『焼かれたペット、進化して喋り出す』 ~「ワン!…じゃねぇ、喋ってんだよ!」~
その日、百目は気分で光線を撃った。
特に意味はない。ただ、草原にいた小さな動物が「焼けそうだった」からだ。
小動物はチワワに似た、異世界のモンスター《コロッポ》だった。
全身がふわふわで、つぶらな瞳がチャームポイント。とても無害。
ビィィィィィ……!
直撃。
周囲は焦げた。草原は焼け野原に。
だが、中心には――
「……ワン」
まだいた。燃えカスの中に、焼け残ったコロッポ。
いや、何かが違う。
その瞳に光が宿り、口が開いた。
「……あー、あー、マイクテスト。喉、焼けてっけど問題ナシっと」
勇者レオ「今、喋った!?犬が!?」
コロッポ「犬じゃねぇ!俺はバーニン=コロッポ・ザ・セカンド!進化系だ!」
以後、コロッポは自らを「炎の知性生命体」と称し、
百目の足元に常駐。しかもしゃべりすぎる。
セリナ「今日の晩御飯、何にする?」
コロッポ「焼け。すべては焼けば旨い。私を見ろ。焼かれて進化した」
ユラン「その理論、適用範囲広すぎないか?」
コロッポ「焼かれるか、焼くか――この世界に選択肢はふたつだ」
そんなコロッポ、戦闘でも大活躍(?)する。
魔獣襲来:
→「あれ、喋ってるチワワじゃね?」と敵が油断
→突然の頭突きファイヤー
迷宮探索中:
→「この焼け跡……罠の配置図だな」と推理
→焼き焦げた床をマップ代わりにするIQ
唯一の欠点は――
めちゃくちゃうるさい。
コロッポ「この火山、俺と話が合うわ」
「おい百目、今日はどこ焼く?右目?左目?アゴ?」
百目(無言でビーム準備)
コロッポ「ちょっ、待って待って待って!?それは話し合おう!?ねっ!?」
結果、定期的に焼かれる。
だが、焼かれるたびに語彙力と知性が微妙に上がっていく。
セリナ「ねえ……今、ラテン語で喋ってなかった?」
ユラン「古代魔導語だったな」
コロッポ「燃やされしは我なれど、昇華されしは魂なり――うぉおおん!!」
今日もどこかで、ひとつのペットが燃えて、進化して、しゃべっている。
それが、百目のしもべ《バーニン=コロッポ》。
次は君のペットかもしれない……!




