クリスマスの祝い方:中編(夢幻のソリスト・ウォーカー)
前編の続きです。小分けですいません。
年明けちゃうんで……
「悪夢だった」
「お、お疲れ様です」
たった一言の感想に、レビエリがやや引きつった微笑みを返す。
かの愛と狂気に満ちたパイ投げ祭りの翌日、俺は聖剣達の部屋を訪れていた。
嘗ては宝物庫に封印されていた聖剣達も今では城の一室に部屋が与えられ、そこで生活している。余計なお世話だったかもしれないが、俺が進言した結果だった。
勿論、警護は厳重ではあるが、宝物庫に閉じ込められっぱなしになっているよりは生活レベルが向上しているのではないだろうか。宝物庫も別に狭いわけではないが、あそこは住むための部屋ではない。
部屋はそれぞれ、気精剣レビエリと征炎剣フレデーラ、光真剣トリエレと孤閃剣フィオーレ、氷止剣アインテールと銀衝剣リースグラートで割り振られているが、何だかんだずっと一緒にいたので別れると落ち着かないらしく、どこかの部屋にぎゅーぎゅーで全員集まっている事が多い。
今日もいつも通り、レビエリの部屋には六人全員が詰めていた。
部屋全体に漂う甘い香りは昨日散々食らった香りだ。頭がずきずきと痛くなる。もうトラウマになっているかもしれない。
匂いの元を辿ってみると、テーブルの上に――クリームパイが……
「う、うわああああああああああああああああああああ!」
「どうしました!?」
クリームパイが……クリームパイが襲ってくる……。
思い返したくもない、あれはまさしく地獄だった。一時間も投げ合っていなかったはずだが、数ヶ月も投げ合ったかのような引き伸ばされた時間。
もう一生分クリームパイを見た。当分クリームパイ分は必要ない。
「コックが運んできたのよ。おすそ分けだって」
「何のおすそ分けだよ……」
フレデーラが小ぶりのナイフを取り出し、パイを等分に切り分けている。どうやら投げるために持っているわけではないらしい。
何で聖剣であるフレデーラ達が普通に食うのに人間達が投げるのに使ってるんだよ。
「勇者様も食べる?」
「……いらん。昨日たっぷり喰らったからな」
殆ど口には入らなかったが、全身で味わった。
風呂入った後もしばらく体中がべとべとしているような気がして閉口したものだ。夢の中でも投げ合ってたからな、パイ。
起きた後に真剣に国外逃亡しようか迷ったのは秘密だ。聖剣達を裏切るわけにもいかなかったから諦めたが。
「わかったわ」
割当が減らずに嬉しかったのか、フレデーラが若干唇の端を持ち上げ、丁寧な動作でクリームパイを切り分けていく。
「それで、今日は何か?」
「いや、別に用事があったわけじゃないが、また王様に呼びつけられたからその前に顔でも見ようと思って、な」
癒しが欲しかったのだ。
途中で逃げだしたので、壁も床もクリームで真っ白に染まった王の間がどうなったのか俺は知らない。昨日で異世界のクリスマスとやらが終わったはずなのでもう一度クリームまみれになる事はないはずだが、そこに再び突入するのには勇気がいる。
俺が来てからもずっとパイに視線を落とし、そわそわしていたフィオーレが手を挙げる。相変わらず世界観がおかしい和装姿。他に和服を着ている人なんて見たことないんだが、一体誰が作っているのだろうか。
上ずった声をあげる。
「フレ、私一番おっきいので」
「じゃんけんよ! じゃんけん!」
聖剣なのに甘いもの好きなんだよなぁ……ここに来た直後、チーズケーキが云々言い出した時の事を思い出す。
思い返せば時間も経ったものだ。この夢はいつ覚めるのだろうか? というか、現実世界では今何時くらいなのだろうか。ここに来た当初はいつ覚めるのかどきどきしながら待っていたが、最近では特に何も感じなくなってしまっている。
