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リンカーネーション  作者: 鹿十
第二章 ダンジョン編
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第二ラウンド①

 あっけなく第一ラウンドを制することが出来て、ほっと一息つき、胸を撫でおろす陽太。

 しかし休む暇もなく、第二ラウンドの宣言が訪れる。


〔第二ラウンド開始。行動可能回数は両者ともマックスの数値に回復します。プレイヤー側は前ターンで防御を一度選択したため、行動可能回数の総量は二十五に増加。ラウンドを跨いだHPの回復について。ラウンドを跨ぐと、HP総量の二分の一の量が回復します。よってプレイヤー側は百五十、ボス側は三百のHP数が回復します〕


「……HPは全回復しないわけか」


 アナウンスを聞いて、独り言を呟く陽太。

てっきりラウンドを跨ぐ度にHPも全回復するものだと思い込んでいたが、どうやらその予測は間違っていたようだ。

やはりこのゲームについて、細かいルールを陽太たちは知らない。

陽太たちがゲーム的に不利な立場に立たされていることは変わらないのだ。


(だがしかし、動揺するほどでもない。須田はHP総量が二倍多いから、アイツの回復量も僕らの二倍となってはいる……が、問題はない。先ほどの第一ラウンドでHPを削られたのは、ガルムだけ。百五十も回復を出来るのだから、ガルムの体力も全回復するだろう。そうすればプレイヤーサイドは全員無傷状態に戻る。そうして、第二ラウンドでも第一ラウンドと同じことをすればいい。依然として、俺たちが断然有利な状況にあることは何ら変わらない)


 心の中でつぶやき、自身を安心させる陽太。


〔第二ラウンド開始、ターン、ボスサイド〕


「おや、今回はターンが私から始まるようだね」


 須田は己が置かれた不利な状況に、全く悲観する様子も、焦る様子も見せず、ただゲームを楽しんでいる。


「いいのかよ、須田。自分が置かれた状況を分かっているのか? 第二ラウンドを取られちまえば、お前は敗北が確定するんだぞ。少しは、危機感を持ったほうがいいんじゃないか?」


 わざと煽るように言う陽太。

 しかし須田は平然とした態度を崩さず


「簡単なゲームなんて楽しくないだろ? 『魔法攻撃、フォルテシモ・フレアをガルムに使用』」


(また、ガルムに攻撃かよ。意味薄いだろ、それ)


 須田の選択肢に対し、心の中で悪態をつく陽太。

 しかし、彼の予想に反して。

 魔法攻撃がガルムに実行された後、ガルムは白目をむいてその場に倒れた。


「はッ?」陽太は驚いて声を荒げた。


〔ターン変更 プレイヤーサイド〕ターンが切り替わる。


「ど……どうゆうことだよ。ガルムの体力は全回復したはずだろうが。フォルテシモ・フレアでも、ガルムの防御力じゃ、一撃で死ぬなんてあり得ないはず……」


 陽太は独り言を呟いている途中に、ガルムが倒れた理由に気づく。


「……クソ、そうかよ。複数人いる場合、HPの回復すらも全員均等に配分されるのかッ?」

「ご名答。ガルムが実際に回復した数値は百五十の六分の一……たったの二十五ってわけ。第一ラウンドが終わった時点で彼の残りのHPは僅か八。二十五回復したところで、たったの三十三だ。最強化魔法であるフォルテシモ・フレアを一回当てればギリギリ削り切れる数値だね」


 須田がしたり顔で解説を行う。


(だから須田は、一個人を集中的に狙っていたのか。全員に均等に攻撃を加えていけば、確かに全員のHPは削れる。しかし、ラウンドを跨いだ際のHP回復が『均等に行われる』のだとしたら、全員が二十五の回復をするから効果が薄いことに気づいていた……クソ……)


「無傷な俺たちは、無駄に百二十五も回復をあてがえられたってことかよ」

「そうゆうことだね。陽太君は、負傷したガルム君のみに『百五十』という数値の回復が施されると勘違いしていたみたいだが……まあ、それは誤算だったな」

「そんなルール、知っている奴の一人勝ちじゃねえか。やっぱクソゲーだな、このゲームは」

「君達のステータスが予想より高すぎたからね。こっちも本気出さないとやられてしまう」


 陽太と須田がお互い鋭い視線を向けながら言い争いをしている中、スノトラは白色の地べたにペタンと座り込み、倒れたガルムを見つめ、涙を流している。


「大丈夫だ、スノトラ。ガルムは死んだわけじゃねえ。仮死状態だ。このゲームで勝てばガルムも生き返る」


 とスノトラを鼓舞しながら、陽太は鋭い視線を須田に向ける。


「ああ、その通りだよ。その点に嘘はない」


 須田はため息を吐いた後、陽太の聞かんとしている情報を察し、同意を示す。


(大丈夫だ。問題ねえ。ガルムが戦力から消えたのは痛いが……依然として状況は変わらない)


「シグルドに次いで、スノトラとフレンもスキルを使用。手札をまずは確認しよう」

「『固有スキル発動』」


 フレンとスノトラの両者が揃って行動を宣言する。


〔スノトラ=ド・ノートルダム、固有スキル「手品師」。フレン、「魔と王の血」。使用。「手品師」の効果により、スノトラは実力範囲内のオリジナル術式の構築が可能となります、創造できる機会は一度だけであり、以後はその術式を用いて魔法攻撃をするスキルに変化します〕


(スノトラの固有スキルは……術式の構築か? どの程度の術式が構築できるかは謎だが……今は使用すべきではないな。戦力の拡張要素として温存しておくべきだ)


「『スキル』発動」「防御」「僕も防御だ」


 シグルド、陽太、アマルネの順で三人とも宣言する。


 行動コマンドの入力が終わり、シグルドの連撃が二連、須田に刻まれた。

 シグルド、スノトラ、フレンの三名に遅れて、アマルネの魔法攻撃が炸裂した。

 猛攻撃を受け、須田のHPはラウンドを跨いで回復したとはいえ、それでも半分以下にまでに削られる。


(僕はずっと「防御」に徹するのが最善手だろう。もしも、須田が魔法攻撃を俺に酷使してきた場合、僕のステータスの低さだと、一発で死ぬ場合もある。それに、防御コマンドを選んでいれば、次のラウンドでのAPが一増加する。下手に俺が行動しても須田に有効打は与えられないだろうし。最悪、シグルドの攻撃だけで須田を削れる。僕が無理に行動する必要はない)


〔ターン変更 ボスサイド〕


 須田はネクタイの結び目を左右に動かし、乱れたネクタイの位置を直す所作を行った後


「『固有スキル』」


 と唱えた。


(やっとかッ。須田がこれだけ余裕だったのは、自分のスキルに絶対的な自信があるからだ。しかし、第一ラウンドでスキルを連発しなかったので、万能な能力では無いはず。何がくる?)


 固唾を飲みながら観察する陽太。緊張感漂う中、機械音が鳴る。


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