表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/54

8話 少年少女の成長

基本的に主人公の発言は「」で書きます。

サブキャラの発言は「「」」鍵かっこ二重で書きます。

朝、目が覚めると深緑の大熊(グリーズ・ベア)のことを考える。


今日はあいつと遭遇するだろうか。


今度、会ったら試したいことがあるのだ。


今日の狩りを楽しみに僕はベッドから飛び起きる。


台所に行くとランカさんが料理を作っていた。


その横のテーブルにはキロクとセレーネが二人仲良く座っていた。


僕はキロクに深緑の大熊(グリーズ・ベア)について聞いてみることにした。


「おはよう、キロク、セレーネ。」


「「うむ、おはよう、ローフェンよ」」


「「おはよう、ローフェン。今日の狩り頑張ろうね!」」


「ああ、頑張ろう。ところで、キロク昨日深緑の大熊(グリーズ・ベア)に遭遇したのだが森ではよく出るのか?」


「「ん?あの森にはイノシシと兎それにでっかい鹿しかいないはずだけど、童の知らない獣もいるのか。おもしろい、体が万全なら今すぐにでも行きたいのだが今回は二人に譲ろう。」」


「そうか、ありがとうキロク。安静にして早く治してくれ。」


「「うむ!」」


僕とキロクが話しているとセレーネは横でほほを膨らまして僕のことをにらんでくる。


なにか怒らせるようなことをしたのだろうか。


検討もつかない。


僕たちは食事を終えると、森へ狩りに出かけた。


道中、一切口をきいてくれないセレーネに謝罪し何とか機嫌を直してくれたのでひとまず安心だ。


森につくと、昨日と同様整備された道の脇の木々の間を進む。


僕が先頭を行き、彼女が後ろをついてくる形ですすむ。


獲物を見つけたので、後ろのセレーネにジェスチャーで合図を送る。


一角兎(ホーン・ラビット)だ。


僕はセレーネに攻撃の合図を出す。


セレーネは合図を確認すると一角兎(ホーン・ラビット)に正面から突っ込んだ。


セレーネは剣を抜き、一角兎(ホーン・ラビット)は突進。


セレーネは角を剣ではじくはずが、そのまま角を切り飛ばした。


ん?セレーネの剣は稽古用の木剣ではなくキロクが使っていた金属製のものだが、その剣でも一角兎(ホーン・ラビット)の角を斬ることは不可能なはずだ。


ありえないはずの光景を目の前にして唖然としている間に戦闘は終わっていた。


セレーネが角を失った頭を飛ばして戦闘は終わっていた。


「「ローフェン、終わったよ。この調子なら余裕だね。ん?どうしたの?」」


「いや、初めての戦闘なのにすごいね。セレーネは剣の天才だね。」


「「ん、、、そっか。天才か。ふふ。」」


セレーネはほほを赤くして微笑む。


勝利の余韻にでも浸っているのだろうか。


それにしても、角を切り飛ばすほどの剣術はセレーネの才能だろうか。


セレーネを鑑定。


個体名 セレーネ


性別 女


年齢 9歳


戦闘才能 【剣術5】489/1000 【弓術1:MAX】


魔法才能 【風魔法5】423/1000


固有才能 【神速MAX】【絶対両断MAX】


神級才能 【剣神の加護Ex】【風精霊の加護Ex】


ん、【絶対両断MAX】を鑑定。


――――

【絶対両断MAX】


剣での戦闘による、あらゆる事象、物質を両断する。

――――


この才能の影響だろう。


セレーネの剣術とこのスキルだけでもかなり強いのに、ほかの才能もすごい。


――――

【神速MAX】


神のごとく速さで短距離を移動することができる。

――――


うん、わかってた。セレーネは強い。うん。すごいや。


僕は思考することを放棄した。


セレーネにはそれだけの才能があった。


僕も一人の男である。


女性にばかりに戦闘させては騎士の恥である。


父よ、息子は頑張ります。


そんなこんなで、僕が一角兎(ホーン・ラビット)2匹、セレーネが3匹狩った。


今日の成果に満足していたところで、大きな衝撃波が木々の間をすり抜け伝わってきた。