テーブルのパイは正確に六等分されているように見える。大きいも小さいもない。
フレデーラが眉を顰めて汚れたナイフの先を見る。
「流石に六人で分けると一人頭の量は減るわね……」
一切れで十分だと思うんだが、もしや別腹とか言い始めるのだろうか。
昨日王の間に引っ張ってきてやればよかったな……飛び交ってたのに。
いや、さすがに可哀想か。
浮かびかけた考えを下げる。
いくら甘いもの好きと言っても、あれに巻き込まれたらトラウマになる事請け合いだ。何故俺以外の全員が笑顔だったのか、今になっても意味がわからない。やはり感性が違うのだろう。
「一応聞くけど、いらない人いる?」
そんなに食べたいのか、回りを見て問いかけるフレデーラ。が、誰一人手を挙げる者はいない。
レビエリやリースグラートはともかく、アインテールやトリエレも食べたいようだ。
やはり、こういう所は女の子だという事か。俺なんぞに女心がわかるはずもなく。
ふと何気なく提案する。
「……もし追加が欲しいなら貰ってきてやろうか?」
「!!」
フレデーラの耳がぴくりと動いたのを見て、ため息をつく。
トラウマといえばトラウマだが、もらってくるくらいはできるだろう。あれだけ無尽蔵に出てきたのだ、余りもそれなりにあるはず。元々冷たいパイだし、昨日作ったものでも味は変わるまい。
フレデーラがそのルビーのような目をじっと、こちらに向ける。
「本当に……いいの?」
「ああ」
というか、そんなに欲しければ自分たちで追加を貰いに行けばいいのに。
変な所で遠慮深い聖剣達だった。
フィオーレがそわそわしながらも、ボソリと呟く。
「職権乱用、ね」
「フィーの分はなし、として何枚いる?」
「!? 嘘! 嘘、よ! 冗談! 冗談よ、勇者! 私にも! 私にもよこしなさい!」
大焦りで抗議するフィオーレを他所に、他の聖剣達がわーわーと手を上げ騒ぎ始める。
これだけ見るとただの子供だ。雛に餌をあげている親鳥の気分になる。
「私は身体が大きいから二、三枚はいける。三食分で……十枚くらい」
「フィーちゃんの分も代わりに追加して、三枚くらいかなぁ?」
「勇者様! 僕も! 僕もいいんだよね!? 一枚……いや、二枚……余裕を持って、三枚?」
「本当にいいのね? ……じゃあ、今回はお言葉に甘えるとして――」
「勇者様、一枚だけお願いします。半分ずっこにして一緒に食べましょう! よ、よろしければ、あ、あーんとか――」
ちなみに、クリームパイ一枚だけでホールケーキ一個分くらいの大きさはある。生地がパイ生地で上に生クリームが盛ってあるだけなので、体積自体はそれよりも少ないが、成人男性でも何個も食べられるようなものではない。
実物を見ているにも関わらずもっともっとと要求する聖剣達を眺め、呆れる。
こいつらどんだけ食うつもりだよ……。まさか聖剣達の中で一番冷静そうなアインテールまで同じ反応をするとは……。
そしてレビ、俺は昨日一生分クリームパイを喰らったのであーんはいらない。
一人置いてけぼりを喰らったフィオーレが涙目で抗議する。
「勇者、冗談だって言ってるでしょ!? わ、わかるわよね? わかってるわよね? わ、私にも――」
しかし、フィオーレは相変わらず精神が脆いな……。高圧的に見えて泣き虫。そこらへんが芯の強いフレデーラと違う。
まぁ、別に嫌いではないが。
黙ったままだったのが悪かったのか、フィオーレの口調が縋り付くかのような声色に変わる。変化早え。
「勇者? 勇者……様ぁ。私も、私にも――ください」
「ああ、わかった、わかった」
「ありがとうございます、勇者様ぁ」
ぐすぐす涙目で礼を述べるフィオーレ。キャラ変わってるキャラ変わってる。
まぁ、あんだけぶん投げたんだから十個や二十個用意くらいできるだろう。そうでなくても、何かあれば言って欲しいと言われている。
