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リンカーネーション  作者: 鹿十
第四章 ブレイザブリク応戦編
87/203

王都にて――

今回の話とは関係ありませんが…世界観設定を分かりやすく伝えるためにep.55 2つの魂にて、図式の挿絵を挟みました! 分かりづらいと思う方はぜひ見てみてください

「ん……?」


 大月は王宮の中庭にいた。

 日が照りつける快晴。

 オーバーオールのポケットに両手を突っ込んでいる。

 何やら人影を感じ、後ろを振り向くが誰もいない。


「気のせいか? なんてな……顔を見せてみろ、お客さん。おたくはシャイな質なのか?」


 口角を斜めにあげ、帽子の唾から片目だけをのぞかせ問いかける。

 すると遠方から大月に向け発射されたのはーー炎の球体。

 大月は体を反らし、それを避ける。


 柱の影から表れたのは真っ黒なローブに身を包んだ5名の不審者。

 頭の天辺からつま先まで黒色に包まれており、どこか生命感の無さを感じさせる出で立ち。

 顔には白色の仮面が付けられていて、独特な筆記体で描かれた記号が削られていた。

 仮面に付けられた記号はそれぞれ、ᛟ、ᛞ、ᚱ、ᛉ。


「……カ……ミ……コ…………ホシ…イ」

「ン……ン、ン……」

「ーー」

「ザ……ザ……ウバ……ゥ」


 4名はそれぞれカタコトな言葉を話す。

 

「……特定排斥種(いつもの野郎ども)か、全く……お前さんらは、暇なもんだな。どうだ? 今日は一緒に散歩でもしないか? こんな天気の良い日に、血生臭さいことはごめんだな」


「コロ……セ……コロセコロセコロセッ」

「やれやれ、冗談も通じないのか?」


 大月と4名の特定排斥種が動き出す。

 2名は大月に対して接近戦を挑み、もう2名は遠距離を保つ。

 接近した1名ーー「ᚱ」の仮面の男は黒いコートから獣の腕を出す。

 その手先には獣人のような、ナイフよりも切断力のある研がれた爪が光っていた。


 まるでガルムのような剛力と超速で腕が何回も振られる。

 大月はポケットに手を突っ込みながら「ᚱ」の人物の攻撃を避け続ける。

 

 「ᚱ」の対応に大月が手間取っていると。

 もう一人、大月に近づいた「ᛉ」が、短剣を取り出し、大月に向け突く。

 がーー完全に死角からの攻撃であったにも関わらず。

 大月は短剣での刺突を避けていた。

 否ーー大月の存在していた位置座標が一瞬の内に横にズレているのだ。


「ッ?!」


 短剣を突きつけた「ᛉ」の人物は驚く。

 獣人は何度も爪で引っ掻くが、瞬きを一度する度に2,3回は大月の位置が僅かに移動してしまい、攻撃が命中せず全て避けられてしまっている。


「ッ……ギ、ガ……」


 「ᛉ」と「ᚱ」は動揺していた。

 すると今まで一番遠い場所で黙って傍観していた「ᛟ」が話し始めた。


「オオツキケイジュ……ヤハリケイフカ……」

「お、喋れるヤツもいたんだな。どうして俺の名前を知ってる? ……って質問は野暮だな」

「サキホドカラ、スウカイクウカンヲ『テンイ』シテイルナ?」

「ああ、バレちまってたか。なるべく悟られないよう、『細かく』転移してたんだけどな」

「ソレガキサマノ、コンゲンノコトナルチカラカ?」

「実際には、そうじゃない。この能力は……個人的な研究成果によるものだ」

「ワレワレガ『排斥種』ダトイウコトハ、イワズモワカッテイルナ?」

「まあな」

「ジャアモクテキハシッテイルハズダ」

「どうせお前さんたちの目的とやらは、『巫女の回収』だろ?」

 

 「ᛟ」は黙って静かに頷く。


「獣人に魔族……そっちの「マンナズ」のお面の奴は……エルフか。で、オマエさんは人間ってところか? よりどりみどりだな」

「……ミコヴォルヴァ ヲヨコセ。デナケレバコロス」

「お前さんたちが、巫女様の要求を全部飲んで、巫女様のことを丁重に扱うなら考えてやっても良いぜ」

「……サシダスカ、コロサレルカドチラカダ。エラべ」

「駄目だな。巫女様はひどく甘党でな。毎日はちみつ付きのパンケーキを食わせてやらないと、スネちまうんだ。それに枕が変わっただけで寝れないと騒ぎ出す。あんな駄々っ子をお前さんたちが管理できるはずがない。却下だぜ」

