いくら才能があろうと経験が備わっていなければ宝の持ち腐れだ
昨日のうちに投稿できなかった。かなC
昨日の出来事から一夜明け、今は童話のお姫様が使うような巨大なベットで一人起床した。恐らくだが他の奴も同じような部屋を与えられているだろう。しかし、いくつか疑問が浮かぶ。一つ、いつの間に人数分の部屋を用意したのか。二つ、なぜ俺達のことを召喚したのか。三つ、魔族、魔王との戦いになぜ俺達は駆り出されれるのか。
そこまで考えた時、腹の虫が大きな声で鳴いた。そういえば昨日、部屋に着き夕食まで多少の時間があると聞き軽く仮眠をしようとしたら今の今まで眠っていたことに気がついた。どうやら考えていた以上に精神的に疲れていたようだ。それに、制服のまま寝ており汗のせいで不快感が纏わりついていた。とりあえず朝食をと思い部屋の扉を開く。
扉を開けるとそこにはメイドがいた。扉を閉めゆっくりと目を擦る。今のは幻覚だろうか、そうに決まっている。そもそも扉の向こうにメイドがいることなんて普通はありえない、いや今置かれている状況は異常だからありえるのか。そんな謎理論で自らを納得させ再び扉を開く。やっぱりメイド。扉を開けたらやっぱりメイド。とりあえずファーストコンタクトを良くしようと軽く右手を挙げ挨拶をしようとする。しかし、腹の虫がそれを許さなかった。
「勇者様、食堂はこちらでございます。私の後に付いてきてください」
挙げた右手は行き場を失い軽く彷徨う。最終的には照れを隠すため頬へと移動し、恥ずかしそうに掻くのであった。
4
食堂は城の中にあった。恐らくだが、王族と呼ばれる連中(昨日の王と不審者の女がそうだとメイドに聞いた)は来ないらしく質素な作りとなっていた。
カウンターに置いてあったトレイを持ち、机に並べられている料理を見る。見る限りビュッフェスタイルらしい。豪華とは言えないがどれも非常に美味しそうで目移りしてしまう。
このまま立ち尽くしていてもなんの意味もないので適当にスープとパン、サラダ。ついでにスクランブルエッグとベーコンを選んだ。周りを見渡し空いている席を探すと、腐れ縁の親友がこちらに向かって手を振っている。よく見るとトレイに大量の食事が山程積まれていた。呑気なやつだと心のなかで思いながら席に着いた。
5
食事が終わり寛いでいるといつの間に上座側に鎧を着た屈強な男が立っていた。雰囲気から只者ではないことはわかる。それに、昨日の王の発言から大体の予想はつくが別に誰でもわかることなので口にするものはいない。
「さて、異世界人諸君私はこの国で騎士団長という職を任されているものだ。王族や貴族は君たちを勇者と称え、自らの考えのもとに動かそうとするだろう。私は違う。私の使命は君たちを一人前の兵士に育て上げることだ。一切の甘さを捨てウジ虫である諸君らを人間にしてやる。私は甘くはないぞ、もしも恐怖を感じる負け犬がいるならばさっさと去れ。私としてもそちらのほうがやりやすい」
彼は鋭い眼力で睨めつけながら言い放つ。彼は恐らく俺達の事を本当にウジ虫か何かだと思っているのだろう。それもそうだ、顔も知らぬ者達が勇者なんてものに担ぎ上げられる、努力してきたものからしたらたまったものではないだろう。
「てめえ!調子のってんじゃねえぞ!」
「ほう、ならばどうする?そこで吠えているだけなら誰でもできるぞ?」
クラスの格闘技を習っている奴が怒りを露わにする。そういえばアイツは自分の暴力に自身を持っていたはずだ。奴が彼に向かって殴りかかる。クラスメートの何人かは奴のパンチの威力を知っているのだろう、悲鳴が上がり恐怖に包まれる。
だが、そこまでだった。人が殴られたような音も、反撃したような音もしない。静寂が場を支配していた。
「確かに君はそこそこやるようだな。しかし、子供の遊びから域を出ていない。だからこのような無様な姿を晒すのだよ」
騎士団長が奴を床に組み伏せていたのだ。正直ここまで彼が強かったとは思いもよらなかった。そして、自分たちの弱さも。
「さて、軽く休憩したら訓練を始める。全員練兵場に来るように。以上だ」
彼はそれだけ言うとそそくさと去って行ってしまった。残されたのは無様に床に横たわるクラスメートと立ちすくみ動かないクラスメート達だけた。
「おい、お前何を笑ってるんだ…」
友達が引きつった顔で俺の顔を指さす。俺は口元に手を寄せそれを確かめる。どうやら無意識に笑みを浮かべていたようだ。なぜなんだ?答えのない問がまた一つ増えてしまった。
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