4話 3日目
基本的に主人公の発言は「」で書きます。
サブキャラの発言は「「」」鍵かっこ二重で書きます。
次の日も、クロックさんとの稽古で一日が始まった。
右からの斬撃を剣で受ける。
クロックさんの剣は早い上に重い。
それは昨日の稽古で嫌というほど経験した。
だから僕は、剣で受け流すように受ける。
剣撃の次は、魔法が飛んでくる。
右から火の玉、左からは石つぶてが僕に向かって飛んできた。
僕は石つぶてを剣で砕き、火の玉をよける。
魔法の危機を退けると、また剣が振り下ろされる。
休む暇もない。
「「おい、魔法は剣で防げといったろ。」」
「どうやって2個同時に防ぐんですか。しかも、石つぶてはともかく火の玉なんか切ったら、やけどしますって。」
「「剣で横に払えばいいだろう。熱さくらい慣れだ。」」
クロックさんはめちゃくちゃな根性論を振りかざしてくる。
「剣で横に払ったら、次の攻撃防げないでしょ」
「「おう、よくわかってるじゃねえか。なら、どうする?自分で考えろ?」」
クロックさんはさらに攻撃の速度を速める。
右から左から剣撃、それと同時に来る魔法の数々、僕は本能的に考えるよりも早く体が動いた。
僕は体を回転させ剣を剣で受け流し、その回転を利用し魔法を剣ではじいた。
そこまではよかったが、着地の瞬間を狙われ、その打ち合いも僕の敗北で終わる。
「「おいおい、やるじゃねえか。こんな短期間でここまで成長するとは思わなかった。」」
危なかった。
孤児院で習得した柔術の経験がなかったら、剣をはじいたところで魔法の餌食になっていたところだった。
しかし、これでコツをつかんだ気がする。
「次、お願いします」
「「おう、任せとけ」」
そうやって、僕たちは夜になるまで剣を打ち合った。
その日の夜、5人全員が屋敷に集合した。
「「それでは、これから入手した情報を報告します。まず、警護につく傭兵はかなりの強者でした。王都でもトップクラスの方々でした。【剛腕】のサンプ、【迅速】のヘルメ、【光剣】のサンジです。みんな元冒険者で実力のあるものばかりです。王国騎士はまだ入ったばかりの下っ端だけのようです。」」
リントブルムが屋敷で仕入れた情報を報告する。
「「次は、俺かな。転移であちこち見て回りましたが、ルプナス家の屋敷はどうやらこの屋敷と似た作りになっています。そして、ジーク・ルプナスの怪しい動きを目撃しました。ジークはどうやら、リン様を王国から連れ出そうとしているみたいです。日時は僕たちの作戦より後ですが、目的地はミドリア王国でした。訪問の件と何か関係があるかもしれません。引き続き調査します。」」
ルートさんが報告を終える。
「「こっちは、ローフェンの実力向上の件だが、何とか間に合いそうだ。傭兵一人くらいとならやり合えそうだ。」」
クロックがそういうとみんながこちらを見てくる。
「「ローフェン、お姉さんにはすごく冷たいのに、クロックには随分と親しげだね。お姉さん、妬いちゃうな。」」
ランカさんが冗談を言っていると、リントブルムさんとルートさんが帰り支度を始める。
ランカさんは冷たい扱いになれているのか気にしていなかった。
こうして、報告会議も終わり今夜はお開きとなった。
僕は寝る前もクロックと稽古を行い、ベッドに入った。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします。