能力を要求
地球で寿命数倍は難しいから、別の魔法とかある世界にか。しかもこの姿のまま。
知り合いに会えないのは痛すぎるが、マニュアル通りでも俺が両親や友人に会いにいくには、最低十何年もかかるだろうし、なんて説明すればいいかも分からん。
そう考えたらいい話なのかな?
そもそもこの駄女神のミスが無かったら、俺は幸せな人生送ってたんだろうけど。
「そこをつかれると何も言えません。ですが、今の考えなら異世界行きに納得していただけたようですね。そこでなんですが、プラスアルファの部分の要望を聞きたいのです」
「あ、俺の意思入れれるんですね。…………まず飛ばされる世界ってどんなところですか?」
「一見中世風ですが、魔法のせいで中世ほど科学の発達していない、所謂ナーロッパと呼ばれるような世界です。一応その世界のとある地域には中華風な所や和風な所もあります」
ナーロッパか。アニソンを聞く流れで一応履修しているから分かるぞ。
「…………じゃあ、なにか持ち運べる楽器と後は、完璧に地球の音楽や歌を演奏、歌える能力ってできますか?」
CDとかだとかさばるし、データを入れた端末は何年も生きてたら無くしたり壊したりしそう。
その点、楽器なら最悪壊れてもあっちで確保できるし、演奏して金を稼ぐこともできる。
「できますけど……それだけですか?他には?」
「いやー、思いつきませんね」
漫画とかも読むけど、やっぱり俺の中の一番は音楽だ。それさえあればまあ、何とかなる。
こう考えてみると、俺ってやっぱり音楽が好きだったんだなあと再認識できた。
「まだ少ないんですけど……じゃあ通常特典とその二つを強化しておきます。楽器と能力の説明書は鞄に入れておきますね」
「はい。それじゃあもう行く感じですか?」
「ええ。それではお元気で」
「女神様も。もうミスしないことを祈ってますよ」
俺の嫌味に、顔を真っ赤にして恥ずかしがる駄女神の顔を最後に眠るように意識を失った。
一瞬、彼女の目が見えた気がした。美人だったなあ。