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リンカーネーション  作者: 鹿十
最終章 帰還編
184/193

七つの宝石

 シグルド、再びの覚醒。

 空間を割る黒い稲妻を放ち、耐え難い不協和音を鳴らす。

 同時に、所有者のボルテージの上昇を感じ取った霊剣「リジル」も共鳴し、刀身のその9割を顕現させる。

 

〔蒼『彩』!!〕


 覚醒状態でのみ使用可能になる霊剣リジルの術式強化形態「彩」。

 「蒼」――神器「未来印スクルド」の未来視の能力、その精度の飛躍的上昇。

 その力が、鱗に囲まれ四面楚歌状態のシグルドに、新たな活路を見出させる。


 糸も通せぬほどの小さな隙、その隙をかき集め、未来印が示した唯一の脱走路。

 そこに目掛け、寸分狂わぬようにして


〔『略式』〕


 短文詠唱で居合流の神速を発動。

 シグルドは見事、鱗の大群から逃れた。

 空中に身を放り出しているシグルドは、間髪入れずに


〔『藤』〕


 霊剣リジルの術式を変更。

 リジルに嵌められた宝石が紫色に変化し


〔分割せよ〕


 そうシグルドが唱えると、霊剣リジルは振るわれた軌跡にそって4つに分裂。

 そのうち2本を両の手に取り


〔黄・朱『彩』!!〕


 再び詠唱すると。

 それぞれ左に持ったリジルの宝石は黄色に染まり、右手に握ったリジルの宝石は赤色に染まる。

 そして右の剣からは斬撃が放たれ、左の剣からは鎖が伸び、ニーズヘッグの腹へと向う。

  

 鎖はニーズヘッグの前足に巻き付いた後、剣ごとシグルドを引っ張る形で巻き取られ、高速で射出された遠隔の斬撃はニーズヘッグの腹へと到達し、肉を引き裂いた。

 ニーズヘッグはすぐさま前足に巻き付いた鎖を力で引きちぎろうとするも、あまりに強固で破壊できなかった。


 鎖に引っ張られ、ニーズヘッグに急接近したシグルドは、焦るニーズヘッグに向かって、右手の「朱」のリジルを手から離して、代わりに空中に浮いている2本の剣のうち、片方を右手に取り


スイ


 唱えると宝石は緑色に変わり、超威力での剣の殴打が加えられた。

 その威力は凄まじく、大地を伝い大陸そのものが揺れたかと錯覚してしまうほどのもの。


【霊剣リジルの「藤」と「翠」に宿る術式】


【「藤」――神器「グングニル」これは1年半前の「ヴィーグリーズの決戦」にて所有者であるリーヴ=ジギタリスの生き血を吸ったことでリジルが模倣・吸収した術式効果である】


【「グングニル」と同様に与えられた命令を「完遂」する術が宿っているが、「グングニル」と比べて性能は低く、具体的な命令内容を受けつけず、単純な命令でしか機能しない】


【シグルドはこの特性を活用、「藤」形態で「分割」の命令を与えることでリジルを分割させ、オリジナル以外のリジルにそれぞれ異なる術式効果を付与したまま滞空させておくことで、リジルの弱点“使用できる術式効果は1つ”という欠点を克服】


【剣を手にしている時のみ、リジルの術式効果が引き出せるため、この工夫により両の手で合わせて2つ、吸収した術式を併用できるようになった】


【但し霊剣リジルのこの運用方法はリジル本体に多大なる負荷をかけているため、シグルドは覚醒状態でしかこの術式併用方法を使用できない】


【「翠」――第二種神器「メギンギョルド」。「雷帝」トールが授かった2つ目の神器】


【その効果「力の倍化」。装着している所有者の樹素量や膂力、身体能力、編纂能力など、あらゆる力を倍化させる神器】


【全盛期の「雷帝」トールはこの力帯を付け、「至上」の神器「ミョルニル」を振るったとされる】


【これを吸収&模倣した「翠」の術式効果は「力の連続性」。リジルを用いた攻撃が連続する回数に比例し、打撃&斬撃威力は前の威力の倍となる】


【「翠」の術式も「蒼」「碧」と同様に、1年半前の「ヴィーグリーズの決戦」にて、リーヴ=ジギタリスによってとどめを刺された「雷帝」トールの死骸を突き刺すことで吸収していた】


【これらによって霊剣リジルの7色の宝石全ては満たされ、リジルは神器として完成している】


 一撃、二撃、三撃と、リジルを棍棒のようにして振るい放たれる打撃の威力が、回数が増える事に増していく。

 打撃が加わる度にニーズヘッグの皮と肉が避け、血と強酸が弾けるも、左手に握った「蒼」のリジルの未来予知によって、その強酸を華麗に避けたまま、空中で身を捩り、ニーズヘッグが痛みで怯んだ隙を狙い次の打撃を冷静に淡々と加えていく。


 度重なる打撃によって、ついにニーズヘッグは朽ち果てようとしていた最中――ニーズヘッグは渾身の力を振り絞り、体内の一部に強酸を集中。

 自身が死ぬ瞬間に、その強力な酸液を散弾のように撒き散らすことで死なば諸共、シグルドを道連れにしようと画策した。

 だが、「蒼」による正確な未来予知がその自爆を直前でシグルドに伝え――シグルドは急遽、術式効果を変更。

 「藤」による「分裂」の命令も解き、一極に集中して放つは


〔――オウ『彩』〕


 神器「レーギャルン」の「黒灰化現象の誘発」。

 リジルを通じてニーズヘッグに注入された術は、またたく間にニーズヘッグの体内に流れる血と強酸を「黒灰化」させ――

 ニーズヘッグの爆発前に、完全に黒灰化に成功。

 未来予知の結果とは異なり、現実ではニーズヘッグの血や臓物が「灰」となり散らばるだけ。


 その「灰」が、シグルドの驚異的な成長を祝う紙吹雪のように見えた。


 シグルドは戦いが終わると、静かな態度で霊剣リジルを鞘にしまった。


 「ヴィーグリーズの決戦」から僅か1年と半年の歳月を経て、霊剣リジルの完成と共に――英雄そして「龍殺し」としての「シグルド」は、文字通り並び立つ者がいないほどの「異世界最強」の座へと成長していた。


 

ステゴロだけの強さランキング

1位 力帯「メギンギョルド」を装着したトール

2位 絶好調の系譜「零式」

3位 力帯無しのトール、ヨルムンガンド、黒い稲妻のシグルド

4位 巨人スルト、テュール、「レージング」を引き裂いたガルム、通常のシグルド

5位 他の神種

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