「ソウカ、デハ、マンナズラドアルジズ、コロセ」


 大月はため息を吐いて、短文を詠唱する。


【――transform.position】


「!!!!」


 「ᛉ」が短剣を持ちながら、幻術を使い姿をくらませつつ、大月に接近した次の瞬間。

 魔族「ᛉ」の体は地上から約400メートルほどの高さに転移していた。

 真横を見ると、大月の姿がある。

 大月は口角を上げ、笑いながら


「悪いな。先に行くぜ、下で待ってるからな」


 とだけ言い捨てると、大月の体は歪みパッと消える。


「?!?!?!!! ア……アアッ……」


 そうして遥か上空に置きざりにされた「ᛉ」は。

 いきなりのことで動揺していて反応できず。

 保護術式や防御術式を編纂する暇さえ無く。

 そのまま「ᛉ」は、ぐしゃり――と肉や骨を砕く音を発し、地面に衝突した。


「ガアアッアアッ‼️‼️‼️」


 興奮しながら襲いかかってくる獣人「ᚱ」の爪での攻撃を。

 大月は、短い時間軸、空間幅で転移を絶え間なく繰り返すことで避ける。

 そして腕を伸ばし、がら空きになった胴体に大月は右手の平を当て


「――メス


 ドス。と肉片が貫かれ、内側が崩壊する音が3回響いた。 

 同時に、「ᚱ」の腹部は地面から生えた三本の木の枝に貫かれている。

 大量の血が吹き出て息絶えるも、貫かれて固定されているため倒れはしない。


 そして大月は返り血を浴びたまま、今度は標的を「ᛞ」へと移す。


「ッガッッイッイッゥゥ゙!」


 同胞の血を見て興奮し取り乱す「ᛞ」。

 大月は冷静に、右手を伸ばして手のひらを上にし、人差し指と中指だけを上げ


「――鑷子ローレル


 瞬間、稲妻型の亀裂が、頭部から左足の末端にかけて雷鳴のように走った。

 亀裂には、木の根のようなものが刻まれている。

 血が吹き出るも、「ᛞ」の体は柔らかな緑色の光に包まれ、体に刻まれた切断面が綺麗に再生する。


「ん? 流石、森霊種エルフ。治癒術式はお手の物だな」


 大月は短距離の転移を行う。

 距離を取って傷口に治癒術式を施した「ᛞ」。

 だが転移した大月に一瞬にして距離を詰められ。

 気づけば、大月は背後におり、右手の平が「ᛞ」の背中に押し付けられていた。


メス


 ドゥ゙。という鈍い音が8回鳴り響く。

 地面や天井、近くの柱から出現した木の枝が8本、「ᛞ」の体を貫いていた。

 治癒術式を施すも、急に体に空いた8個の穴を塞ぎ修復するのは流石の森人種エルフといえど難儀であり。

 そのまま再生が間に合わず朽ち果てた。


 そうして残されたのは人類種ヒューマニティの「ᛟ」のみ。

 いや、生物的にはその種族に属すことは間違いないのだが。

 除け者・・・にされているのだ、この言い方は正しくないだろう。


「……さて、じゃあ「オサラ」。あとはお前さんだけだぜ? 人間のお前さんは一体どんな手段を使ってくるんだ? やはり特定排斥種らしく『呪術』か?」

「……ニンシキヲアラタメヨウ。オオツキ、キサマハココデハイジョシテオカナケレバ……『巫女の予言』ノキサイ二アクエイキョウヲオヨボス……」


隔離カクリ


 残された「ᛟ」は詠唱し。

 新たな世界を創造した。

 そう――これは。


「……根源の異なる力か。いやはや、あてが外れたぜ」


 大月は、「ᛟ」が展開した第三世界内に取り込まれながら。

 至って冷静にそして、少しばかり胸を踊らせながら呟いた。

 

 


 




 

 



 

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