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【完結済み】 ヤンキー GO 異世界  作者: 鳥居忍
第二章 炎の魔神
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#9 ジン

「あたしは……あたしはエルザ! まだ、友達とお別れする気なんかない!」


 叫ぶと同時にエルザは火の柱となった。ジンは必死で立ちながらそれを見る。

火柱は不規則に揺れ、暴れている。

 だが、ジンに心配も恐怖心もない。エルザは戻ってくる。そう確信していた。


 火柱が急激には燃えたかと思うと、徐々に小さくなっていく。

 そして、地面には一糸まとわぬ長い茶髪の女――エルザが立っていた。炎はエルザの右手に吸い込まれるように消えてしまった。


「よう、おかえり」


 ジンはエルザに聞く。エルザはゆっくりとジンを見ると笑う。


「ただいま……」


 言いながらエルザは右手で顔の右上、目のあたりを隠す。

 黒いつやのある肌にルビーのような目。

 右手とその部分だけは戻らなかった。


「なに恥ずかしがってるんだよ。かっこいいじゃねぇか」

「ジン……」

「つーか、それよりも下の方を隠してくれた方がいいと思うぜ?」

「え……きゃーっ!」


 ジンは小さく笑う。エルザは自分の姿に気付き、悲鳴を上げてその体を隠す。


「まったく……最後の、最後で締まら……ねぇよ……な」


 ジンは急激に意識が遠くなるのを感じる。立っているのはもう無理だった。

 空が見える。後ろに倒れ込んだ。


 セラが一瞬で近づきジンを抱きかかえる。アンジュとエルザも近寄ってくる。


 ジンは倒れたまま三人を見る。何か言っているが聞こえない。


「ああ、よかった……」


 そうつぶやくと、ジンの目が自然と閉じる。そして、その意識は闇の中に吸い込まれていった。

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