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リンカーネーション  作者: 鹿十
第五章 ラグナロク編
123/193

ウプサラの回禄

種族別の友好度

めっちゃ仲良い:森霊種と空想種(特に精霊系統)

ほどほどに仲良い:獣人種と森霊種、人類種と小人種、神種と小人種

普通:人類種と獣人種、獣人種と魔種、他の組み合わせ

まあまあ仲悪い:魔種と森霊種

めっちゃ仲悪い:人類種と魔種、森霊種と小人種、巨人種と神種

最悪:特定排斥種(仮)と他種族(特に人類種)、神種(『秩序派』)と巨人種(『霜の巨人族』)


ドワーフは木を伐採するのでエルフと仲が悪い

巨人種は樹界大戦時にてバチバチに神種とやりあったから関係性は最悪

魔種と人類種は隣にあるため、大昔では魔種が一方的に人類種を殺戮していた。

そのやり返しとして人類も徒党を組んで魔種に対抗、術式が使えるようになってからは、魔種対策の術式を量産。結果として仲は最悪。

人間はドワーフと仲が良い。お互いに機械工業、科学、知識を重んじ、情報を共有している。

神種も、神器のいくつかは、ドワーフに作らせた過去があるためドワーフに優しい傾向にある。

魔種とエルフは、お互いに闇と光の属性で対極にあるため、お互いがお互いに危険。そのため接触を控えている。

特定排斥種(仮)は言わずもがな、こいつらの真名とか情報については後々詳しく明かす予定です。


 フリングニルの右手に樹素が集まり青白い光を放つ。

 やがては光は収束し、一本の巨大な大剣の形状に成り、現れるは――。

 神種の一対「炎漢」のスルト、その神器。


「それは……噂に聞く……神器『レーヴァテイン』か?」


【神種の一体『炎漢』のスルトの所有する神器『レーヴァテイン』】


【人体を巨人界の大地として共有する巨人種の中でも『霜の巨人族』更にはその頂点に君臨する9人の巨漢たちのみが現在、所有権を有す神器】


【神種『炎漢』のスルトは樹界大戦にて戦死した際、神種の救済・復活措置機構たる十三神使族ではなく、信頼ある同種の『霜の巨人』の配下、その子孫たちに神器『レーヴァテイン』の力を9つに分割して配った。その結果として『霜の巨人族』の中での実力者9名のみが『レーヴァテイン』の所有権を持ち、彼ら以外を神器『レーヴァテイン』は一切許容しない】


【フリングニルは『霜の巨人族』で神器『レーヴァテイン』の所有権を持つ9人の巨人:通称『炎の巨人ムスペル』のうちの一人】


【9つに分断され配られた『レーヴァテイン』は『レーギャルン』とも呼称される】


「『レーギャルン』だ。神器『レーヴァテイン』と比べ9分の1の力しか無いが……それはそうと『神器』は『神器』……俺の大地を侮辱した罪……その身をもって償わせてやろう」


 『レーギャルン』はそれはそれは大きな大剣だった。

 刀身は十数メートルはあろうか?

 巨人であるフリングニルすらも両手で掴まなければ抑えられぬほどの重量。

 そして刃先は赤く不気味な光を宿している。


(『レーヴァテイン』……樹海大戦時に、世界を焼き尽くさんとした業火の火種……どのような神秘が宿っている?)


