ペガサス
「ペガサス?」
「はい。人間に対しては友好的ですが、野生の目撃例は少なく非常に珍しいモンスターです」
翼の生えた白馬、ペガサスはあのまま馬車を追いかけて野営の準備を始めてると地上の方に降りてこっちへ寄ってきて俺に頭をこすり付けてきた。
「何?」
「ペガサスの人間に対する服従の最上位の仕草ですね。このペガサスはリオンさんを主人として認めたようですね。次の街で鞍を揃えたら最高の足になってくれますよ」
足って移動手段のことか……俺高いところ好きじゃないんだけどなぁ、命綱も一緒に手に入れよう。
「エニシはペガサスに乗ったことは?」
「あるわけ無いじゃないですか。ペガサスってのは見つけること自体大変な上、友好的と言っても間違えて攻撃した時は反撃してこないってだけで、なつきやすい訳じゃないので貴族でも飼ってる人はそうそういません。とある国では特殊な方法で数百騎のペガサスを飼育し、ペガサス騎士団と言う騎士団がありますが、他の国は真似をしようとしてもできてません」
「そうなんですか。……お前、どうしてこんな所にいたんだ?」
俺がそう問いかけると、ペガサスはくりっとした瞳で俺を見続けてくるだけでなんの返事もない。
そういえば自動翻訳は動物やモンスターには通用しないって書いてあったな。
「本当に俺のペットになるのか?」
通じないとは思いながらも、俺がそう言うとペガサスはギターケースを鼻でつついた。
「弾けってことじゃないですか?いやー、それにしても演奏でモンスターをテイムするなんて初めて聞きましたよ。ま、リオンさんの演奏を聞けばそれも納得ですが」