第6話 封印の迷宮――鍵を探しし三人
朝靄のかかる街の中、澪と灯、そして詩織は探偵社に戻り、得られた鍵の解析を進めていた。
巻物の一部に記された呪文と鍵の相性を詳しく調べるため、澪はスマホと古文書の間を行き来する。
「鍵の魔力は単独で発動するものではないみたいね。巻物の呪文との組み合わせが必須」
澪は眉間に皺を寄せながら話した。
「つまり、敵は両方を揃えて封印を完全に解除しようとしてるってこと?」灯が不安そうに訊く。
「その通り。だから先にこちらが鍵を奪ったのは大きい。でも油断は禁物」
詩織は冷静に周囲を見回しながら付け加えた。
「敵も動きを活発化させている。結界の揺らぎもより激しくなっている」
灯は膝の上で眠るクロを優しく撫でながら言った。
「私たちに残された時間は少ないみたいね……」
澪は黙って頷き、続ける。
「だが、私たちにはまだやれることがある。封印の力を守るために、結界の内部へもっと踏み込む必要がある」
詩織が巻物を手に取った。
「封印の迷宮の奥には、さらなる防御魔法が張り巡らされている。簡単には辿り着けないが、進むしかない」
灯は深呼吸し、決意を込めて言った。
「クロも私たちの味方だ。みんなでこの街を守ろう」
澪は力強く頷き、三人は再び神社の結界へと向かう準備を始めた。
* * *
結界の迷宮は前回よりも厳重で、魔法陣の罠や幻影が次々に現れる。
詩織の魔術知識と澪の記録術、灯の直感的な行動力が試される場面が続いた。
途中、灯が不意に立ち止まり、耳を澄ます。
「何か声が……」
薄く囁くような魔法の言葉が空間を漂っていた。
詩織がその言葉を解析しながら言った。
「これは古代の警告魔術。侵入者に対する罰が記されている」
澪は冷静に周囲の魔力を調べ、罠の解除を試みた。
「慎重に行動しよう。焦れば足元をすくわれる」
進むごとに三人の絆は深まり、共に困難を乗り越える力が増していく。
* * *
やがて、光の柱が立ち並ぶ神秘的な空間に辿り着く。
その中心に、封印の核心と思われる巨大な魔法陣が浮かんでいた。
詩織は巻物を広げ、呪文を唱えながら魔法陣の解析を開始する。
「これが完全な封印を形作る中核だ」
澪と灯は周囲を警戒しつつ、魔法陣の力を感じ取る。
「ここを守らなければ、敵にすべてを奪われる」澪が決意を新たにした。
すると、結界の揺らぎが急激に激しくなり、警戒音が響く。
暗闇から、新たな敵の魔術師集団が現れた。
「封印を奪う者どもを排除せよ!」リーダーの声が響く。
激しい戦いの火蓋が切って落とされる。