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リンカーネーション  作者: 鹿十
第四章 ブレイザブリク応戦編
82/203

ブレイザブリク⑪

ゴルゴン、ブードゥー、アルガードたちは7代目ではなく、8代目の邪神候補でしたね。間違ってました。すみません。

先代の邪神が7代目で、彼女の掛けた呪術を解くことで8代目邪神に選ばれるシステムです。

魔界ムスペルヘイムで覇権を握っているのが邪神です。

ちなみに邪神の強さは圧倒的ですが、その中でも7代目邪神は歴代でもトップクラスの強さです。

『枢軸主』オーディンや『魔狂徒』ロキくらいなら捻り潰せます。

『世界蛇』ヨルムンガンドはちょっときついかも…くらいの強さの化け物です。

〔『略式』狂凶暴虐アエーシュマッ!〕

〔『略式』残桜‼️〕


 樂具同の胸から腹部にかけてクロス型の斬撃が加わる。

 致命傷にまでは至っていない、おそらく薄皮1枚程度の傷。

 

(おそらく僕と同じように、外界樹素を乱すことができるんだ……ガルムたちの攻撃の威力が半減している!)


 樂具同へのダメージが薄い様子を見て、他の系譜も自分と同様に外解樹素を乱す体質を持つのだと確信した陽太。

 しかし本命は斬撃ではなく――陽太の灯した魂の炎。

 フレアが着弾した右腕は火力は少ないものの、樂具同の皮膚を焼き、肉を焦がしている。


「ッううッがッ……」


 炎症の痛みでもがき苦しみながらも、樂具同はシワだらけの口元をニヤリと上げ微笑み


「特殊な術式だ。儂の区域を強制侵入して到達するとは……だがしかし……」


 なにか策があるようだ。

 樂具同は己の左掌で燃え盛る右腕を抑える。

 すると樂具同の真横に〔止まれ〕の標識が数十枚、重なって出現した。

 その標識は、時間が経過する事に1枚ずつ消滅していくが、減少するより速い速度で重ねられ数を増やしていく。


(区域内の常在指定の効力を自分自身――それも燃える右腕だけに限定させて、炎の進行を止めやがった!)


 燃え広がり、消えるはずのない魂を消費した炎。

 にも関わらず、標識〔止まれ〕の効力を受け、消滅……はしないまでも燃え広がらず、火力は減衰。

 火の粉程度の小ささに縮んでしまっている。


「……はッ……はッ……ふゥ……疲れたわい」


 冷や汗を垂らしながら微笑む樂具同。


 ガルムとミミズクは樂具同を距離を取りながら、立ち尽くす僕の横へと移動し


「何がどうなってやがるゥ? 陽太」

「あいつの区域内に侵入すると問答無用で〔止まれ〕の効力を受ける――つまり拘束されてしまうんだ。今、あの老人は、その常在指定を自分自身に絞ったんだと思う」

「なら、もうあの灰色の領域に入っても、身体が停止したりしないってことっすよね」ミミズクも尋ねる。

「そう……だと思う」


(……くそ、仕留めるまではいかなかったか。だが、これで……あの老人は力場操作を行う上で詠唱をしなければならなくなった。もう区域に入っても、ノーモーションで標識の効果を受けることはないだろう……なら、話は別だ。ガルムが超高速で動き、老人が詠唱をする前に攻撃を加え逃げる、ヒットアンドアウェイ戦法を行えば勝てる)


「ガルム、もう一度、さっきの術、使えるか? もう区域に侵入しても平気だと思う。あいつに拘束接近し、傷を与え、詠唱で力場操作を発動させる前に区域から抜け出す――これを繰り返せば良い」

「おっけェ分かったぜ」


 樂具同の常在指定効果を消し、手札を奪えた。

 やっと勝機が見えてきたそんな時に。

 余裕そうな面持ちで、樂具同は言う。


「はてさて、そろそろ、こちらも限界だ。これ以上動くと、腰に響く……体感で25分弱といったところか、計画よりも大幅に時間が稼げなかったの。まあよい交代と行こう」


 と呟いた声は誰に向けられたものなのか理解できなかった。

 しかし樂具同の背後にそびえ立つ廃墟の塔。

 その頂上にアウストリの逆光を受けながら、輝く一つの影が見えた。


「ははははははッ……もう限界か? 樂具同! 老人は軟弱でいかんな!!」

「儂とお前ではわけが違うであろう? 年を取ると衰退していくもんだ」

「日本男児というものッ! たとえ老人になったといえど弱音と言い訳は許されんぞッ!」

「とにかく、下に降りてこい。出番の交換じゃ。零式ぜろしき

「はッ!!」


 50メートルはあろう塔の天辺から戦隊ヒーローよろしく飛び降り、軽快に着地して表れたのは。

 極太の眉毛、オールバックの短髪、活気のよい笑顔に、剛腕な肉体。そしてハチマキに軍服。

 年代は20代前半といったところだろうか。

 明朗快活の申し子――零式と呼ばれる男。

 

 彼は着地の衝撃で窪んだ地面の上に仁王立ちをし、腕を組みながら。

 それはそれは大きな声音で語る。


「自分こそがッッ大日本帝國の盤石たる未来と繁栄を願うため、祖国のために命を賭して戦う男! 零式だッ! 自己紹介以上ッ! さてお前らの名前はなんだッ早く言えッ!!」

