能力の確認
音楽に関して素人なんで間違ってたらごめんなさい。
教えてくれたら直します。
「もうしばらく行ったら野営しますよ」
「はーい」
そうだ。今のうちに能力の確認でもしておこう。
さっき説明書読んだ時に万能楽器って書かれてたところを読む。
そこが一番文量が少ないからだ。
んーっと……万能楽器とは、使用者の想像した楽器に変化するのか。
試しに俺がヴァイオリンを想像すると、ギターケースがヴァイオリンケースに変わった。もちろん中身もヴァイオリンだ。
丁度いい。地球の音楽を完璧に演奏できる力も試そう。曲は………ヴィヴァルディの四季でいいか。ヴァイオリンは何年も触ってないから正直春もちゃんと弾けるか怪しい。
しかし、弾き始めると全身が鳥肌が立つくらいゾワッと何かが通り抜けたような気分になった。
この音、俺が出したのか。
き、気持ちええ。こんな音色聞いたことがない。女神パワー凄い。これが俺の音色か。
正直ここまで上手くしてもらえるとは思っていなかった。ろくな練習も無くこんな音出せたら演奏が楽しくてしょうがなくなってしまう。
それと俺一人しか弾いてないはずなのに、どこからか他の楽器の音も聞こえてくる。一人オーケストラができるってことか。
他の音も今の俺くらいの技量で、どの音を拾っても脳がとろけてしまいそうになる。
気づけば俺は弾き終わっていた。
40分以上あって長いはずなのに、一瞬のようだった。そして何故か全く疲れを感じない。これも女神が追加した力なのか。
「リ、リオンさん、今のは」
「俺が女神様から頂いた力です。なんの断りもなしにすみません」
「い、いえ、素晴らしい演奏でした。私も馬も聞き惚れてしまいましたよ」
馬もか……事故らなくてよかったぁ。もう馬車内で演奏するのはやめよう。
「それとですね」
「はい?」
「あなたの音に惚れたのがもう一匹」
「なっ…………!?」
エニシが指した方を見るため幌から頭を出した俺の目に飛び込んできたのは、大空を優雅に駆ける翼の生えた白馬だった。