10話 彼女の過去
基本的に主人公の発言は「」で書きます。
サブキャラの発言は「「」」鍵かっこ二重で書きます。
ディーバは孤児院の周りを歩きながら、自分のことについて話してくれた。
「「私がいた国は海の中にあるの。そして、私はその国の姫だったの。海の中じゃ、こうやって人みたいな足じゃなくて綺麗なひれがあって、海を泳ぐのはとっても気持ちがよかったわ。国民もいい人ばかりで、両親も私のことをとてもかわいがってくれた。でも、私は国には長いこといることはできなかったの。…
ディーバは悲しそうな顔で自分の過去を語りだした。
ディーバは水との親和性がとてもよく意識しなくても、水属性魔法が勝手に発動するほど魔法の才能にあふれていたそうだ。
そして、ある時ディーバに一人の専属騎士が付くことになった。
彼は幼いディーバと歳も近く、すぐに仲良くなったようだ。
しかし、幸せな時は長く続かなかった。
彼は周囲の騎士や貴族からよく思われていなかった。
騎士の身分を弁えず、王女と仲良くするものなど王宮にいるものからは冷たい目で見られていたのだろう。
ある日、彼がぼろぼろになってディーバのもとに来たことがあったそうだ。
彼はディーバに何を聞かれても転んだとしか答えず、周りからいじめられていたことを話さなかった。
ある日、少年はひどいいじめに耐えきれず、自ら命を絶ったそうだ。
彼の死をしったディーバは、絶望しつい口走ってしまったらしい。
「「彼ではなく、いじめたものが命を落とすべきだ。」」
彼女の言葉は自分の部屋に響いただけだった。
しかし、彼女の言葉は無意識に水が運んでしまったのだろう。
その言葉は王宮全体に回った。
当然、彼女の人柄や立場から彼女のことを慕うものの中には彼を死に追いやったものが多くいた。
ディーバのことを思うあまり騎士のことが目障りだったものも少なくなかったのだろう。
その日、王宮では多くの死体が見つかったらしい。
その事件を父親である国王はすぐに自分の娘の力によるものだと気づいたのだろう。
国王は娘を罪人として、国外に追放し、呪いをかけたそうだ。
その呪いの正体が【災厄】のことらしい。
「でも、なんで、すぐに【災厄】は起こらなったの?」
「「あなたは【鑑定】を持っているんでしょ?私にも似た力があるの。だから、災厄が来る時間がわかった。だから、その時間を【時属性魔法】で今まで伸ばしていたの。でも何度も伸ばすうちに、だんだん効果が少なくなって限界を迎えたのが昨日の事件だった。ほんとはあの日、一人で遠くに行くつもりだったの。でもあなたと話すうちに専属騎士だった彼とあなたが重なって、もしかしたらって、そしたら本当に守ってくれるんだもの。ありがとう。」」
なるほど、おそらくディーバの能力の【水神の眼:MAX】の能力だろう。
辛い過去を語り終えた彼女すがすがしい顔で笑う。
「「でも、災厄は一度だけじゃなかったみたい。次は、さすがに無理そうだから一人森にでもいって、寂しく最後にするわ。」」
彼女はさっきの笑顔とは反対に泣きそう声でいう。
彼女の眼には「生きたい」という願望が宿っているような気がした。
「僕に考えがある。ここで、その「災厄」に立ち向かおう。策はある。」
もう彼女の泣き顔は見たくない。そのためには僕のすべてをもって彼女に降りかかる不幸を振り払おう。
今度は友達として。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
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