「「「……」」」


 突然の登場と活気に、陽太とガルム、そしてミミズクは無言になる。


「なんだッ近頃の男はッ挨拶もろくにできんのかッ! 貴様の名はなんだッそこの背がちっこい剣士ッ!」

「あ、俺っすか?」

「そうだ貴様の名を説いている早く言えッ!」

「俺、は……ミミズクっす」

「耳を塞ぎたくなるような響きだなッ! そして腰に携帯しているのは刀か? 日本刀のようには見えんがッ……日本人ならば祖国のために刃を振るうものだぞ! 貴様も軍人の末端ならば国を守るものとしての自覚と責務を持てッ」

「は、はあ……」


 零式は次にガルムに目を移す。


「貴様は誰だッ」

「なんだアこいつ……頭おかしいンじゃねェのか」

「貴様は誰だッ」

「てめェが誰だよ」

「自分は零式だ。以上ッ 貴様は誰だッ」

「……ガルム」

「ガルムか! 貴様の肉体美は素晴らしい! これほど鍛えられた肉体は見たことがない! しかし意思と信念に欠けているように見える!! 論外だ。肉体を鍛えていても心を磨き上げない男に価値はないッ! 次!」


 そして零式は最後に陽太に視線を送る。


「……貴様は……見た所、自分と同じ大日本帝國の臣民か?!」

「……日本人です」

「これはこれは。樂具同に加え、若い日本人に相まみえることになろうとはッがははッ、中々に奇想天外な運命だ。これだから人生はどうなるか分からん! 貴様の名はッ」

「僕の名前は立花陽太です」

「陽太……なるほど、中々に珍しい名だな。しかし悪くはない……が、はっきりいって論外だ。軟弱すぎる。同じ日本男児として貴様の体たらくぶりが情けない」

「……」


(こいつ……ペラペラと……おそらく樂具同とかいう老人と同じ……系譜の一人‼️ だが敵意は感じないな……大日本帝國がどうたらとか理由のわからないことを喋ってるし、こいつもしかして……僕が暮らしていた日本より前の時代の転移者か?)


 陽太が推察していると。

 樂具同は杖を支えにして緩慢な動きで立ち上がり、曲がった腰のまま


「では零式。あとは頼んだぞ」と呟きその場から去ろうとした。

「逃がすわけねェだろ、ジジイッ!」


 そんな隙を見逃すはずなく、ガルムは急接近し、その爪を樂具同に刻もうとする――が。


「話の途中だ。何をしている犬っころめ」


 ガルムの首根っこを掴み、引っ張る。

 ガルムはそのまま為すすべなく地面に叩きつけられ、口から唾を吐く。


(おいおい……嘘だろ。しゃれにならない強さだぞ……この零式とかいう軍人……何か「根源の異なる力」を使ったのか? じゃないとあの速さに理由がつかない……)


 陽太の膝が恐怖でガタガタと震え始める。

 それを見ていた零式は鼻で笑い飛ばし、仁王立ちしたまま。


「どうした陽太。貴様は軟弱だ。恐ろしく弱く、同じ同郷の者として恥ずかしい。今でも震え、怖気づいている。……決めたぞ!」


 零式の顔がぱっと明るくなる。


「自分が、日本帝国の軍人として稽古を叩き込んでやることにしたッ。樂具同はあの、卵のような気色の悪い肉塊と剣士の石像を守れと煩いのだが、まあこの場から多少離れても問題はあるまいッ!」


 瞬間。

 陽太の体は地上から約50メートルほどの高さに投げ飛ばされていた。


「は?」


 何が起きたのかさっぱりわからない。

 どうやら零式という男に胸ぐらを捕まれそのまま投げ飛ばされたらしい。

 空中からは、幽霊都市が一望でき、街中の隙間をゾンビの群れが蠢いていて。

 空にはヘビの鱗が敷き詰められ、紫色に染まっている。

 

 ようやく衝撃が切れかけ、今度は重力に従い身体が自由落下を始めた。

 このままでは地面に落ちる。


(そういえば……異世界に転移した時も、こうやって高い所から落ちたよな……)


 なんて意味のない空想に浸り、現実から逃避仕掛けていた、その時。

 斜め下から拳のアッパーが加わる。

 その拳は僕の右頬にクリーンヒットし、そのままさらに上空へと投げ飛ばされた。

 

 滑空する僕の身体。

 なんとか体勢を立て直し、零式のいる方角へ視線を移す。

 そこには空中だというのに落ちることなく浮遊している零式の姿があった。


〔『式』系統は魔素――フォルテシモ・フォートレスッ!〕


 自身に保護術式を掛け、落下の衝撃を和らげる。

 しかし咄嗟のことで術式がうまく編纂できなかったためか。

 それなりの落下衝撃が背中に加わり、痛みで悶えた。


「ッ……ああああッ……クソ……なんだよあいつ……」


(理解不能な超パワーに身体能力。そして謎の空中浮揚……もうなんでも有りの能力じゃねえかよ……)


 と、理不尽きわまりない零式の「根源の異なる力」に振り回されていることを嘆いていると。

 そんな暇もなく。


「おい、何を地べたに寝そべっている。稽古はまだ終わっていないぞ、立てッ! 陽太ッ!」


 真横には、当たり前のように腕組をしている霊式の姿があった。


 

 


 

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