表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンカーネーション  作者: 鹿十
第三章 王都編
51/197

殺ッセオ!!①

 大地を揺るがすコングの音。

 興奮で包まれた観客たちの歓声。

 そのどれもが、アタシにとって馴染みのないもので、新鮮で。


 人間って生き物は群れをなして暮らし、大きな都市を建設するという噂は聞いていたし。

 そんな町並みは幼いアタシにとっては夢そのもので。

 いつか訪れてみたいと、願っていたし。

 沢山の人間に囲まれて、笑って暮らしたいと願っていたのは確かだけど。

 まさか、こんな形で、夢が叶うとは思わないよね。


「出場だ。外へ出ろ! 魔族フレン‼」

 

 錠前に鍵を差し込み、檻の扉を開く看守の男。

 その檻の中で鎖に繋がれているのは、やつれたフレンの姿。

 

「うるさいわね。せっかく寝れそうだったのに」

「早く外へ出ろ。貴様の出番だ」

「外へ出ろって言われたって、鎖に繋がれてて出れないんですけど」

「では今から鎖を外してやる。決して暴れるんじゃないぞ」

「まあ、そんな必要もないけど」


 フレンが立ち上がると、両手両足に繋がれた鎖が炎で焼かれ溶けていく。

 溶解した鉄の鎖は液体となって地面に溶け落ち、フレンは肩を回しながら檻の外に出た。

 その一連の様子を見ていた看守の男は、「ひい!」と怖がりながら尻もちをつく。

 

 檻の先には階段があり、階段の先からは光が漏れ出している。

 右手で光を遮り、階段をコツリコツリと歩くフレンの頭の中には。

 期待と希望が渦巻いていた。


 フレンが階段を上がった先に広がっていたのは。

 大きな円形闘技場。

 中央のフレンを囲うように何千、何万もの人間が密集して観戦している。

 

「やっちまえ‼」

「殺せ‼」

「暴れて見せろ魔族ッ‼」


 熱気が込められた罵詈雑言の数々がフレンに降りかかるが、フレンはその言葉に全く反応を示さないで、人間の暴虐ぶりに呆れ返っていると


「ではア~~~~~~~お次は~~~~~~~~~~今回のコロシアムの目玉!! 魔族フレンの登場だあ~~~~~~~~~~‼‼‼‼」


 術式を用いて声の音波を増幅し拡散するのは、解説実況役の男。

 彼の解説と共に、これまた一段と観客たちの熱気のボルテージがあがる。

 冷めているのは、フレンだけだ。


「この魔族フレン~~~~こ~~~~んなに愛らしい顔をしてるけど~~~~皆さん! 騙されちゃいけませんヨオ~~~~~~?! なア~んと! 城郭都市に出現した大規模ダンジョンの終座に君臨していた、いわばボスですねえ~~~~~~~美しい金髪なのは認めますし~~~~こんないたいけな少女を殺し合いに参加させるのは~~~~いくら私といえどオねえ、心が痛みます、本当に」

「嘘つけ‼‼‼‼‼」

「お~っと観客から私に罵声が飛びましたねえ~~~~今日も観客たちは捕れたての魚みたいに元気いっぱいですね~~~~~~まあ、取り敢えずゥ~~~~皆さん、かわいくて若い女性ってだけでえ~~~~チヤホヤしたりとか~~~~~可哀想だとか~~~~人権がどうだとかそうゆうばかみたいな話をするとね~~~痛い目見るって話ですよ~~~~~~~僕もねえ、妻はねえ、昔は本当に可愛くて可憐な女の子だったんすけどねえ~~~もう年が経つごとに鬼ババアになってしまいましてねえ~~いや~女性ってのは怖いもんですわ~~~」

「うるせえアホがッテメエの女房の話なんぞどうでもいいわッ」

「早く殺し合いをさせろッ」

「テメエの話とか聞きたくねえんだよ」

「はいはい。観客たちも~~~~お預けされてイライラしてるみたいでね~~~~~ってことで早速、やっていきましょうか~~~~~‼ まず第一線は、魔族フレンVS上級魔獣! 相手はデュラハンですわ~~~いや~~~これは厳しい! デュラハンを討伐するのに、剣術に秀でた剣士が5体は必要だと言われてるくらいですから~~~もしかしたら、魔族フレンはここで死んじゃうかも? な~~んつって、ってことで、なるべくあがいてくれ!! フレン!!!!」


 歓声とともに、フレンの対極の位置にある鉄の門が開き、中から首なしの騎士――デュラハンが飛び出し、フレンめがけて猛突進する。


「おっと~~~~~!! 早速フレン大ピンチかあ~~??????」


 歓声があがる。

 観客の半数は、いくら魔族とはいえど人の、少女の形をしたフレンを戦わせることに引いていたが、彼らの声は、血と肉を求める過激な観客の歓声に飲み込まれ消えていく。


 デュラハンは、その大鎌をフレンめがけて思い切り振る。

 フレンはため息を吐いた後


「バッカみたい。ニンゲンってば、こんなつまんないことばっかりしてる生き物なの?」


 と呟いた時には、切りかかっていたデュラハンの方が、フレンの魔術による炎で焼かれ朽ちていった。

 会場内が「どっ」とざわめく。


「お、おお? おっっと~? 何が起こった? ど、どうやら、フレンは、今、魔術を用いたようですねえ~~~おかしいなあ、完全にデュラハンに斬り殺されると思っていましたが……まあ、いいでしょう!よ~っし、第一回戦はフレンの勝利‼」


 歓声により大地が揺らぐ。

 間髪入れず、門が再び開き、その向こう側からは一人の老兵が現れる。

 解説役の男は


「さて~休む暇もありませんよ。お次は、王都の軍の剣士です。彼は歴戦の剣士であり、剣術を極め、『能』の地位に上り詰めた生粋の実力者です! これは手強いぞ~?! あ、ちなみに剣士の階級について知らない人に説明しますと、剣士の階級は下から『大』『権』『能』『力』『主』『座』『智』『熾』であり、『能』の階級以上の剣士は300名も存在しません! これは手強いですね~~~~……あれ?」


 解説役の男が、熱心に剣士の階級について解説し終わった頃にはもうすでに。

 『能』とやらの階級を持つ老兵は地に伏し倒れていた。

 解説役の男に対し、フレンは赤色のルビーのような瞳を向け


「くだらない。こんなもんなの? 剣士とやらって」


 と言い、挑発するようにカモンの合図をジェスチャーで送って見せる。


「おいおい、マジか」

「『能』剣士が一撃で?」

「洒落にならない強さだろ」


 観客たちはもやは、死闘を楽しむ気力はなく、ただただフレンの圧倒的な強さに恐れおののくのみ。

 

「あ、え~フレンが強すぎて、お通夜みたいな雰囲気になってしまいましたが~~~ま、まだまだ!! 次は~『力』剣士の出番で、その次は『主』剣士が待ち構えていますし、まだまだ上級魔獣は沢山いまして~」

「めんどくさいから、全員纏めてかかってきなさい」

「……え?」

「面倒だから、その『リキケンシ』とか『シュケンシ』とか纏めてかかってきなさいって言ってるわけ」

「…………」


 解説役の男は思わず、黙る。

 ボルテージが下がる円形闘技場。

 観客の恐怖に比例しようやく湧き上がってきたのは。

 フレンの興奮とテンション。


 殺し合いはまだまだ続く‼ 

 ここは血肉湧き踊る‼ 天下無双のバトルコロッセオ‼









 

ブックマークと評価をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