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森での生活とギルドの登録

  投稿が、遅くなりました。約四ヶ月ぶりの、投稿となります。

  ルプルの森は、今静かに夜が明けようとしている。森の木々の間を、夜明けの月の淡い光から朝の太陽の優しい光が入れ代わるように差し込んできた。その間を、ぬうように森の小鳥達が朝の喜びの歌をさえずりながら飛びかう。そして、そのさえずりを合図に森の動物達が夜の眠りから朝の活動えと動き出す。そうして森がすっかりと目を覚ました頃、ルプルの森の奥に立っている丸太小屋の扉が開きそこから一人の少女が出てきた。少女は、シンプルな木綿のワンピースを着て手には木のバケツを提げいた。その少女は、丸太小屋の扉を静かに閉めると丸太小屋の裏にある井戸に水を汲みに歩き出した。その少女の名は、翡翠である。


  翡翠は、井戸から水を汲み上げると丸太小屋に戻り、水甕に水を注ぎ入れた。その横でホロイドが、釜戸の火石を並べ替えていた。火石とは、火の性質を持つ石の事で薪の代わりにアースガルドでは一般的に使用されているものである。その他に、水石や光石などもある。ホロイドが、釜戸で豚肉のベーコンを焼いている間に翡翠は奥の戸棚から二人分の木の皿とカップを取り出してテーブルの上においた。テーブルの上には、パンの入った籠があり木のカップにはお茶が注がれその横にある木のボールには色鮮やかで瑞々しい野菜のサラダが盛られている。


  「さて、ベーコンも焼けたようじゃ。翡翠、皿を取ってはくれんかの?。」


  「はい、どうぞ。ホロイド。」


  そういうと翡翠は、ホロイドに皿を渡した。その皿を受け取るとホロイドは、皿にベーコンを盛り付け一つを翡翠に渡しもう一つは自分の前において椅子に座ると朝食を食べ始めた。二人は、食事をしながら今日の予定を話し合った。


  「翡翠は、オスニアのギルドに行って冒険者の登録をしてくるのじゃな?。」


  「はい、そうしようと思います。ただ、王都に行くのはホロイドが買い物をする日にしようかと思います。」


  翡翠は、ホロイドにそう話しを返しながらボールに盛られているサラダを皿に取り分けるとホロイドに手渡した。ホロイドは、サラダの盛られた皿を受け取るとしばらく思案してから翡翠に話しかけた。


  「そうじゃな。三日後に行くので、その時に一緒に行こうかの。」


  「ええ、私もそのほうが楽しみです。」


  そう言うと二人は、その時にどんな会話をしようかと其々が思って笑いあった。ホロイドにして見れば、行き成り現れた翡翠は渡り人ではあるがその幼くなった外見もあり自分が保護すべき対象であると感じている。ホロイドには、20歳の時に結婚した妻がいたが病で亡くしたため子供もいない。その為か、翡翠を自分の子供か孫の様に可愛がっている。ホロイドは、翡翠に自分の持っている知識を出来るかぎり伝授しようと考えている。その為、翡翠に教える時は少しばかり厳しいものになる。翡翠は、この二年の間アースガルドに馴染むためにホロイドから必死に知識を得た。


  ホロイドから見ても、翡翠は今まで教えてきた若者の中で飛びぬけた存在である。ホロイドは、翡翠が若返った事は知ってはいるがそれが22歳も若返りをしたとは知らない。またその事を、翡翠は言い忘れていた。その為、ホロイドは翡翠に対して大きな勘違いをしていた。翡翠には、基となる知識があるという事を。それから、三日程たった初春の朝早くホロイドと翡翠は日用品を買いに王都オスニアへ馬車で向かった。馬と荷台は、前の日にミル村に行き借りた物である。近隣の村では、村ごとに共有の馬車があり当番制で月一に王都へ掻い出しに行く事になっている。今回は、ホロイドの当番でそれに翡翠が付いて行く事になった。


  ホロイドが住んでいるルプルの森は、ミル村のすぐ近くにあるためホロイドはミル村の住人として国に戸籍がある。翡翠は、昔のホロイドのコネを使い隣国エシャンの民でホロイドの養女として国に届けてある。ミル村の住人には、知り合いの子供で二親を亡くした為自分が引き取る事になったと村長を通じてホロイドが説明をしていた。そのおかげで、翡翠はミル村の人達と早くに打ち解ける事が出来た。また、ホロイドでは解らない此方の世界での女性の常識や習慣などをミル村の年嵩の女性達に色々教えてもらった。村の子供たちは、最初は警戒をしていたが年頃の少女達を相手に翡翠が香りの良いポプリや石鹸などの作り方を教えるようになったら何時の間にか仲良くなっていた。その様にして翡翠は、アースガルドで生活をしていく為の知識を蓄えていった。翡翠が、ホロイドと出会い二人が森の中で生活をするようになって二年が過ぎていた。翡翠は、外見年齢が十三歳位になったのでそろそろギルドに登録をしたいと考えていた。その為王都に行く必要があり、ホロイドと話し合った結果今日になったのである。  