 神器は原則、神素すなわち神代・創世時代の樹素でのみ起動する。

 それらの樹素そのものや、それらの樹素が引き起こす現象は神秘とも呼ばれる。

 魔蟲の王 ベルゼブブは『レーギャルン』に対し最大の警戒をした。

 原生の時代から生き続けてきた魔獣であるからこそ、神代時代の奇跡・神秘の大きさを知り尽くしているが故であった。


「〔神器起動〕」


 野太いフリングニルの詠唱に共鳴するかのように紅く光りだす神器大剣『レーギャルン』。

 そして繰り出されるはーー樹界大戦時にて全てを焼き尽くさんとした業火。


「――燼滅じんめつ


 『レーギャルン』が振られると同時に。

 大剣の刃の側面から沿うように大量の炎が燃え広がる。

 その業火はベルゼブブの左半身に届いた。

 その業火を浴びたベルゼブブは一瞬怯むも


「?! ……単なる炎術式か? ……火力こそ原型魔術に届くものの…………何も起こらないぞ?」


 神器『レーギャルン』から放たれた神秘の炎。

 当然、9つに分割されたとはいえそれでも神器。

 何か特殊な効力があるかと注意をしてみれば。

 ただの炎の術式であったことに唖然とするベルゼブブ。


「……下らぬのお……やはり土塊の巨人の神器らしく下らぬ炎を出すだけの玩具……神器と呼ぶにも相応しくない」


 ただの原型魔術ほどの火力を持った炎がベルゼブブにダメージを与えるはずはなく。

 何も保護・防壁術式を編纂するまでもなく圧倒的な内包樹素量で攻撃を無傷で耐えた。

 そしてベルゼブブは心底がっかりした態度で。

 警戒を解き、体から大量の魔蟲を出しつつ、フリングニルに接近戦を持ち込む。


「ッ……」


 神器「レーギャルン」で攻撃をいなすも。

 大量の魔蟲を捌ききれず、二度目の切り傷を左肩に負い、傷口からの魔蟲の侵入を許してしまう。

 原生魔術の発動条件が揃ったベルゼブブは再び


〔『式』――系統は魔素。腐肉の饗宴モラーナ!!〕


 原生魔術を発動。

 フリングニルを内側から魔蟲で食い散らかして殺してやろうとする――が。

 ここで異変に気づく。


「ッ……が……ああッ……」


 自身の左半身が黒く変色し、灰のように散りだしているのだ。

 単に炎術式を喰らい燃え尽くされたわけではない。

 これは――


「……『黒灰化』かッ?!」


【黒灰化】


【式として用いたものが灰、塵となる、消失反応のことを指す】


【古紙や杖、武具、樹素の込められた結晶など術を発動させるための式として代用したものは術の発動後、灰のように崩れる消滅反応を起こす】


【黒灰化の進行は如何なる手段でも止めることが不可能】


【巷で販売されている式具などには黒灰化を抑えるための特殊な術が施されている場合が多いが、その処置もあくまで黒灰化を遅延させるための術に過ぎず、どんな式具も例外なくいずれは黒灰化し消えていく定めにある】


 半身が、足の末端から黒灰化していき、塵、灰となって消えていく。

 痛みすらもなく、消失反応は続く。

 崩れ落ちていく己の体を見つめ、身震いする蝿の王 ベルゼブブ。


【『炎漢』のスルト。その神器『レーヴァテイン』効力は――『強制的な黒灰化』】


【神器の所有者が神素を注入することで『レーヴァテイン』を通し術を発動。その術が相手に命中した際に『黒灰化』が始まる】


【厳密には『黒灰化』は神器使用者に一番適した属性系統で発動した術でのみ発動する】


【この『黒灰化』は対立術式などで遅延させることは可能だが、いずれは必ず進行する。また『黒灰化』の対象者が術を使用すればするほど、進行速度と進行開始時間が早まっていく】


【『レーヴァテイン』は『レーギャルン』として九つに分割されたことでその神秘性も9分の1以下にまで落ちている】


【だが――原生の魔獣では――九つに分割された神器にさえも抵抗はできない】


【『炎漢』のスルトは樹界大戦時に『レーヴァテイン』を振るい異世界の9割をその地獄の業火で焼き尽くし大陸・世界そのものを『黒灰化』させた】


「これが神器!! クソ……クソ……」


 敗北という言葉がベルゼブブの脳裏によぎる。

 降伏という選択がベルゼブブの思考を占める。

 だが、蝿の王 原生魔獣としてのプライドが、降伏を許さない。

 しかし――このままでは。

 ベルゼブブが矜持と恐怖の間で悶えていると。


「蝿よ、我が大地を侮辱した罪を認め謝るのなら許してやろう」


 「レーギャルン」を握りしめたフリングニルが情けをかけた。

 蝿の王はぐっと拳に力を入れ迷った後


「……分かった。吾輩の負けだ。おぬしの故郷を侮辱した吾輩の……過ちを許してくれ」

「フン……」


 ふっと。

 顕現した神器「レーギャルン」が光の粒子となってフリングニルの右手から消えると。

 同時にベルゼブブの体を蝕んでいた黒灰化の進行も止まり完全に消える。


「ッ……これが……『霜の巨人』ッ……」


 ベルゼブブは苦汁をなめるような顔で悔しがった。

 こうして一回戦目の対決は巨人の勝利に終わる。












 


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