョロキョロしていて顔を見ていなかったが。



「お前が使う部屋に案内する。付いてこい」


「わかった」



付いて歩いていく時、トイレや、風呂などの場所を教えられた。

最も、広すぎて覚えるのに少し時間がかかりそうだが。



「ここがお前の部屋だ」


「ふぇ~・・・」


予想通り部屋も大きい。

驚きつつ中に入って荷物を置く。


「お前が来ると聞いてテレビも用意したんだぞ」


「そうなのか?なんか悪いなー」


「気にするな。それと、私の部屋は隣だ。何かあれば来るといい」


「おー・・・。てか気になってたんだけど・・・」


「なんだ?」


「さっきここに来るまでに誰にも会わなかったんだけど、みんな出かけてるのか?」


「っ!!・・・・・」


女子高生は一瞬悲しそうな顔をすると、黙ったまま俯いてしまった。

・・・聞いちゃいけないことだったか。



しばらくの沈黙の後、俯いたまま女子高生は口を開いた


「誰も・・・いない。私一人だけだ。」


「・・・そっか。でも、今日からは俺が居るだろ?まぁ一ヶ月だけだけど・・・」


「・・・理由を聞かないのか?」


「言いたくないことなんだろ?言いたくないなら言わなくていい」


「そう、か・・・」



短く、小さい声で返事をすると部屋から出て行った。

聞かなきゃよかったという後悔が押し寄せてくる。





ああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・。




何か後悔するような事があった時、俺は表には出さないがずっと引きずるクセがあった。

もちろん今回もそうである。



俺はうつぶせで畳の上に転がった。

どうしてあんな事を聞いてしまったのか、とか、違うことを聞いていれば、ああなってこうなって・・・。






「ん、んー・・・」



そうしている内に、寝てしまっていたようだ。

起き上がってしばらくボーッとする。

窓から外を見ると、夕焼けで辺りが赤く染まっていた。



ふとさっきの事を思い出し、女子高生が今どうしているのか気になった。

女子高生も寝ているのだろうか?


「・・・あっ」



今気付いた。

今までなんで気が付かなかったのかわからないくらいだ。


俺は、まだ名前を聞いていない。

自分の馬鹿さ加減にあきれてしまう。



まぁ丁度気になってたし、いっか。

部屋に入る口実ができてよかったじゃん。



とりあえずポジティブに考える。

でないとさっきの事でまた、あああああぁぁぁぁぁ、となりかねない。


思い立ったが吉日、俺はふすまを開けて隣の部屋の前で止まる。

女子高生の部屋の襖は少し開いていて、中が覗けそうだ。

というかなんか聞こえるんだが。

話し声?



覗いていいものだろうか。

いや、待て、女子の部屋を覗くのはタブーではないか?

そうだ、その通り。

まぁ何か聞こえるし、それを聞くくらいなら問題ないだろう。

友達でも来てるのかもしれないし。

その時はまた友達が帰ってからにしよう。



俺は少しだけ襖に近付き、耳を澄ませる。


「んっ、ふぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・」



な、何かしてらっしゃいますねー!!

いや、これ覗かないわけにはいかないでしょ。

というか俺の年齢考えてくださいよ。

俺もう高2ですよ?

血気盛んな高2ですよ?

あんなことやこんなことに興味がある高2ですよ?

てかこれ逃したらこんなチャンスもうないかもしれないし。

覗きます、いや覗かせてください!!

まぁもう自主規制なんて効かない状態ですから、何言われようが覗きますけど。



俺の心臓は破裂しそうなくらい高鳴ってる。

音をたてないように隙間に近付き、右目だけで中を覗く。




俺は、見てしまった。

俺の身体は硬直したように動かなかい。

そこには、裸の女子高生が・・・。






と、いうわけではなく、ボンド?を手につけて何かしている女子高生の姿があった。

女子高生はそれを両手につけて顔を紅潮こうちょうさせ、なぜか興奮したような声を出していた。



最初は何が起こっているのか理解できなかった。

しかしテーブルの上に置かれているボンドがすべてを答えてくれた。



遠慮せず襖を開け、中に入る。

もちろん襖を開ける音で女子高生はこちらを振り向く。

驚いた顔をして振り向く女子高生の顔が、さっきより赤くなる。


「お前何してるんだ?」


「いや、これは、その・・・」


「ボンド手につけて楽しいのか?」


「た、楽しいぞ!!いや、楽しいというより、気持ちが良い!!」


「・・・は?」


「この、ねちゃねちゃとした感触、鼻を刺激する臭い、そして時間が経つとくっついて離れなくなる硬い感触・・・」


またはぁはぁと吐息を漏らす女子高生。

なんかエロい、けど興奮はしない。



「えーっと、もうい「まぁこのくっついた指と指を離すのが痛いのが苦痛だけどな・・・」



人の話を聞いてください。

てか無理矢理引き剥がそうとしてるよ。

そりゃ痛いって。



「おい、待て待て。そんなんじゃ痛いに決まってるだろ。ちょっと来い」


「な、なんだ?」



女子高生の腕を掴んで部屋から出る。



「あ、台所どこだ?」


「台所なら・・・」



結局俺が引っ張られるようになり、台所に着く。


台所へ着くと、俺は熱湯を用意し始める。

それを不思議そうに眺める女子高生。

取り方知らなかったんだろうな。



「ほら、手浸けて」


「あ、ああ・・・」


温かい程度の水に、女子高生は両手を浸ける。

少しずつだが、ボンドが取れてくる。


「おお・・・」


「知らなかったのか?」


「全然・・・」


「マジか。ある意味すごいな」



女子高生はある程度取れた所で水から手を出して、眺める。

その時、指の間が傷だらけなのに気が付いた。


「これ・・・」


「ああ、いつも無理矢理引き剥がしていたからな。血が出たりしたが、やめられなくてな」


「いや、やめろよ・・・」


「あれの気持ち良さを知らないからそんな事が言えるんだ。今度やってみろ」


「遠慮しとく!それより、俺名前聞いてなかったんだけど・・・」


「言ってなかったか?では改めて自己紹介しよう」



女子高生はニッと笑い、話し始めた。



「私に名前はない。しかし学校の女医が名付けてくれてな。ボンドと呼ばれている」


「ボンド、ね」


俺は半笑いで呆れたような顔をしていただろう。


「それからはみんなボンドと呼ぶようになってな。名前がある事がこんなに良いことだとは思わなかった」


頬を赤らめて照れたような顔をする。

そうやってると普通の女子だし、可愛いんだけどな・・・。



「それまではなんて呼ばれてたんだ?」


「おい、とか、そこの、とか、あのぅ、とか、お前、とか、色々だな」


「ま、まぁそうなるよな」


「さて、私はこのまま夕食の準備をすることにしよう。部屋に戻っていていいぞ?」


「いや、ここに居て見とく」





その後色々話しをしたが、それはまた別の機会に。




こうしてボンドの色々な面を見た一日目は終わった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