異世界風クリスマスは昨日に終わってしまったようだが、一日遅れのクリスマスプレゼントという事にしてもらおう。……もう何が何だか意味がわからないな。
「まー全部で幾つ欲しいかだけ考えておいてくれ。王様に呼ばれてるんで、王様から話を聞いてからもう一度戻ってくるから」
「わかったわ、ありがとう、勇者様」
「勇者様、私も付いて行きましょうか?」
「……ついてこなくていい」
犠牲は一人でも少ない方がいいだろう。
いくら聖剣と言っても、少女に付き添ってもらう程、甲斐性なしではないつもりだ。
王様が今度は何を言い出すのか、予想も付かない事が不安で不安で仕方がないが、避けてもどうしようもない以上、行くしか無い。
魔王を倒しに行くのと一緒だな、なんてことを思い当たり、俺はげんなりした気分でため息をついた。
◇ ◇ ◇
人生、時には予想も出来ない出来事が訪れる。
例えば初めて戦ったミノタウロスが見かけ倒しだったり、与えられると言われた聖剣が女の子の形をしていたり、そして聖『剣』と呼ばれるレビエリが――盾だったり。
王様の言葉に一瞬、耳を疑う。
俺は眉を潜めて、目の前でにこにこしている王様に聞き返した。
壁際に立ち並ぶちゃんと騎士の格好をした近衛達。荘厳な衣装の王様とお妃様、大臣。いつも通りの王の間。
今日の王の間は清潔で、甘い香り一つ漂っていない。昨日までの惨状がまるで夢であるかのようだ。
甘い生クリームがべっとり張り付いた絨毯も汚れ一つなく、王様も大臣も昨日までの狂気が嘘のように平然としている。
いや、狂気が嘘だったかどうかは、回答によるんだが……。
俺は万感の思いを込めて聞き返した。
「……悪い、もう一度言ってもらっていいか?」
「昨日やったくりすますのリハーサルについてなのですが」
「りはー……さる? リ・ハーサル? リハー去る? リハー猿? どんな猿だよ」
……この世界にはリハー猿という猿がいるのか? きっと魔物だな。よし、俺が相手をしてやろう。何十何百匹でもかかってこい。剣の錆にしてくれる。
何が楽しいのか、王様が頬を緩め、必死に頭を回転させ現実逃避する俺にトドメをさした。
「昨日やった『くりすます』だが、昨日のリハーサルの結果なかなかよさ気だったので、各地にイベントの周知を行おうと考えておる」
こいつ……正気か?
リハーサル? 昨日のがリハーサル? またあの地獄を今度は国中でやる? 国が滅ぶぞ。いや、冗談でなく。
瞼の裏に昨日の地獄がフラッシュバックする。正直な話、後半辺りの記憶が余りない。
少なくとも俺にわかるのは、それを広めさせちゃいけないという事くらいだ。
「待て! ストップ! 冷静になれ! 話し合おう!」
「そこなのだ。勇者殿」
王様がふと相好を崩し、困ったような表情を作る。
あれが年中行事になりそうな可能性に冷や汗が止まらない。よくもまあ周りが止めないものだ。片付けも簡単じゃないだろうに。
この世界の人々は変な方向にスペックが高く、変な方向に寛容だ。
俺の内心の修羅場も意に介する事なく、王様が丁寧語に切り替え続ける。
「勇者殿は昨日、自分の国のクリスマスとは違う、と言ったかと思いますが」
俺はその言葉に、王様達が必死に国民に伝えようとしていた『希望』を見出した。
「あ、ああ! 全然違う! あんなのクリスマスじゃない! いや、クリスマスを冒涜していると言ってもいいだろう!」
「我々は正直、希望を与えられれば何でもいいので、あれをクリスマスとして周知しても問題ないと考えております」
とんでもない事を言い出す王様。上げて落とす作戦かよ。
昨日も思ったが、こいつら、クリスマスという単語を使いたいだけだな。というかもしかしたら、お祭り騒ぎしたいだけなんじゃ……。
