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「君を愛することはない」「君はお飾り妻としていればいい」と初夜に侯爵に言われたのでお飾り妻に徹した伯爵令嬢の話

作者: 山田 勝

「君を愛することはない」


 新婚初夜そうそうに旦那様に言われたじゃない?


「僕には愛する女性がいる。君はお飾り妻としていればいい」


 ほお、そうか。添え膳食わないってか?


「分かったじゃない?」


 と私は退室した。


 愛する女性に操を立てていて、私とはいたさない。不誠実の中の誠実じゃーないですか?


 昼間は、お茶飲んだり。お菓子を食べたり。犬を可愛がったり。


「ワン!」

「散歩いこうじゃない?」


 夜はロデオと社交界に一緒にでる。


「ロデオの妻、リディアじゃない?お飾り侯爵夫人じゃない?よろしくじゃない?」


「まあ・・・趣の変わった新妻を迎えたな」

「リディア、ここではお飾りと言わないでくれ・・・いえ、妻は冗談が好きで」


 ギャハハハとお料理と酒を堪能して。


 帰ったら寝る生活だ。

 名だけの貧乏伯爵家の娘だった私には夢の世界じゃーないですか?


 こんな日々を送っていた。ある日、使用人達に訓示を授けていたら・・・



「『つもりつもりは積もらない』じゃーない?」

「「「つもりつもりは積もらない!」」」


「『今度が出たら今度はない』じゃーない?」

「「「今度が出たら今度はない」」」


 するとロデオがやってきた。


「っって違うだろ!ピンク頭!」


「え、何でですか?お飾り妻として空虚な人生訓をたたき込んでいますが・・・」



「はあ、はあ、はあ、お飾り妻として悔しさにむせび泣くのではないのか?」


「こじらせましたね。旦那様・・」

「何だと!」


 いいですか?そもそも侯爵夫人という飾りなのですよ。侯爵の妻、侯爵のお飾りの名称なのですよ。それは良いですよ。


 まあ、他に愛する女性のためにお飾りの妻を迎える。

 それも良いですよ。私は三食美味しい物を食べられて使用人達に傅かれるのですが・・


「しかし、馬鹿ですね。臆病ですね。それは悪手ですよ」

「何だと!」


「旦那様は『何だと』としか言えないのですか?お子さんが生まれたらどうするのですか?私を母親にして育てるのですか?絶対に子供に悪影響を与えますよ。日陰の母親を目の当たりにさせるのですか?」


「うっ、ああ」


「何故、こんなまどろっこしいことをするのですか?子供がカワイソーじゃないですか?」


 ロデオ無言になったな。


 愛人には二通りある。

 如何にも金遣いが荒い愛人。

 しかし、まるで月見草のように日陰でもロデオと一緒になりたいと思う愛人は・・・



「ほら、さっさと案内するじゃーない?」

「・・・分かった」


 案内させた。離れだ。

 そこで愛人は針仕事をしていた。



「ロデオ様・・・この方が奥様ですね。マリアと申します」

「ああ、そうだ」


 まるで私が愛人、こいつが正妻みたいじゃーないか?

 貞淑そうな方だ。


 何でもマリアはメイド、侯爵の地位を継ぐためには貴族の娘が絶対条件。

 親にメイドはダメと言われて渋々私を迎えたらしい。


「じゃあさ。私の実家の養子になればいいじゃーない?」

「うむ。でも、貧乏伯爵家ではキツくないか?」

「私でもOKでたじゃーない?」

「そうか・・」

「その代わり資金援助よろしく!」


 マリア様は二年間、私の実家で行儀作法の特訓を受ける。

 その間、私はお飾りの妻として君臨する。


 その後、大侯爵夫妻に面会した。舅と姑だ。初めて会った。


「・・・何だ。派手そうな女だな。でも伯爵家ならギリギリ合格だ」

「ええ、そうよ。早く孫の顔を見せなさい」


人を値踏みして嫌な奴らだ。だから私は反抗した。


「はあ?誰こいつ?田舎者?今時、伊達の方眼鏡に、そんな如何にも貴族っていうドレスはないわー、コルセットなんて今時のババでもつけないじゃーない?」


「何だと!」

「何ですって?!」


 親子だ。何だと言いやがった。リアクションは同じだ。


 私は二年間暴虐の限りを尽くした。


「この壺、売り払いなさい。宝石に交換するじゃーない?」


 趣味の悪い家具や宝飾品を売り払った。

 私への予算は換金可能な物を買う。


 そして、マリア様がいた離れは改築した。

 外から鍵をかけるタイプのドアにして窓には鉄格子付だ。



「ヒヒヒヒヒ、ジジとババがきたらここに閉じ込めるじゃーないですか?」


 と吹聴し、私への印象を更に悪くした。

 離縁しろ、離縁しろ。との催促がロデオに来る。


「ロデオ、ここが正念場じゃーないですか?親の言う通り人生だったのでしょう。だから『君を愛することはない』と反抗したじゃーないですか?」


「リディア、どーしよう・・助けてくれ」

「私はどっちでも良いじゃーないですか?」


 2年経ち。マリア様は伯爵令嬢に変貌した。


「マリア!」

「ロデオ様・・」


 よく頑張ったな。私の家門から更に別の伯爵家の養子にして戸籍ロンダリングした。


 しかし、ダメだろう。ロデオはバランスが悪い。

 一言で言えば、馬鹿な働き者だ。

 現状を壊さないように妙な策をめぐらす。


 私は追い出されることになった。

 資金は商業ギルドに移送済みだ。何か商売するじゃーない?

 舅と姑はニコニコ顔だ。


「見ろ。マリアは貞淑な伯爵令嬢だ!」

「クスッ、誰かさんと違って義親のいうことをちゃんと聞くわね。マリア様、私達の言う通りにすれば幸せになれるわ」


 その時、マリアは・・・


「ちょっと、それ違うんじゃーないですか?お義父様、お義母様~」


 と私の口調が伝染していた。


「「ヒィ」」


 そりゃ、そうか、パパとママの令嬢教育を受けて私になったのだから・・・・

 マリア様がいれば大丈夫か?


 さて、私はどうするか?

 とりま。図書館に行ったら・・・


「キャ、じゃーないですか?」

「失礼」


 同じ本を同時に取り殿方と手が触れた。


「お嬢様、どうぞ」

「いいじゃーないですか?貴方が読めばいいじゃーないですか?」

「なら、一緒に読みましょう」

「読めないじゃーないですか?」


 年上の変人っぽい奴に絡まれた。

 こいつが噂に聞くスパダリか?


 何故、危機はないのに現れる。お飾り妻の時に現れればこいつを出汁に何かできただろうに、遅いだろうと思う私がいたじゃーない?



最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
口調は何らかの方言だと解釈したじゃーない?
彼女は今まで見た中で最も邪悪で知的な悪役です。あなたの文体には敬意を表します。とても興味深いキャラクターを創り出しましたね。
流され男ロデオも痛い目にあいませように。 具体的にはリディア2号になったマリアに尻にひかれたら良いのに。
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