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リンカーネーション  作者: 鹿十
第五章 ラグナロク編
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「座」①

第五章始まります。

そしてここで立花陽太の物語は終わりを迎えます。

リーヴ、巫女、オーディン、ユミル、全ての思惑と因果が絡み合い。

最終的に旋律はどのような譜面を描くのか……どうぞご期待ください。

【エギル=ゼフィランサス】


【約400年前の樹界大戦時にて突如として姿を消した十三神使族『ゼフィランサス家』の当主】


【彼の部屋には『彼岸花』の花びらが数枚、発見された】


【樹界大戦時の混乱期にて不可侵領域に突入し『死をも克服する』彼岸花を採集、それを式に組み入れることで転生術式を発動】


【彼がどこに、どの時代に、どの者に、そして何の目的でーー転生を行ったかは判明していない】


【だが同時期に、ゼフィランザス家の娘も突如として姿を消したことから、最低でもエギル=ゼフィランサスと、ゼフィランサス家の娘、2人が同時に転生したことだけが分かっている】


【王家裏組織ーー通称『デストルドー機関』は彼に関する情報そのものを遮断、隠蔽。その後、計画の核となるエギル=ゼフィランザスの一番娘 通称『21G』が消えたことで崩壊し機能停止を余儀なくされた】



「ーー貴様が契約主か?」

「ええ、ジギタリス家211代目当主でございます。我が主『枢軸主』様の顕現成就、真に嬉しく存じます」


 オーディンは孵化した直後。

 契約主たるリーヴ=ジギタリスの元、即ち人間界ミッドガルドの王都へと飛来。

 そうしてリーヴの前へその御姿を表した。


 リーヴは膝をつき、深く敬意を表している。


「よくやった、褒めて遣わす」

「ありがたきお言葉……」

「不完全顕現ゆえーー私の力はーー樹界大戦時の半分以下ーー悲しきかなーーまだあのにやられた傷が疼くーーーーが、問題なく体は動くーーして、ジギタリス家211代目当主、貴様の願いは何だ?」

「……貴殿の目的と同じでございます。この世の旋律を乱し崩す悪魔ーー全13体の『系譜』の討伐と、この樹界の恒常的維持……」

「ふむーー系譜ーーかーーして、今日に至るまでーー系譜は何体ーーこちらの世界へ転移してきた?」

「……樹界大戦時に1体。これは既にオーディン様含む神種によって討伐済み。その後、約3,4ヶ月前に2体目の系譜が一人、こちらは人間によって討伐されています。そして2体の系譜を敢えて呼び出し……貴殿のご復活のために、結託しておりました」

「何ーー系譜と結託だと?」

「申し訳ございません。戦力不足故、致し方なく」


 長い顎髭を触り、考え込むオーディン。


「まあ良いーーこうして私は復活を遂げ、旋律は元に戻りつつあるーー私はまず、神界ヴァナヘイムに向かいーー現存する神種の確認と『世界樹』様との接触、そして戦力の確保に掛かる。それまでに貴様はーー逃げられぬよう系譜をここに拘束しておけーー全て私がーーこの手を以てーー屠ってやろう」

「はっ……」


 そう言い残し、オーディンの姿は消える。

 世界樹の根ーー即ち不可侵領域へと飛び去ったのだ。

 リーヴはオーディンが消えたのを確認すると、立ち上がり、玉座へと戻る。

 そしてーー傍らにあるレーク碑石を撫でながら、悪意のある笑みを浮かべていた。



「……来たな」


 オーディンが世界樹付近、不可侵領域に向かったことを確認し。

 大月は呟く。

 その直ぐ側には黒いコートに身を包んだ、古傷だらけの幼気な少女アザミがいた。


「……作戦通りに行くと思いますかね? アザミは半信半疑です」

「大丈夫だよ、任しておけ。それに今回を逃したらもうチャンスはない。分かってんだろうなアザミ? もしかするとオマエも戦うことになるかもしれないんだぜ?」

「…………場合によっては」

「含みのある回答だな。まあいい、作戦内容は分かってるな?」

「はい、オーディンが冥府から『ヴァルハラ』に呼び出す英雄の魂と共に不可侵領域に突入。その後は……」


 アザミと大月のいる場所は。

 世界樹から約50kmほど離れた地点。

 ギリギリ不可侵領域に入らない場所である。

 世界樹を囲うように高度な結界が貼られている場所ーーそれが不可侵領域。

 普通の生物は入ることすら敵わない場所。

 

 その不可侵領域を囲うように、とてつもなく大きな山脈が根付いている。

 その山脈を登り、不可侵領域、そしてその中枢に生える世界樹を見つめるアザミと大月。


「……ああ、『座』を奪還する」

「つまり……原初ユミル…いや創世時代に結ばれた世界樹とユミルの契約儀式を……」

「破棄させるんだ、今日を逃せばチャンスはないぜ?」


 大月は気配を感じる。

 アザミも同様だ。

 大気中の外界樹素が急速に、世界樹に向け収斂していく。


 間違いない、オーディンの『エインヘリヤル』その召喚が始まったんだ。

 アザミと大月は話を切り上げ


「さあ、もうお話してる時間はないぜ。クールに行こう。不可侵領域侵入、座の奪還……計画開始だ」


 そういってアザミの手を取り、空中に身を投げた。

 二人の体は大月の力により歪み、転移し。

 二人は、不可侵領域へと侵入する。

 座の奪還を目指してーー。






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