ぶん殴ってでも止めるべきか。あるいは、間違えたクリスマスを広げるのならば、魔王を倒しに行かないとでも言って脅すべきか。
暴力で止めるか、脅しで止めるか。どちらにせよ止めねばならぬ。精神的な安定のためにも。
ともかく、制止しようと口を開きかけた瞬間、王様があっさりと意見を翻した。
「ですが、カミ殿の国の行事をやるのに、全く異なる内容を広めるのもできれば避けたい所ではあります」
「お、おう?」
聞き分けがいいのか悪いのか。
王様達の考えはフリーダム過ぎてどこに飛ぶのか全然予想できない。どこに地雷が埋まっているのかわからない、調べる術のない地雷原を歩くようなスリルがある。
王様もお妃様も大臣の表情も穏やかな笑み。パイ投げを始める直前と同じ笑み。もうその笑みがトラウマになってしまいそうだ。
王様が玉座に座ったまま、しっかりと俺に視線を合わせる。
「そこで、カミ殿の知るカミ殿のクリスマスについて、我々に教えて欲しいのです」
「……なるほど」
「昨日のあれはあれで楽しかったので、こちらとしてはあれで進めるのも吝かではないのですが、もとより国民たちに希望を与えるのが目的。カミ殿の知るクリスマスを教えて頂き、それで問題なければそちらの方で進めようかと……」
こちらとしては昨日のあれで進めるのは吝かすぎる。っていうか、無理。悪ふざけしているようにしか思えない。
どう考えても、日本のクリスマスの方がまだマシだ。
喜んで話をさせて頂こう。口を開きかけ、そこである事に気づき、俺の思考は停止した。
クリスマスって本来何する日なんだっけか?
首を捻るが、明確な答えが出てこない。
クリスマスツリーを飾ってご馳走を食べる日? クリスマスケーキを食べる日? サンタクロースが来る日? 恋人同士で過ごす日?
何だかどれもしっくり来ない。
どうも、冷静に考えてみると、大多数の日本人もまた由来とか関係なしにただイベントを楽しんでいただけな気がする。
「どうかなされましたか? 勇者殿」
「いや……ちょっと待ってくれ……」
不審そうな王様の表情。
説明しづらいが、ここでわからないなどと言うわけにはいかない。そんな事すれば、躊躇わずにクリスマスを『全員揃ってパイ投げ乱闘祭り、サンタもあるよ』にされてしまう。それだけは何としてでも避けたい。
俺の家では、買ってきたクリスマスツリーを立てて家族皆でクリスマスケーキとご馳走を食べる日だった。高校に入るまではクリスマスプレゼントも貰っていて、楽しみにしていた年中行事の一つだったものである。彼女でもいればまた違うのかもしれないが、少なくとも俺にとってのクリスマスはそんな感じだ。
言葉を選びながら答える。この際、なるべく穏便なものにしてしまおう。
「家族で集まりしめやかに祝う日だな。クリスマスツリーを設置し、ケーキやご馳走を食べたり、プレゼントを送ったりする」
王様と大臣が微妙な表情で顔を見合わせる。
「……地味ですな。パイ投げの方が華やかで希望を与える事ができるような……」
文句をつけてくる大臣。こいつら、どんだけパイ投げしたいんだよ。
あれで与えられるのは糖分と疲労だけだ。
王様の表情もどこか不満気。……やばいな。
「……家族がいない者はどうするのですか?」
「……恋人など、親しい人と過ごす。事前に用意したプレゼントを渡したりして親愛の情を深めるんだ」
何だかやはり趣旨からずれている気がするが、そんな些細な事を気にしている場合ではない。
何になろうと、どんな誤解をされようと、パイ投げになるより余程マシだ。そもそも何故パイ投げになったのか、意味がわからないのだが、それも今はどうでもいい。
言い訳でもしているかのような気分で、必死に王様達の好きそうな言葉を続ける。おかしいな、俺って勇者なんじゃなかったっけか。これって勇者の仕事か?
