やっぱり駄女神
「以前は、こういったことあったんですかね?」
「どうだろうな。以前の被害者は50年も前だから記録に残ってないだろう。そもそも、連絡ミスで門前払いなんて大失態を後世に伝えたがるやつはいないしな」
じゃあ、あったかもしれないのか。もし俺が門前払いされてたらどうなってただろう。
ペガサスに乗って次の街に行くとかしかないだろうな。
下手したら、教会に取り次いでくれる門兵に出会うまでたらい回しにされてたかもしれない。
親切な門兵に出会えて幸運だった。
その後は雑談や演奏を披露したりと時間を潰していると、白いローブを身にまとった中年と、後ろに同じく白いローブの男女たちが俺たちの方へ年を感じさせない速さで走ってきた。
「使徒様ー!え?人多!?じゃない。使徒様ー!どうか話を聞いて下さーい!」
白いローブの集団は、俺が演奏したことによって出来上がった人だかりの後ろから俺に手を振り大きな声で俺にアピールする。
「使徒様って?」
「教会だと被害者のことを使徒って呼んでるんですよ。だから、教会関係者の前では被害者と名乗らず使徒と言ったほうがいいですよ」
なんだろうな。無理矢理取り繕ってる感が否めない。そもそも、なんのために使わされたんだよ俺。
演奏も終わっていて、中年の低い声もよく通っていたことで観客たちも気付いて道を開けてあげている。
白ローブたちは俺の前まで来て、膝をついて右手を左肩から右肩へなぞって一礼してきた。
なんだ?宗教の挨拶か?
「どーも。教会の方たちですね?」
「はい。今回は私どもの不手際のせいで使徒様にご不便をおかけしました」
全員額から汗ぶわーって出てる。教会からここまで全力疾走したのか。
「別にそこまで待ってないから気にしてませんよ。ところで、不手際というのは何が原因なのでしょう?」
「は、はい。それはー、実は女神様のうっかりでして。遠く離れた他の街に間違えて連絡されたようです」
やっぱあいつが原因だったか。あ、女神をあいつって言っちゃった…………もう二回も迷惑かけられてるからあいつ呼びでいいや。
馬鹿は死ななきゃ治らないってのは神にも通じるのかな?