「ん、嫌な予感がする。セレーネ、ここはいったん退こう。」


「「え、大丈夫だよ。私強いから、あっち行ってみようよ。面白そう。」」


「セレーネ、今朝、話した深緑の大熊(グリーズ・ベア)かもしれない。一回退こう。」


「「なに、ビビってんの。いいよ、私一人で行くから。」」


セレーネはそう言うと、僕の前から消えた。


正確には【神速MAX】ですばやく移動したのだろう。


僕は深緑の大熊(グリーズ・ベア)にあったら試したいことはあったが、セレーネを危険にさらすことは避けたかった。


僕はセレーネの後を急いで追った。


僕が衝撃波の原因のもとについたころにはセレーネは近くの茂みで様子をうかがっていた。


衝撃波の原因は深緑の大熊(グリーズ・ベア)と巨大な角をもつ鹿との戦闘だった。


深緑の大熊(グリーズ・ベア)の風属性魔法による斬撃を巨大な角で受け流し鹿の突進を深緑の大熊(グリーズ・ベア)が受け止める。


そんな攻防を繰り返していた。


両者の力関係は五分と五分だった。


このままいけば、弱った勝者を二人で狩ることができるとそんな期待をしていた。


しかし、そんな簡単にはいかなかった。


深緑の大熊(グリーズ・ベア)の風の刃があたりの木を切り倒し、セレーネがいる茂みめがけて倒れた。


セレーネは咄嗟に【神速MAX】でかわすが、茂みから飛び出した先には深緑の大熊(グリーズ・ベア)がいた。


深緑の大熊(グリーズ・ベア)と巨大な鹿は戦いをやめ、セレーネを凝視した。


しかし、セレーネには【神速MAX】がある。


さすがにあの2匹でもあのずぴーどには追い付けないはずだ。


僕は心のどこかですこし安心していた。


しかし、僕の考え通りにはならない。


セレーネは二匹の前で座り込み一向に動こうとしない。


やばい、このままでは。


僕はセレーネと獣たちの間に割って入り、叫ぶ。


「セレーネ、早く逃げろ!!!!ここは俺に任せて先に行け!!!!!」


セレーネは我に返り【神速MAX】ですぐに見えなくなる。


セレーネがいなくなったことを確認し、二頭の獣と対峙する。


二匹とも今にも襲い掛かってきそうな勢いである。


僕は獣をにらみつけながら叫ぶ。


「【運命神の記憶館(オーダー・メモリーズ)】を発動!!!!!」


――――

個体名 ローフェン(リル・アレイス)の危機を感知しました。


運命神の記憶館(オーダー・メモリーズ)Ex】の発動を許可。


現状の危機を退けるための最適な記憶をインストールします。


インストール完了。


記憶を再生します。

――――


視界がゆがみ、景色が変わる。


薄暗い部屋で、手枷をされている男が立っている。


男は金属でできた人形に扉がついているものの中に入った。


しかし、人形の内側には無数の針が取り付けられていた。


男が金の中に入った瞬間、人形の扉が閉まった。


中からは悲鳴と滴り落ちる血の音だけが響いた。


その記憶は残酷だったが、人形の顔は笑っていた。


そして、視界がゆがみ獣の前に戻る。


そこからは、何をどうすればいいか。


考えるよりも早く行動できた。


土属性魔法――鉱物生成、鉱物生成、鉱物生成、鉱物生成、鉱物生成


二匹の獣の周りを、鉄や石といった鉱物が包んでいく。


獣は当然、抵抗し暴れだす。


しかし、僕は魔法を止めることなく続けた。


次第に、抵抗で壊されるスピードよりも鉱物が作り出されるスピードが上回り2頭を包んでいく。


そして完全に2頭を鉱物が覆い、ふたが閉じた。


土属性魔法――鉱物成長――――


土属性合成魔法――――【鉱物の処女の微笑みストーン・メイデンワールド】――


鉱物の中から血が噴き出す。


それと同時に僕の目や鼻、口からも血が噴き出した。


僕が最後に目にしたのは崩れ行く鉱物の中で穴だらけになった2頭の巨獣の死体だった。

 


ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。

これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