願い
つらくても話せないこともある
聞かない方が良いこともある
でも傍にいることはできる
何もしないをすることはできる
私の広げた枝葉の下で
少しでも羽根を休めることが出来るなら
私はここに立っている意味がある
やあ小鳥さんこんにちわ
旅の途中かい?
少し疲れているように見えるね
良かったら木陰で休んで行ってよ
君はとてもキレイな羽根をしているね
羽ばたく姿もとても美しい
そしてとてもキレイな声をしているね
歌声もとても美しい
あれ?どうしたの?
なんだか悲しそうに見える
何か悪いこと言ったのかな…ごめんね
今日は少し曇っているけど、
お日様ポカポカ、暖かいね
そうそう、こんな日はね
思い出すことがあるんだ
ある日の午後
ちょうど今日みたいな薄曇りの暖かい日
君と同じように美しい羽根を持った
一羽の小鳥さんが休みに来たんだ
彼女はとても色鮮やかで
それはそれは美しい姿をしていた
そして、とてもにこやかに笑っていた
でも彼女の笑顔の終わりはいつも
どこか少し切ない気がしたんだ
何日か経ったころ
彼女の友達たちがやってきた
どうやら彼女を責めているらしい
私は見守ることしか出来ないから
ただその様子を見ていた
彼女たちが去ったあと
どうしたの?って聞いてみたんだけど
大したことじゃない
私は元気だから大丈夫
そう言うんだ
今思えばあのとき
もっと話を聞けば良かった
大丈夫が大丈夫なわけはないよね
でも彼女の儚げな笑顔は
それ以上踏み込まないでって
言ってるような気がした
次の日彼女は
いつものように美しい羽を
いつもより少しきれいに繕って
さよならを言って飛び立って行った
遠ざかる後ろ姿は
少し霞んだ空に
キラキラと溶けていくようだった
後に聞いた話では
彼女はそのまま
居なくなってしまったらしい
何があったのかすら
わからないままの別れ
本当は一人で
泣いていたんじゃないかな
誰かに話を
聞いて欲しかったんじゃないかな
そう思うと
心に刺さった消えない棘が
いつも私の血を流すんだ
ねえ、美しい小鳥さん
話を聞くことしか
出来ないけれど
側で休ませてあげることしか
出来ないけれど
君の命の流れの中
ほんの少しの出会いだけれど
これもひとつの縁だと思って
良かったら
話を聞かせてくれないかな?
なんの責任も感じなくていいよ
これは私の自己満足
君が明日から
今日より少し元気に羽ばたける
そうなって欲しいという
勝手な願いだから
どうかもう少しの間…
一緒にお話をしよう
一緒に笑おう
一緒に涙を流そう
楽しいも辛いも
嬉しいも悲しいも
たくさん一緒にできたなら
きっともう何も話さなくても
毎日元気に羽ばたけるようになる
その美しい羽を
美しい声を
安心して見ていたいんだ
どうか私の勝手なお願いを
聞いてくれないかな?
声を掛けられなくても、上手くアドバイスできなくても、一緒にいることで助かる人も居ます
笑顔の仮面に騙されないように