第7話 刻まれた符号と迫る影――最後の警鐘
魔法陣の周囲で激しい戦闘が繰り広げられていた。
澪は冷静に敵の動きを観察しつつ、記録魔術で戦況を刻んでいく。
「灯、後方支援を頼む!」
「了解!」灯は素早く防御魔法陣を展開し、敵の呪文を弾き返した。
詩織は巻物の呪文に集中し、封印を強化するための魔術を唱える。
「時間を稼ぐわよ」
敵の魔術師たちは攻撃の手を緩めず、連携して三人を追い詰める。
しかし、澪と灯のコンビネーションは敵の予想を超えていた。
「澪、左に回り込む!」灯が叫ぶ。
澪は瞬時に反応し、敵の背後を狙う。
「このまま押し切る!」詩織も援護魔術で支援。
一進一退の攻防の中、クロが突然輝きを放ち、光の翼を広げて敵に向かって飛び出した。
「クロ、いくよ!」灯が叫ぶ。
クロの輝きは敵の魔術をかき消し、隙を作り出す。
「よし、今だ!」澪が敵の中心へと飛び込む。
鋭い一撃で敵のリーダーに切り込んだ。
* * *
敵の魔術師リーダーは苦し紛れに呪文を詠唱した。
しかし、詩織の封印強化が完了しつつあり、効果は薄れていた。
「諦めろ!」澪は力強く言い放つ。
敵は後退し、仲間と共に闇に紛れて消え去った。
三人は深く息をつき、戦いの余韻を感じながらも油断は許されないと悟る。
「これで終わりじゃない。もっと大きな敵が動いている」詩織が厳しい表情で言った。
「私たちも準備を急がないと」灯が決意を込めて頷く。
澪は魔法陣を見つめながら、静かに呟いた。
「この封印の本当の意味を知るために、もっと調べる必要がある」
* * *
夜が更け、三人は探偵社に戻った。
クロは疲れた様子で膝の上で丸くなり、灯はそっと撫でる。
「クロ、お疲れ様。みんな、まだまだ頑張らないとね」
澪はパソコンの画面に向かい、新たな資料の解析を始めた。
「敵の次の動きを探ろう」
詩織が巻物の余白に記された古代文字を読み解きながら、警戒を強める。
「この古文書には、封印された力の真実が隠されているはずよ」
灯は澪に笑顔を向け、強い信頼を伝えた。
「一緒に、この街を守ろうね」
深夜の探偵社は静寂に包まれていたが、澪たちの心はざわめいていた。
巻物の解読は難航を極めている。
「この文様……どうしても解けない」詩織が眉を寄せる。
澪は資料の山を見渡し、考え込む。
「古代の魔術の中に、現代魔術には無い符号が混じっている」
「それはつまり?」灯が首をかしげる。
「封印の本質が、我々の知識を超えているということ」
クロは澪の肩に飛び乗り、かすかに喉を鳴らした。
「クロ、何か感じる?」灯が声をかける。
その時、スマホが震えた。着信は葛城涼真からだった。
「急ぎだ、澪。新たな情報が入った」
澪は即座に電話に出る。
「涼真、何があった?」
「敵の手先が別の封印地点を探している。位置はまだ特定できていないが、時間がない」
「わかった、すぐに動く」
詩織もすぐに身支度を整え、灯はクロを抱きしめて準備を始めた。
「また新しい戦いが始まる」澪は覚悟を決める。
* * *
翌朝、三人は早朝の街へ繰り出した。
澪は魔力計で周囲を慎重に探りながら、灯と詩織に指示を出す。
「この辺りを中心に探そう。封印の兆候があるはずだ」
街の喧騒の中、古びた神社の境内で小さな魔力の反応を検知。
「ここかもしれない」灯が指差す。
三人は息を合わせ、再び封印の謎に挑むのだった。




