運命のスワイプミス
「実はあの少女は将来スペースコロニー開発の第一人者となって、人類の宇宙進出に大きく貢献する偉人になる運命で私も注目していました。そして先程、あなたの後ろに居た不潔な、あ…………親のスネかじり中卒ニートの」
流石に不潔な、という言い方は悪いと思ったんだろうが、その後も大概酷いと思う。
てか、そんな強烈なのが俺の後ろにいたのか?
「見た目がすごかったので、興味本位で彼の運命を覗いてみたら数秒後トラックに轢かれてしまうと書かれていたのです。数秒後というタイミングに驚いてスワイプミスをしてしまい、その運命を少女につけてしまって」
「それじゃあ、なんで俺が死んでるんですか?」
運命を付け替えるってのがおかしな話だが、今の話だと俺が死ぬ余地ないだろ。
「私が、運命を付け替えてしまったせいで、本来は人の手で変更することのできない運命の強固さに一瞬の緩みができてしまいました。その一瞬をついてあなたが勇気ある行動を起こしたのですみません」
じゃあ、結局俺が死んだのは俺の選択だったってことか。
まあ、大元はこの駄女神様のせいだけど。
人の命に貴賎は無いって言うけど、親のスネをかじってる中卒ニートの代わりに俺死んじゃったのか…………失礼なのは分かってるんだけど、なんか微妙な気持ちになってしまう。
うん、未来の才女を救ったと捉えよう。そっちの方が気分がいい。
しかし、やっぱり惜しいな。まだ高校生活も半分残ってるし、彼女も居ない。当然童貞…………人生まだ楽しみきれてない!
「どうしてくれるんですか!?」
「ひっ、こちらがいくら心を読めるとは言え怒るの突然過ぎませんか?……もちろんこちらの不手際ですし、あの子を救ってくれたことで人類に莫大な寄与をしてくれたので補填はあります」
「じゃあ生き返らせてください」
「それは……魔法の発達してないあなたの世界では人が生き返ることはあり得ないので無理です。申し訳ございません」