5話 再覚醒と狐耳の少女
基本的に主人公の発言は「」で書きます。
サブキャラの発言は「「」」鍵かっこ二重で書きます。
あの日から毎日セレーネと僕は剣の稽古を行った。
セレーネは鑑定の結果通りめきめきと剣術の才能を開花していった。
「「ローフェン、だいぶ私の剣もまともになってきたんじゃない?」」
「うん、正直ここまで成長するとは思ってもみなかったよ。セレーネが真面目に頑張ってきたからだね。」
「「う、、、ん、そうね。すごいでしょ!さすが私。」」
個体名 セレーネ
性別 女
年齢 9歳
戦闘才能 【剣術3】289/300 【弓術1:MAX】
魔法才能 【風魔法5】421/1000
固有才能 【神速MAX】【絶対両断MAX】
神級才能 【剣神の加護Ex】【風精霊の加護Ex】
セレーネの剣術の伸びはすさまじいものである。
あれからまだひと月も経っていないのにここまでの成長ぶりだ。
僕も、うかうかしていられない。
個体名 リル・アレイス=ローフェン
性別 男
年齢 8歳
戦闘才能:【剣術5】889/1000 【格闘術5】765/1000 【槍術3:MAX】【弓術3:MAX】
魔法才能:【土属性魔5】38/1000【水属性魔法2:MAX】
固有才能:【鑑定10:MAX】
神級才能:【#%&対#す*眼Ex】 【$#%の%&*Ex】 no active
MAXの意味が分かったため、自分が鍛錬するべきものが絞られた。
これからは剣術、土属性魔法を中心に鍛錬していこうと思う。
僕たちは今日の稽古を終え、日が落ちる頃に孤児院に戻った。
孤児院の近くまで行くと、孤児院の前に大きなイノシシが倒れているのが見えた。
僕は驚き、セレーネを置いて孤児院まで急いだ。
孤児院が近づくとイノシシのほかに一人の少女が立っていることに気づいた。
「すいません、孤児院に何か用でしょうか。」
僕は少女に話しかけた。
「「ん、誰だお前。童はキロク。おんしはだれじゃ。」」
「ん、あ、キロクさん。はじめまして。新しく孤児院でお世話になることになりました。ローフェンといいます。」
頭に耳をはやし、綺麗な黒髪を腰まで伸ばした少女は僕がここにきたときには森にいた狐族の少女キロクさんだ。
「「おう、そうか。ふむ、よろしく頼む。弟よ。」
「え?弟?」
「「ん、童より弱いものはみんな童の弟妹じゃ。それとも童よりも強いのか?」」
キロクさんはそう言いながら腰に下げた剣に手をかける。
キロクさんは少し喧嘩っ早いところがあるのだと思った。
しかし、弟よびはどうなのだろう。
少し照れ臭いし、下に見られているようで釈然としない。
ここは、アルフォードの時と同じように実力で認めてもらうしかないようだった。
「「「ローフェン、置いてくなんてひどいじゃない。あ、キロクおかえり。」」」
「「うむ、妹よ。帰ったぞ!!!」」
そうこうしているうちにセレーネが追いついてきた。
どうやらセレーネは妹よびらしい。
「あのキロクさん、弟よびはやめてもらえませんか?」
「「ん?嫌なら童に決闘で勝て。そしたら、おんしが上じゃ。」」
「なら、その決闘をしましょう。ルールとかありますか。」
「「ルールなど不要。何でもありじゃ。相手に参ったといわせたほうの勝ちじゃ。それでは行くぞ。」」
キロクさんはそう言うと俺に向かって剣を抜いた。
僕は慌てて後方に飛び、持っている木剣を構える。
キロクさんを鑑定。
個体名 キロク
性別 女
年齢 10歳
戦闘才能:【剣術6】1280/1500
魔法才能:なし
固有才能:【狂獣化:MAX】【占星術:MAX】
神級才能:【戦神の加護】【星精霊の加護】
これまたなんて能力なのだろう。
この孤児院は才能のあるやつしかいないのだろうか。
剣術に関しては僕よりも上、正面から打ち合えば負けるだろう。
そんなことを考えているうちにキロクが切りかかってきた。
キロクの剣は金属でできており、木剣で受けるのでは確実にこちらが不利である。
右から左から剣を振るうキロクさんの攻撃に木剣をあてて軌道をそらす。
剣と剣がぶつかる度、木の破片が飛び散る。
このままでは負ける。
――――
個体名 ローフェンの危機を察知しました。
ローフェンは【$#%の%&*Ex】を覚醒しました。
個体名 セレーネの運命に干渉したため【$#%の%&*Ex】が【運命神の記憶館Ex】に再覚醒しました。
現状の危機を退ける最適な記憶をインストールします。
――――
視界には字が並び、流れる。その奥でキロクの剣が向かってくる。
――――
記憶をインストールしました。再生します。
――――
視界に移るすべてが止まる。キロクもキロクの剣も動かず止まる。
それから、急に視界がゆがみ見知らぬ場所に変わった。
ここは屋内か?なんだか植物の香りがする。
目の前には白い服を着た男性が立っている。
体は自分の意思では動かない。というより、自動で動く。
目の前の男が掴みかかってくる。
僕は男の手を自分の手でつかみ体を回転させて投げ飛ばした。
そして、また視界がゆがむ。今度は元居た場所、すなわち孤児院の前に風景が変わった。
キロクの剣が動き出す。
真っすぐに突き出されたキロクの剣が、先ほどの男の動きと重なった。
僕は考えるより早く、先ほどの体験と同じ行動をしていた。
キロクの剣を握った腕をつかみ、体を回転させキロクの懐に入り、そのままキロクを背負う形で投げた。
キロクは背中から地面に叩きつけられ、小さな悲鳴とともに気を失った。
僕は自分がやったことにもかかわらず、驚きを隠せなかった。
「「「すごい、ローフェンがキロクに勝った。」」」
セレーネは自分の事のように喜んでいる。
僕はキロクのほうを見る。頭を打ったのだろうか。
だんだんと僕の頭が回り始める。そうだ、治療をしなければ。
急いでキロクを孤児院の中に運び、ランカさんに見てもらう。
「「頭を軽く打っているわ。ベッドに寝かせて様子を見ましょう。この様子だとローフェン君と決闘でもしたのかしら。そんでローフェン君に負けたと。」」
ランカさんは慣れた手つきでキロクを運ぶ。
僕はキロクを心配しながらも、今回の不思議体験について考えずにはいられなかった。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします。