先輩被害者登場
(さっき、協会から連絡入ったんだからすぐに俺が来るの分かってるのにコーヒー飲んでんじゃねえよ)
(はい、ごもっともです)
急にしゅんとした声になったが、騙されてはいけない。
この駄女神は反省しているように見えても、同じ過ちを繰り替えすのだ。
(早く証明証)
(あ、はいどうぞ)
俺の頭上で光り輝くカードが現れた。カードを掴むと光は消え、学生証みたいに顔写真や名前の書かれている内容が見えるようになった。
(終わり?)
(はい。あのー、リオンさん?昨日と私の扱い違いすぎませんか?)
(あんたの本性が分かったからな)
そう言ってラゴーグの元へ行くとぷつっと音がなって駄女神の声は聞こえなくなった。
「終わりましたか?」
「はい。これを頂きました」
ラゴーグにカードを見せると微笑んでウンウンと頷いた。
「これを提示すれば、ある程度の規模の街に入ることができ、教会に無料で宿泊できます」
「へぇ」
提示するだけで良いのか。一応神がくれた身分証だから信頼性があるってことだろうか。
そんなこと考えてると、教会のドアがバン!と乱暴に開かれた。
「おーい!新しい被害者が来たってえ?」
「カケル様、被害者ではなく使徒様です」
教会に入ってきたのは東洋人のような顔の少年。俺より少し年上だろうか。
「おっ?日本人か。俺は柊翔。こっちに来て200年程になる。お前は?」
「俺は神楽梨音と言います。来たのは昨日。よろしくお願いします」
翔と握手しながら俺も自己紹介をした。最初に会えたのが日本人で良かった。
「にしてもお前でかいな。身長なんぼ?」
「180です」
「いいなぁ。俺は166だぜ、まあ、何だ。同郷だし仲良くしよや」