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裏山異世界農業 〜伝説の剣? 要らないよ……。そんなのより伝説の肥料とかないの?〜  作者: 皐月彦之介


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第16話 風呂作りは穴掘りから


「良太朗さん。あのドラゴン関係の動画ですけど、編集して差し替えましょう」


「どういうこと?」


「とにかくまず、ショート動画も含めて、一度非公開にしてください」


「いいけど……」


 良太朗はノートパソコンで動画サイトの管理画面を開くと、りこに言われた通り一時的に動画を非公開にした。良太朗はノートパソコンを閉じて、りこに向き直る。


「非公開にしたよ。説明してもらえる?」


「はい。えっとですね、動画のコメント欄で3D派と特撮派が居るじゃないですか?」


「なるほど、検証班」


「そういうことです」


「ほのかは分かったみたいだけど、僕はさっぱりわからないんだけど」


「議論が熱中すると、どちらが正解かをはっきりさせるために、動画の検証をする人が出てくるんです」


「それに問題が?」


「プロの犯行」


「そうなんです。プロの映像作家なみの知識を持ってるんです。そして細部まで検証するので、リュカさんが実在のドラゴンだってことや、あの場所が異世界だって事もバレるかもしれません」


 りこの話を聞いて、良太朗はほのかがこの場所を見つけた事や、動画に映っていた植物から撮影場所が異世界だということに勘付いていたのを思い出す。


「それはまずいな」


「ですから、動画を編集してフィルターを掛けたほうがいいです」


「やり方はどうすれば?」


「えっと動画編集ソフトは、私が教えたやつですよね?」


「そうだよ。他のソフトの使い方なんて分からないし」


「じゃあ編集画面を出してください」


 良太朗は動画編集ソフトを起動して、動画のプロジェクトファイルを開く。読み込みが終わると、見慣れた編集画面が現れる。


「ここのアイコンをクリックしてください」


 良太朗はりこに教えてもらいながら、動画の編集をしていく。そうすると、リュカの鱗の質感がすこし作り物っぽくなり、輪郭も浮いて見える感じになった。


「これなら確かに作り物っぽく見えるな」


「はい、ここまでやっておけば元には戻せないですし、検証してもリアルにするために編集したように見えるはずです」


「なるほど」


「じゃあ、このシーンを同じように加工してみてください」


「わかった。えっとたしか……」


 良太朗は記憶を頼りに、編集作業を始める。だけど、ついさっきやったばかりの作業だというのに上手く思い出せず、手間取ってしまう。


「良太朗。かして」


 隣で作業を見ていたほのかが、良太朗からマウスを奪い取る。ほのかは慣れた手つきで動画の加工をしていく。ものの数分でさっきのと同じような動画が完成する。


「ほのか凄いな、一発で覚えたのか……」


「ん!」


「ほのかちゃん凄い……。私も授業で苦労したところなのに……。良太朗さんは覚えられそう?」


 りこも苦労したらしい内容だ。良太朗がすんなりと身につけられるとは思えない。


「ほのかがよければ、これから動画の加工を手伝ってもらってもいいか? 僕がやり方を覚えるまででいいから」


「ん。大丈夫、ずっと手伝う」


「ありがとう」


 後はみんなでワイワイとカードゲームや、良太朗が子供の頃に遊んでいた古いボードゲームで遊んだりと楽しく過ごした。


 そして翌日の昼すぎ、りこが帰る時間がやってきた。良太朗は車で最寄り駅まで送っていく。帰りに買い物をして帰る予定だからほのかも一緒だ。片道三〇分以上かかる道も、三人で会話しているとあっというまに過ぎていく。


「じゃあ、次は年末に遊びに来ますね。それまでに露天風呂完成させておいてください」


「わかった。それまでに収益化出来てるといいけど」


「条件は達成してるから大丈夫ですよ」


「次来るときはちゃんと連絡してね。迎えに来るから」


 駅に入るりこの姿が見えなくなるまで、良太朗とほのかは見送ったのだった。


   *


 セメント袋に砂袋。近所の川で拾ってきた小さめの岩。トロ船にシャベルをはじめとした道具類。そういった露天風呂を作るのに必要なものを、良太朗は異世界に作った物置へと運んでいく。


