とある冒険者たち2
イグホンとマノが頷き魔法を放つ。イグホンは炎の玉、マノは風の刃。
二人の魔法はダークネスウルフたちに直撃し、俺たちは全力で走った。
「どうだ!」
「……だめだ。何匹か追ってくる」
「リリー、イグホンとマノを連れて逃げろ。俺たちで時間を稼ぐ」
三人は軽装で鎧を着ている俺たちより速く逃げることができる。
少しでも生き残る人数を増やす為とはいえここに残される二人には悪いと思ったが、二人共笑顔で許してくれた。
「だめ!生き残るならみんなで一緒にだよ!」
しかし、リリーたちは逃げようとせず俺たちの横に並んでしまった。
「…………仕方ねぇ、なんとしてでも勝つぞ!」
「「「おう!」」」
遂に追いついて俺たちの前に立ったダークネスウルフ。その数4匹、イグホンとマノは援護でそれぞれ1匹ずつか。
「イグホンはリリー、マノはオーレルを援護。2匹を倒す間俺とレガスは耐えるぞ」
俺とレガスがやられたらなし崩しに皆やられてしまう。絶対に耐えてやる。
リリーと対峙していたダークネスウルフが彼女めがけて飛びかかった。
「リリー!」
「このー!…………あれ?」
リリーは剣でダークネスウルフの首をはね飛ばしてポカンとした顔になった。
「あれ?」
「お?」
横を見るとレガスとオーレルがダークネスウルフをあっさりと倒して、リリーと同じく不思議そうな顔をしている。
「ギース!」
マノの警告に俺はダークネスウルフに視線を戻すと、奴は今にも俺の首を噛みそうな目で見ていた。
「あ?」
ダークネスが飛びかかってきたのだが、その動きは緩慢でとてもBランクモンスターに見えない。
奴の飛んでる軌道上に剣を置くとあっさりと真っ二つになって絶命した。
「…………どゆこと?」
「これ、ダークネスウルフじゃなかった?」
死骸を確認したが、やはりダークネスウルフだ。先程遭遇したところまで行くと、6匹のダークネスウルフが魔法により死亡していた。
「「「どゆこと?」」」
不思議だったが、ダークネスウルフの死骸の奥に薬草があったのでとりあえず回収して街に帰ってから考えることにした。
ダークネスウルフの群れを討伐した俺たちはギルドでちょっとした英雄扱いを受けた。