「しめやかとは言っても、街中はかなりの賑わいだぞ。クリスマスの飾りやらイルミネーションやらでキラキラ輝いていたし……そう、街中に巨大なツリーを設置したり、色々な店もクリスマスケーキとかプレゼントを売りだしたりしてかなり派手だ。パイ投げよりも派手だ」
「昨日のあれより派手、ですか……勇者殿の世界は凄いですな」
「……ああ、凄いんだ。俺の国のクリスマスは凄いんだ」
自身の頬が引きつっているのを感じる。
ごめんなさい、日本の皆さん。
「サンタクロースは?」
「クリスマス限定の仮装だな。ケーキやプレゼント類を売っている人が着ていたりする服だ。決して全員が全員着るものじゃないぞ?」
「どういう人が着ているのですか?」
難しい質問だな。
必死に頭をひねらせるが、答えがでない。サンタクロースについて深い知識があるわけでもない。なるべく被害が広まらない感じで自分で作るしかない。
「えっと……そう、希望を与える側の者が着ているのだ。サンタクロースってのは嘗て全ての人に希望を与えた存在で、その人に習って希望を与える者――ケーキ売ってる人やプレゼント売ってる人が着るようになったのだ」
もはや自分でも何が真実で何が嘘なのかわからない。
かなりインチキが入っているのは間違いないが……。
釈然としなさそうに首を傾げ、王様が尋ねてくる。
「なるほど……希望を与えるもの――つまり、勇者殿など、ですか」
「え? お? あ? い、いや――あ……うん、そ、そうだな……まぁ、そういう可能性も、ある、かも? しれないな?」
しまった……その考えはなかった。
しどろもどろに何とか返答したが、王様はまるで胡散臭いものでも見るかのような視線を向けてきている。
「も、勿論、これはただの仮装だ! 別に強制されているわけじゃないぞ? あくまでメインはサンタクロースじゃないからな!」
「なるほど……何だか地味ですな」
「……だが、勿論俺は着るつもりだ。好きだからな……サンタクロース」
「……なるほど」
誰かこいつらを止めてくれ。なるほど、じゃねーよ。なるほど、じゃ。
そこで一旦、王様達が円陣を組み、何事か相談を始める。
俺としては、その結果がパイ投げ以外になる事を祈るばかりだ。最高のパターンはやはりクリスマスはやらないという方向になる事だが、それはもう無理だろう。あの準備がクソ面倒臭そうなパイ投げ祭りすら決行したのに、今更準備の多寡で意見を翻すとは思えない。
頼むから日本のクリスマスで祝ってくれ……。
断腸の思いで王様達を眺めていて、ふと気づく。
……あれ? 俺、クリスマスは絶対反対だったはずなのに、何でこんな状況に――
その時、ちょうど結論が出たのか円陣が解散する。王様が一歩前に出た。
「カミ殿、話し合った結論なのですが――」
「……結論なのですが?」
心臓が、その鼓動がはっきり聞こえる程に強く打っている。
高校受験の結果発表の時すらここまで緊張していなかった。
王様が重々しく口を開く。出てきた言葉は予想外のものだった。
「聞いただけではわからなかったので、是非、クリスマスを良く知るカミ殿に実施していただいて、その結果次第でどちらの『くりすます』を根付かせるか決定させていただけないかと」
「お、おう?」
「その結果、我々の考えたクリスマスと比較して希望を与えられそうなイベントではなさそうだという事であれば、パイ投げ祭りの方で進めたいと思っております。もし勇者殿のご予定が合わないのであればパイ投げ祭りの方で周知してしまおうかと……」
「マジかよ……」
その言葉に、ここに国の命運をかけたクリスマスが始まる事が決定した事を悟った。
この国の連中は皆、頭がおかしい。
シーズンオフ過ぎる……