  王都オスニアに着くと翡翠は、ホロイドと一緒にミル村の村人達から頼まれた日用雑貨品や村では手に入らない嗜好品等を買い求めた。それが終るとホロイドは、自分が集めた薬草や調合した薬の他に翡翠が作ったポプリのサシュ・香草入りの石鹸等を馴染みの魔法店に納めにいった。蛇足だが、翡翠の作った香草入りの石鹸は王都オスニアの他に主要な都市の裕福な商人や貴族のご令嬢達に密かな人気である。それまで誰も、石鹸に香をつけようとは考えた事がないからである。ホロイドと別れた翡翠は、その足で王都の中心部にあるガレ広場から少し離れた所にある冒険者ギルドへとむかった。ギルドの出入り口の武骨な木の扉を押し開けて、翡翠が中に入るとギルドにいる冒険者やギルドの職員が翡翠を見て驚いた。年の頃は十三歳位で、容姿はまるで闇を具現化したような美少女でこの世界ではあまり見かけた事の無い闇色の黒髪黒眼で髪は肩より少し長いくらいである。また着てる服装は、上は若草色のチュニックに下は薄いベージュのズボンに皮のブーツとよく王都で見かける格好である。その為、周囲にいる大半の冒険者達は翡翠を見てとてもギルドに用があるようには見えなかったからである。ギルドの受付の職員であるミリアは、少女に話しかけてみた。    

          

  「お譲ちゃん、この冒険者ギルドに何か用があるのかしら。」    


  すると、その形の良い薄紅色の唇から耳に心地の良い楽の音の様な澄んだ声がミリアの耳に聞こえてきた。                                                      「ギルドに、冒険者として登録にきました。どの様に、手続きをしたらよいですか?。」                                                             少女の、その言葉を聞いてミリアは驚いた。ミリア以外も、その少女の言葉を聞いていた周囲の冒険者達が笑い出した。なぜならそれは、ギルドに冒険者として登録するのは大抵十五歳から十八歳位の腕に覚えのある者が主で、少女の様に十三歳位の年でギルドに登録をしようとした者がいないからである。ギルドの受付カウンターの周囲にいる冒険者達が笑うなか、奥のカウンターで他の職員に依頼達成後の換金をしていた革鎧の男と黒い鎧の男二人だけが笑いもせず少女を品定めするように見つめていた。                                                                             ミリアは、周囲の反応を無視して少女に登録の手続きと冒険者の説明をした。ランクは、最低がF・E・D・C・B・Aで最高がSであること。依頼を請ける時は、ギルドの出入り口横にある看板に依頼用紙が貼ってあるのでその中から自分のランクにあった物を受付に持ってくる。また、依頼達成後は其々に応じた内容により金額が支払われる事などである。                                                                                             「では、こちらに名前と職業を書いて下さい。また、ギルドから支給されるギルドカードは無料ですが紛失した等で再発行されると銀貨一枚となります。」                                                                                   翡翠は、ミリアに言われてカウンターの上にあるわら半紙のような紙に自分の名前と職業を記入した。翡翠は、アースガルドに来た当初名前を名乗る時はそのまま地球にいた時の名前ではなくロールドと名乗るようにしていた。それはホロイドと、相談した結果偽名を使用する事になり翡翠がホロイドに最初に名乗った名前を使用する事になった。何故ならば、渡り人と分かると厄介な事になるからである。渡り人は、アースガルドにはない知識や技術の他人には持ち得ない力等を持っているからである。ちなみに、ロールドとは翡翠が表の仕事である小説家の時に書いた小説の主人公の名前である。                                                                                      「ロールド様ですね。職業は、魔法剣士でランクはFです。これで、登録は終了しました。」                                                             これにより、翡翠は冒険者としてアースガルドでの一歩を踏み出したのであった。                                                                             

  どうでしたか?。また、近いうちに人物紹介と用語辞典を投稿します。その他に、閑話で主人公以外の別視点で短い話を書きたいと思います。

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