 コスト◯で買ってきた大型物置は六畳間くらいの広さがある。今はこういった使い方だけど、露天風呂の完成後は、脱衣場として使う予定だ。


 良太朗は三脚にスマートフォンをセットして、カメラアプリのフレームに露天風呂予定地を収める。今日は久しぶりの良太朗一人での撮影だ。ほのかは約束の高卒資格を大検で取ることにした。そのために朝から勉強している。


「まずは露天風呂のサイズを決めていきます」


 良太朗は露天風呂の四隅になる部分に石をおいて、ざっくりと場所決めをする。サイズ的には横に縦横ともに二メートルくらいにする予定だ。


 良太朗はすこし離れたところへ移動して、全体を見ながらから確認する。良さそうだったので、動画向けに良太朗は解説を入れていく。


「大丈夫そうですね。この大きさなら複数人でも入れそうでしょう? 完成が楽しみになってきました。では、石じゃすぐに動いてしまうので、動かない目印を作っていきます」


 良太朗は置いた石の代わりに、キャンプ用のペグを打っていく。打ち終わったらペグにナイロン紐を掛けてラインを作っていく。


「こうやって物を作る場所を決めていくのを縄張り、もしくは地縄張りと言うらしいです。そのまま縄張り争いとかで使う縄張りの語源ですね。家とかを作るなら慎重にやる必要が有るんでしょうけど、ここに造るのは露天風呂なので、多少ズレてても、ちょっと変わった形の湯船になる程度なので気にしません」


 そう宣言した良太朗は、シャベルで縄張りの内側を掘り始める。そこでふと気づいた良太朗は、掘るのをやめて、追加のペグを取りに行く。


「このやり方だと角の部分を掘ると、ペグがぬけちゃいますね。なのでちょっと修正します」


 良太朗はペグを打ち直して漢字の井形になるように縄を張り直す。これで角の部分を掘っても、ペグが抜けてしまう心配はない。


「これで大丈夫ですね」


 良太朗はせっせとシャベルで穴を掘っていく。草原とはいえ、人の手の入っていない土地だから掘るのは大変だ。握りこぶしほどもある石や、砂利などが多く埋まっている。


 小一時間ほど掘り続けると、なんとか穴らしきものが出来てきた。良太朗は首にかけたタオルで汗を拭いて、すこし休憩することにした。これは思った以上に大変な作業かもしれない。


 良太朗が水筒のお茶を飲んでいると、リュカがやってきた。


「なにしてるの?」


「露天風呂を造るのに、穴を掘ってるんだよ」


「こんなの魔法でぱーっとやっちゃえばいいじゃない♡」


「魔法なあ……。それをやると動画が撮れないからなあ……」


 電子機器と魔法の相性は最悪だ。良太朗は〔リュカニアの恩寵〕のおかげで、各種魔法の使い方をなんとなく理解出来ている。ちょっとした生活魔法なんかには便利そうなものもあるけど、基本的には攻撃魔法みたいなものがメインだから、良太朗の中では無かったことになりかけている。


「身体強化みたいのでも使うと動画乱れちゃうし、排水用の穴開ける時くらいかな。魔法でやるのは」


「ふうん。じゃあ頑張って手で掘ってね♡ がんばれがんばれ♡」


「それも大変なんだよなあ……。あ、そうだリュカがドラゴン姿で掘るの手伝ってくれない? 細かいところは無理でも出来るでしょ?」


「え〜、やだ」


「夕食の後で梨剥いてあげるからさ」


「ん〜、二個くれるならいい♡」


「じゃあそれでお願いするよ」


 リュカがドラゴン姿になったところで、スマートフォンでの撮影を再開する。リュカが前足の巨大な爪で穴を掘る。ものすごい勢いでゴリゴリと削れていく。まるでユンボで掘ってるような勢いだ。


「あ、今日もドラゴンさんに手伝ってもらいます。決してユンボで掘ってるのを合成してるわけではありませんよー。あ、ユンボというのはパワーショベルのことです!」


 良太朗も邪魔にならないように、角を中心にショベルで掘っていく。そこから一時間ほど掘ったところで、リュカが飽きたと言い出した。


「じゃあ、今日はここまでにしようか」


「やった〜。おわり!」


 リュカの手伝いもあって、初日で予定の半分ほども掘ることができた。りこが年末に来るとして、時間は二ヶ月近くあるから、なんとか完成できそうだ。


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